あらゆるスポーツの中で、ゴルフほどメンタルな競技はありません。止まっているボールを打つことが、なぜ本番ではこれだけ難しいのでしょうか?
練習では100回連続で入る1メートルのパットが、ときにコースでは全く入る気がしなくなるのは、メンタル以外の何物でもありません。
とはいえ、本番で上手く打てないのは「技術が足りないから」と主張するプロもいます。
結論からいえば、メンタルトレーニングで、大きな改善を期待できるのは、こんな悩みを抱えているゴルファーです。
- こんなに練習しているのに結果が出ない
- イップス症状で悩んでいる
- いいスコアで回っていると、あがり3ホールで大崩れする
- プロテストやQTになると結果が出せない
- ラウンド中にずっと余計なことを考えてしまう
このページでは、このような課題を抱えているゴルファーのために、それぞれの課題についての対応策や、メンタルトレーニング改善事例を紹介してきます。
こんなに練習しているのに結果が出ない
ゴルフが好きで、こんなに練習しているのに、ラウンドになると全く別人になってしまい、本当にひどいショットを連発したり、信じられないようなスコアを叩いてしまう…。
アベレージゴルファーだけでなく、ときとして上級者やプロでも陥りがちです。
ゴルフの難しいところは、練習しなければ上手くならないのに、間違えたやり方で、練習をやり過ぎると、調子を崩したり、イップスに陥ったりすることです。
下記はあるゴルフ番組で、プロを目指しているとは思えないほど、ひどいセカンドショットを連発して、脱落していった女子ゴルファーのコメントです。
本番になると、練習と全く違う感覚になって全く振れない。振れないので、本番だと何十ヤードも飛距離が違う…、
なかなかリアルで悲痛は本音です。
私の経験から言えば、彼女は委縮の悪循環が起きているだけであり、この悪循環の要因をひとつずつ取り除きながら、小さい成功体験を重ねていけば、また元の状態に戻ることができます。正直、それほど難しくはありません。



ただし、委縮の悪循環を取り除くメンタルトレーニングでできることは、本来の状態に戻すことだけです。優勝経験がない人が、優勝できるようになるわけではありません。
また、プロテストやQTなど、人生がかかった大きな本番で結果が出せないのは、後述するように、また違った対応が必要です。
上がり3ホールで大叩きしてしまう
ベストスコアを更新するペースでラウンドが進んだものの、あがり3ホールでスコアを意識したとたんに、大崩れしてしまった経験を持つゴルファーは多いのではないでしょうか?
あがり3ホールで叩いてしまったという経験を重ねれば重ねるほど、あがり3ホールで叩いてしまう確率は高まります。
それは、大事な試合やプロテストなどでも起こりがちです。
もちろんダボやトリプルは叩きませんが、それまで出なかったボギーが連続するだけで、順位は大きく下がってしまうのです。
「ゴルフはあがってなんぼ」「途中のスコアは通過点」などと、自分に言い聞かせるようにしても、結局あがってみると、いつものスコアになってしまうものです。
そんな傾向で結果を出せないゴルファーにお勧めなのがイメージトレーニングです。

イメージトレーニングと聞くと、ベストスコアを更新し、成功している自分を思い浮かべがちですが、私があなたにお勧めしたいのは「メンタルリハーサル」です。これが本番で力を発揮するために、最も大切なメンタルトレーニングです。

簡単にいえば、事前に緊張することが分かっている後半のあがり3ホールを、感情を込めて、事前にイメージしておくことで、やるべきことを事前に確認し、慣れてしまうというものです。
例えば、プロテストの最終日最終ホール。これを決めないと不合格というパッティングを、事前にどれだけイメージしておくかで、その成否は変わるものです。
プロテストやQTへの準備
プロテストやQTといった試合は、ゴルファーにとっては特別なものです。その後の人生、その次の1年に大きな影響を及ぼすからです。
一打一打のプレッシャーは甚大で、メンタル面の準備は必要不可欠ですが、その準備も中途半端ではダメです。徹底的にやる必要があります。


また、女子プロゴルフの世界はどんどん競争が厳しくなっていて、高校や大学で全国レベルで活躍していたとしても、プロの世界に入れるのは本当に少数です。
学生時代に全国優勝経験がなくてもプロの世界を目指したいのであれば、しっかりとした計画を立てて、地道に取り組む必要があります。こういった計画作りもメンタルトレーニングの一貫です。

