ゴルフ

女子プロテスト合格を目指すゴルファーのための3年計画の作り方

この数年で、女子ゴルフのプロテスト合格難易度が劇的に上がりました。今では、合格した翌年にはレギュラーツアーで戦えるレベルの選手が半数以上といえるほどです。

数年前までは、全国個人優勝せずとも、高校や大学ゴルフ部の全国団体戦で活躍してきた女子ゴルファーであれば、卒業後数年内にJLPGAのプロテストに合格することは、それほど夢物語ではありませんでしたが、今後、そのような選手は少なくなっていくでしょう。

それでもプロになる夢を諦めず、努力を続けていくと決めたとき、女子ゴルファーが、そんな厳しいプロテストを突破するのに必要なのは何でしょう?

さらなる技術向上?それともメンタル?

それは選手の競技スタイル、年齢、性格タイプなどによって違うと思います。ただ、確実に言えることは、今やちょっとやそっとの準備ではプロテストは突破できないということです。

今の私の考えでは、成長が少しずつでも続くように設計された3年計画を立てて、それをやりきることです。

私はそれを「成長持続化3年計画」とよんでいます。

このページでは、本気でプロテスト合格を目指す女子ゴルファーのために、3年計画の重要性と、その実際の作り方について紹介します。

計画を書き込むためのワークシートもダウンロードできるようにしていますので、最後までしっかり読んで、3年計画を作成してみてください。それだけでも色々な気づきが生まれるはずです。

成長を持続させるための3年計画が必要だ

人の身長は、中学・高校までは自然と伸びていきます。個人差もあり、小学生からぐんぐん伸び始める人もいれば、高校から急に伸びる人もいます。

ゴルフも同じで、小学生からゴルフを始めた人は「とにかく頑張る。とにかく技術を磨く」。このように過ごしていれば、そこそこ上手くなるし、中学高校で全国大会までは行けます。才能に恵まれれば、それだけで全国トップまで到達する人もいます。

なぜなら、やればやっただけ上達や成績アップにつながりやすいので、モチベーションを保ちながら、日々の練習に取り組むことができます。そしてさらに上達できるからです。

しかし、身長と同じで、どこかで、その成長は頭打ちになります。

平均スコアがアンダーくらいになってくると、そこから平均スコアを1打2打下げることは、本当に難しくなってきます。

努力の量に比べて、上達や成長が鈍化するし、むしろ下手になっていると思えることもあるので、「こんなに頑張っているのに…」となりがちです。そして徐々にモチベーションを失い、なんとなくプロを目指している状態に陥ってしまいます。

それでも有名プロのレッスンを受けたり、必要以上に体を鍛えたりと、前向きな気持ちをなんとか維持しようと頑張ります。しかし、場あたり的で、行動に一貫性がないので、何が上手くいって、何が上手くいっていないのかを振り返ることもできていません

これでは本当にもったいない。時間とお金、貴重な青春時代を「賭けて」、プロテストという超難関に立ち向かっているのに、ただ闇雲に頑張っているだけです。

高校や大学を卒業してしまえば、それまでのように、ずっと見てくれる監督やコーチはいないのです。成長を持続させるためには、自分で考えて、行動する必要があります。そこを場あたり的に過ごしていては、プロテストは突破できません。

ちょっと料理が上手いからといって、いきなりレストランを出店しても、経営は上手くいきませんよね。事前に出店計画を立てて、お店をどんなものにしたいのかを考えたり、客足が伸びないときの宣伝計画を事前に準備しておくことで、レストラン経営は遠回りしたり、迷走したりせず、成長を続けることができます。

起業や出店といった、人生をかけて何か大きなことに取り組むときに、計画を立てない人はいません。同じように、「そこそこ全国レベルの女子ゴルファー」が、人生をかけて、超難関のプロテストに挑戦するには、しっかり練られた成長計画が必要です。

そういった計画書があることで、何か想定外のことが起こっても、慌てず騒がず、その対策を考えることができるようになるし、自分がやるべきことを淡々とやり続けることができるのです。

なぜ3年なのか?

