フローゴルフとは、ゴルフへの向き合い方を、自分自身への挑戦として位置づけ、そのプロセスで起こる至高の集中状態「フロー」を目指す姿勢です。
フローがラウンド中に起こると、素晴らしいスコアが残るだけでなく、お金では買えない喜びが生まれます。この喜びがエネルギーとなって、さらに努力を重ね、さらなる上達とフローにつながるのです。

フローゴルフを意識して取り組むことで、ラウンド中にフロー(=ゾーン)が起こりやすくなり、連続バーディーや自己ベストを更新したり、プレッシャーがかかる大会でも自分の力を存分に発揮することができるでしょう。
ただし、フローゴルフは、それを知っているだけ、そうなりたいと願うだけではダメです。誰でもゴルフが面白くて熱中できる時期があるものの、それが持続しないのと同じです。
このページでは、あなたがフローゴルフを実現し、それを持続させるための考え方や、具体的な取組方法を紹介していきます。
このページで紹介する方法で、あなたもラウンド中により多くのフローを体験するだけでなく、ベストスコアの更新、プロテスト突破、スランプやイップスの克服につなげることができるでしょう。

フローとは?ゾーンとも呼ばれる至高の集中状態
フローとは、至高の集中状態で、努力感なしに、頭と体が思うように動いて、本来の力が最高に発揮される状態です。
フローに入っていると、なんの努力感もなくゴルフができるんだ。頑張って良いショットを打とうというよりも、むしろ自然になるという感じだ。技術的なことをあれこれ考えたりせず、何もかも自然でリズミカルにできてしまう。
デービス・ラブⅢ世
スポーツでは「ゾーン」という言葉が使われることがありますが、心理学の研究対象として、フローという言葉が使われます。
フローは、特別な人だけが体験できるものではなく、基本的には誰でも体験できるものです。
フローの研究からわかっていることは、フローは生活や仕事、練習の質と結びついており、日々をどう過ごすかによって、フローは自分で起こす可能性を高めることができるものであるということ。
フローは「起こるもの」ではなく、「起こすもの」なのです。
フローを自ら起こせるようになるための基本姿勢がフローゴルフです。
フローゴルフの基本理念
フローゴルフの基本理念は、ゴルフの帝王、ジャック・ニクラウスの次のコメントに集約されています。
チャレンジすることは決して楽なことではない。しかし、私にとって自分の限界への挑戦とその克服こそがスポーツする理由のすべてなのだ。それに打ち勝ったときの高揚感は、人生で最高に興奮する瞬間だといえる。それはライバルに勝ったからではなく、最大の敵である自分自身に打ち勝つことができたからだ。
『ジャック・ニクラウス自伝』
フローゴルフを目指すうえでは、この「自分自身への挑戦」という考え方が何よりも大事になります。
「プロテストに合格して有名になりたい」「賞金を稼いで親孝行したい」「コンペで優勝してみんなから尊敬されたい」
確かにこういった目標も、ゴルフ上達のモチベーションになりますが、中長期的には袋小路に陥りやすく、目標を持ち続けることが困難になりがちなのです。
こんなゴルファーこそ、フローゴルフから多くのことを学べます
フローゴルフの目標は、ゴルフを通した自己実現であり、生き方改革です。
ゴルフをとおして、自分にチャレンジする気持ちがあれば、スコアやHCに関わらず、誰でもフローゴルフを目指せるのです。
フローゴルフはこんなゴルファーに特にお勧めします。
- プロゴルファー(及び志望者)
- ジュニアゴルファー(中高生)
- 社会人ゴルファー
また、次のような目標や課題を抱えている人もフローゴルフがその達成に役立つでしょう。
- プロテストに合格したい
- もう何年も上達が止まってしまっている
- スランプに陥っている
- イップスに悩んでいる
フローゴルフを目指し、実践していく中で、意欲やモチベーションといったものが高まり、それはゴルフだけでなく、日々の生活の多くの局面において、良い影響を与えます。
フローゴルフで一番大切な「挑戦を楽しむ姿勢」がある限り、日々のメンタルトレーニング・筋トレ・ショット練習はそれほど苦にならなくなるし、ゴルフコースでミスショットをしても「次こそ成功させる!」という気持ちを維持できます。
日々、こういった気持ちで過ごせるようになる割合が増えるのです。それは仕事や人間関係などにも必ず良い影響をもたらします。