イップス
ゴルフでメンタルトレーニングを始めるきっかけとして多いのが、イップスです。
イップスとは「特定の場面でだけ、体が固まったり、おかしな動きをする」症状のことです。パターイップスがよく知られていますが、ドライバーでもアプローチでもイップスは起こります。
イップスが起こり始めたとき、それを悪化させないことが大事です。イップスがどんなふうに悪化しやすいかの例を紹介しながら、自分でできる心理的対処法を紹介します。

しかし、イップスの原因をよくよく分析していくと、必ずしも同じ原因で起きているとは限らないようです。

ゴルフにおけるイップスで、一番身近なのがアプローチイップスです。

イップスの治療法は確立されておらず、上級者やプロゴルファーの間では「魔病」として恐れられています。

ゴルフのメンタルトレーニング その種類や方法
ゴルフはメンタルなスポーツなので、昔からメンタルトレーニングを取り入れてきたゴルファーは大勢います。
でも実は、メンタルトレーニングの方法は無数にあり、メンタルトレーナー(コーチ)によって、どんなことをするかは大きく異なるのです。
しかし、それらを大きく分類すると、下記の3つにわけることができます。また、タイプ別にドライバーが調子が悪いときの対処法の例も含めて紹介します。
認知思考系 | ドライバーは必ずフェアウェーを捉えなければいけないと考えるのではなく、次のショットが打てるラフに行けばOKとすれば、気持ちの余裕をもってドライバーを打つことができる。 |
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暗示催眠系 | 自分はできる、必ず成功すると、言葉やイメージで自分に暗示をかけるアプローチ。暗示がかかれば、ラウンド中の不安がなくなり、ドライバーも思い切り振ることができる。 |
行動感覚系 | 呼吸やストレッチで体を整え、アドレスでのルーティンを決めておけば、力まず、いつも通りのドライバーショットができる。 |
これらの3つのタイプが、自信を喪失してしまった時にどう回復させるか、もう少し具体的に紹介しています。あなたに合ったメンタルトレーニング選びの参考になると思います。

どのタイプのメンタルトレーニングが一番なのかは、あなたの置かれた状況や、症状、経歴や実績、性格タイプによって違ってきます。
大事なことは、自分に合ったメンタルトレーニングの方法を選ぶことであり、それを提供してくれる経験豊富なメンタルトレーナーを選ぶことです。
メンタルトレーナーとの相性が非常に大切です。
あなたはなぜゴルフをするのか?この問いからメンタルトレーニングは始まる
私はこれまで多くのゴルファーを教えてきました。
その経験から言うと、どんなメンタルトレーニングをやるにしても、そもそもあなたが「なぜゴルフをするのか?」という問いに対して、自分なりに明確な答えを持っていなければ、その効果は限定的だということです。
その答えが明確でなければ、不調が訪れたときに、つい目先のことしか考えられなくなるからです。残念ながら、ゴルフでは必ず不調は訪れます。
ゴルフをする理由として、「みんなに凄いと思われたい」「賞金を稼いで親孝行したい」「優勝したらかっこいいから」「自己満足に浸りたい」といった理由を挙げるひともいるでしょう。
しかし、あなたが真の上達を目指すのであれば、私がお勧めするのは「フローゴルフ」という考え方です。

フローゴルフとは、ゴルフへの向き合い方を、自分自身への挑戦として位置づけ、そのプロセスで起こる至高の集中状態「フロー」を目指す姿勢です。その基本理念は、ゴルフの帝王、ジャック・ニクラウスの次のコメントに集約されています。
チャレンジすることは決して楽なことではない。しかし、私にとって自分の限界への挑戦とその克服こそがスポーツする理由のすべてなのだ。それに打ち勝ったときの高揚感は、人生で最高に興奮する瞬間だといえる。それはライバルに勝ったからではなく、最大の敵である自分自身に打ち勝つことができたからだ。
『ジャック・ニクラウス自伝』
フローゴルフの目標は、ゴルフを通した自己実現であり、生き方改革です。
メンタルトレーニング石井塾では、このフローゴルフを基本理念にしつつ、あなたの抱える課題に対処するためのメンタルスキル(呼吸法やイメージ)を教えています。