プロテストを受験するのであれば、できれば来年に合格したいのはやまやまでしょう。

あなたが全国大会で個人優勝した経験がない限り、私は3年計画を勧めます。なぜなら来年合格を絶対目標とすると、取組内容が短期的なことに偏りがちになります。例えば弱点の克服など。

昨今のハイレベルの最終テストに合格するのは、ある意味、好不調のタイミングや、運不運も影響します。

3年くらいの計画で、合格できる技能(技術・フィジカル・メンタル)を、じっくり身につける方向で動いた方が、テスト前に自分でプレッシャーをかけて自滅する可能性を下げられるし、結果的に早く合格できる可能性が高まるというのが私の持論です。

例えば、プロテストが3か月後に近づいているのに、ドライバーが曲がってしまう。こんなときに、焦ってドライバーばかり練習していると、多くの場合、ドライバーはさらに悪くなっていくし、ドライバーが復調したとしても、バランスを崩して、そのほかのショットが悪くなったりします。

ドライバーが曲がり始めても、焦らず、計画通りに練習を進めたほうが、結果的にドライバーは復調している可能性が高いし、また復調しなくても、悪いなりにプロテストを迎え、そういった中で「できる限りの対応を試してみる」ことができます。

こういった試みは、その年は不合格になったとしても、翌年のプロテストにつながるものですし、プロになってからも、調子が悪いときは悪いなりに試合に出場し、シードを目指して、賞金を積み上げていくことにつながります。

3年計画だと、期間が長すぎて、集中して頑張れるかどうか疑問、と思う方もいるかもしれません。その通りです。だからこそ3年計画では、期間を週や月、季節などに分割して、それぞれの達成目標などを作る必要があるし、振り返って評価する必要もあります。

次に、具体的なテーマの設定について見ていきましょう。

3年計画の書き方 テーマ設定について

成長持続化3年計画の中身については、個人差があると思いますが、ざっくりといえば、3年後にどんなゴルファーになっていたいか?をできるだけ具体的にイメージしたうえで、次の5つの項目について、大テーマを設定するところから始めます。

  • スイング技術
  • ショートゲーム
  • フィジカル
  • メンタル
  • コースマネジメント

いきなりこれらの大テーマを設定するのではなく、3年後に自分がどんなゴルファーになっていたいのか?のイメージをまずしっかり作ってください。

自分はこうありたいという明確な将来像があれば理想ですが、もしそのイメージがなければ、まずはあなたが目指すプロを参考にするのもありでしょう。ドライバーの飛距離、ショットの打ち分け、ショートゲーム、メンタルなど。彼女にあって、あなたに足りないものが、あなたがこれから3年かけて追いかけていく大テーマになります。

大テーマは、半年から1年単位で管理していくものです。もう少し具体的にいえば「ドライバーの飛距離を10ヤード伸ばす」「フェードで安定して240ヤード」などです。

大テーマに対して、それを実現させるための、1-3か月の「中テーマ」、2週間程度の「小テーマ」を設定していきます。

例えば、「ドライバーの飛距離を10ヤード伸ばす」という大テーマについては、

  • ヘッドスピードを上げる
  • トラックマンで回転数を確認しながら打つ、
  • 新しいシャフトを試す
  • 重いバットで素振りをする
  • 体幹を鍛える

大テーマを実現するために、テーマをいくつかに分解して考えるということです。こういった作業は、大谷翔平選手が高校生のときに作成した9マスシートなどを使うといいかもしれません。

記入用のPDFダウンロードはこちらをクリック

この9マスの中心に大テーマを記入し、それを実現するための8マスを中テーマとして、さらに小テーマに分解していけば、かなり具体的なものが作れると思います。

必ずしも全てのマスを埋める必要はないので、まずはできるところから始めましょう。しかし、全てのマスを埋めようとすることは、ほかにできることはないか?と常に考える癖がつくので、少しずつでも全てを埋められるようになっていってください。

とはいえ、ある期間において取り組める内容は時間的に限られますので、あまり欲張らないことも大事です。

また、時期によって、テーマが偏ることが自然です。

例えば、プロテストが終わった直後であれば、技術的なテーマが増えるでしょうし、真冬であれば、フィジカル面のテーマが増えるでしょう。そして、次のプロテストが近づいてくれば、メンタル面が中心となってくるかもしれません。

また、実績や能力的にプロテスト合格に近い選手であれば、そうでない選手に比べて、3年計画の中身は変わってきます。2-3年目の計画では、プロテスト合格後のツアーでの戦いに照準を合わせたテーマが中心になっていてもおかしくありません。そして、合格までの1年間のテーマの延長線上に、ツアーでのテーマがあるように計画するのです。

例えば、ツアー特有の速いグリーンと深いラフに対応するには、より高度なパッティングとアプローチ技術が求められます。しかし、技術的に未熟な選手が、いきなりそこに取り組み始めると、想像以上に無理なことをしているので、なかなか学習がうまくいかず、上達実感が得られません。

こういったところは、なかなか親や本人にはわかりませんから、やはり信頼できるレッスンプロについて、順番にやるべきことを明確化していくのが理想です。

とにかくまずは3年後にどんなプロゴルファーになりたいのか?を明確にイメージできるようになること、そしてそのために必要な練習テーマをしっかりと作れるようなってください。

計画→実行→確認 いわゆるPDCサイクルが大事

どんなに時間をかけて、立派な計画を作ったとしても、それが思ったように進んでいくことは稀です。状況に応じて、臨機応変に修正する必要は必ず生じます。

その意味では、ただ計画を作るだけでは意味がなく、いわゆるPDCサイクル(計画→実行→確認)をきちんと組み込むことが必須です。

3年計画では、3か月ごとの確認を推奨します。その確認は、本人だけでなく、親やコーチも含めた関係者で行うのが理想です。そして、本人の口から、その3か月の成果(変化)を報告してもらい、次の3か月に向けて関係者で議論してアイデアを出し合い、それを参考に、本人が計画書を修正します。

しかし、大枠を作ってしまえば、修正にかける時間というものはそれほどかかりません。その意味では、やはり最初に時間をかけて、しっかりとした3年計画を作ることは大事になってきます

また、こういった計画→実行→確認のサイクルは、3か月単位だけでなく、毎日でも行うべきです。つまり、翌日の練習計画を立てて、実行し、振り返るということです。説明するまでもなく、非常に大事なことですが、これを地道にやっている女子ゴルファーはどれだけいるでしょうか?

なかなかできないよ…と言い訳されるかもしれませんが、メジャー競技でオリンピックを目指している女子アスリートはやっています。

石井塾でも、ゴルファーに限らず、入塾したほぼ全てのひとに、毎日の行動管理シートへの記入を推奨しています。日々やるべきトレーニングや習慣などを、やったかやらなかったか、どの程度の満足度でできたのかなどを、1日の終わりに簡単に記入できるものです。

人間というのは面白いもので、こういったシートへの記入していると、それをできるだけポジティブなものにしたいということで、日々頑張れるようになります。明確な目標を持っているアスリートならなおさらです。

1日の終わりに、充実度で5段中5と書き込めるように、日中にほんの少しですが、違いが現れます。それが365日あれば、大きな差を生み出すものです。

参考までに女子フィギュア選手に記入させている行動管理シートの見本です。彼女はまだ中学1年生ですが、毎日しっかり書きこんでいます。

3年計画の中心となる基本姿勢 それは自分への挑戦

ここまでは、この3年計画についての「テクニカル」な部分でした。どのように設計し、実行していくか。しかし、それだけでは本当に大事なことが抜けてしまいます。

私がこの「成長持続化3年計画」を実行していく上で、一番理解してほしい基本姿勢は、常に「自分への挑戦」を意識し続ける、ということです。

なぜなら、日々、ゴルフを通して自分に挑戦できているかどうか、その実感を得られるかどうかが、成長を長く持続できるかどうかの一番の肝だからです。

女子プロテストの関門は非常に高く、どんなに正しく努力をしても、その努力が報われない、つまり合格できないことは十分に考えられるし、むしろ全国大会優勝などの実績がない選手であれば、その可能性のほうがが高いとも言えます。

プロテストに合格したい、ツアーでお金を稼ぎたい、有名になりたいといった目的では、モチベーションを長く保ちにくく、他者の評価に影響を受けやすくなってしまいます。

これからの3年間は、ゴルフを通した自己実現させる機会であり、自分への挑戦として位置付けて、日々、情熱をもってゴルフに取り組み、時間を忘れて没頭することで、いつの間にか上達し、プロゴルファーとして活躍できる可能性が高いことを理解して欲しいと思います。

どんなときでも、真の上達は「時間を忘れて取り組んでいた時の中」に起こるものです。それは、放課後、ひとり学校に残って、鉄棒の逆上がりができるように頑張っている小学生にも言えることです。

このような姿勢でゴルフが続けられていれば、いわゆる「フロー」に入れている時間が長くなります。フローとは、自分の能力が最大限に発揮されている状態です。それは試合でも、練習でも起こりますが、練習で起こらなければ、試合では起こりません。

大事なことなので繰り返します。日々、自分への挑戦心を忘れずに、ゴルフに熱中して過ごす日々を送れるかどうかが、上達と成長を持続させる、一番の要素であることに疑いはありません。

こういった姿勢をフローゴルフといいます。

フローゴルフ ラウンド中により頻繁にフローを起こすための基本姿勢フローゴルフとは、ゴルフへの向き合い方を、自分自身への挑戦として位置づけ、そのプロセスで起こる至高の集中状態「フロー」を目指す姿勢。フローがラウンド中に起こると、素晴らしいスコアだけでなく、お金では買えない喜びが生まれる。この喜びがさらなる上達とフローにつながる。...

3年間努力しても合格できなかった場合に、その先どうするのか?

私は、その3年を、挑戦し続けることができたのであれば、まだしばらくプロテストに挑戦を続けてもいいと思います。これだけ高度なプロテストであれば、運不運の要素が必ずあるからです。

ただし、年間の平均ストロークが2アンダー以下といった条件をつける必要はあるかと思います。どんなに正しく努力しても、そこまでたどり着けなければ、やはりプロとしてはやっていけませんから。

いずれの場合でも、3年計画をやりきった実感が持てたのであれば、悔いなくプロゴルフの道をを諦め、次の人生に向けて区切りをつけることができるでしょう。そして3年計画は、その新しい人生で必ず役に立つはずです。

反対に、3年計画における3カ月単位の「計画→実行→確認」を行わなかったり、挑戦し続ける姿勢を維持できなければ、早めにプロテストは諦めるべきだと思います。

このページを読んでいるのが選手の親であれば、こういった「計画→実行→確認」を続けながら、日々、情熱をもって、ゴルフに向き合っていることが見て取れるようでしたら、親御さんも頑張って、娘さんへの心的支援や、資金援助なりを続けて欲しいと思いますし、その価値があると思います。

場当たり的に頑張るだけでは、LPGAの女子プロテストには合格できなくなっている時代になっていることを理解して欲しいと思います。そしてできれば、あなたの娘さんが「やり切れる環境」を提供して欲しいと思います。それが親ができる最大の援助です。

今まだ高校生であれば、このページを今見つけたのは幸運です。今から3年計画を立てて、1年目は女子アマや高校選手権などで結果を出していきながら、プロテストに向けて準備を進めていきましょう。今、何らかの理由で低迷しいたら、まずはそこからの回復が優先ですが、高校生の場合、それほど深刻になっているケースはほとんどないので、3年計画作りに問題はありません。

もう既に研修生を何年かやっていたり、大学を経由して、20代半ばに差しかかっている選手は、昨今の選手寿命を考えると、もう無駄にできる時間はありません。今スグにでも取り組んで欲しいと思います。

まずはとにかく3年後のイメージ作りからです。あなたは3年後にどんなプロゴルファーになっていたいですか?これを具体的に書けるようになることが、まずのスタート地点です。

 

3年計画イメージづくりPDFのダウンロード

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