フローゴルフに向けて取り組むべきメンタルトレーニング
フローは「起こるもの」ではなく、「起こすもの」。そのために必要なことをしっかりと頭に入れて、準備をすることが大切です。
フローゴルフに向けて取り組むメンタルトレーニングの内容は、ゴルファーの抱える課題や状況、レベルによって多少異なりますが、大きく次の5つを推奨しています。
- 感情制御のメンタルスキル
- ラウンド毎のテーマの設定と振り返り
- フローゴルフのより深い理解
- イメージトレーニング
- 集中力と学習効果を高める練習方法への転換
フローゴルフを実践していくことは、地道な努力を必要としますが、少しずつ集中力や練習の質が高まっていきます。
感情制御のメンタルスキル
ラウンドが思うように進まなかったり、ナイスショットがデポットに入ってしまっていたときに、イライラを抑えられなくなったり、ネガティブな感情を引きずってしまうことがありませんか?
自分ではコントロールできない出来事にイライラしていては、自分でフローへの扉を閉じてしまうことになります。
ゴルフにおいて、いつも順風満帆であることはありません。どんなに努力したとしても、失敗や不運なできごとは必ず起こります。
大事なことは、そのときに自分でどんな対応ができるということ。感情を荒らげたり、不必要に落ち込んだりしても、あなたの思う結果は得られません。
感情のコントロールは、フローゴルフを長く地道に続けていくうえで、大事な基礎となります。
感情コントロールのためのメンタルスキルでお勧めなのは呼吸法です。いつでも平常心を再現できるように、徹底的にトレーニングしていくことが大切です。

ラウンドテーマ設定と振り返り
ラウンドのテーマや目標をどう設定するか?
ツアープロも含め、多くのゴルファーが犯しがちな誤りは、目標をスコアにすることです。
確かに、その可能性があるうちは、確かに適度な集中力を持ってプレーすることができます。ただ、その可能性がなくなった途端に、残りのホールは「消化試合」になってしまい、適度な緊張感や集中力を保ちにくくなります。
しかし、ラウンド目標を、「1日をとおして、リズムよくスイングする」とすれば、スコアや成績に関わらず、最終ホールまで適度な緊張感や集中力を保つことでき、後半もフローに入れる可能性が残ります。
こういった「結果に依存しない」目標設定をラウンド毎に設定し、振り返ることはとても大事なのですが、できている人はとても少ないのが実情です。
フローゴルフのより深い理解
数多くのUSPGAプロを指導する米国人メンタルコーチ、ジオ・ヴァリアンテ博士の著書『フローゴルフへの道』(水王社/2014)は、フローゴルフを理解する上で、とても大切な次のようなキーワードを上手く説明してくれています。
- 習慣化
- コントロールのパラドックス
- 自動化と調和
- 周辺意識と中心意識
- エゴ志向と熟達志向
- C-S一致
- 挑戦を楽しむ姿勢
これらのキーワード・基本概念を知ることは、より深くフローゴルフを理解し、実践し、継続できるようになるでしょう。
いいゴルフをするコツは、コントロールしようとする心を手放すことで、コントロールを得るということにある。
スコット・キャメロン
これらの中でも一番大事なものは、「挑戦を楽しむ姿勢」です。この姿勢を維持できないと、ゴルフは単に辛いものになってしまいます。なぜなら、毎回満足のいく練習やラウンドなんてできないのですから。
ゴルフもパッティングも楽しむことにしたんだ。ゴルフで私が失うものなんて何もないんだから。パッティングも入ればもちろん嬉しいけど、はずれてもにっこり笑って、「よし次こそ入れてやろう」と思えるようになったんだ。
カミロ・ビジェカス
イメージトレーニング
ゴルフはイメージ力が問われる競技であり、イメージ力があればあるほど、集中力、感情制御、ショットの向上、技能の上達、試合前の心理的準備など、様々な場面で役に立ちます。
イメージトレーニングは、究極で万能のメンタルトレーニングです。
一般的に、ゴルフの実力が上がれば上がるほど、イメージ力は上がっていくものですが、上級者やプロでも、なんとなくのイメージしかできていないことも少なくありませんし、社会人ゴルファーでもイメージ力を強化することで、上達の階段を早く登れる可能性は高まります。
集中力と学習効果を高める練習法
延々と練習し続けているアマチュアゴルファーを練習場でよく見かけるが、彼らの練習は集中力を欠き、これではいたずらに疲労を重ねているようなものだ。こんな練習ではむしろゲームに弱くなってしまうだろう。
ジャック・ニクラウス
学習効果についての実証研究から、単純な反復練習は、上達につながらないだけでなく、上達を遅らせる可能性が高まることがわかっています。例えば、練習場に行き、ドライバーを連続で何発も打って、後半にナイスショットが連発したしても、それはその時の満足にしか過ぎないのです。来週の試合では使えません。

ドライバーを中長期的に上達させたいのであれば、ドライバーを連続で打つのではなく、アイアンやチッピングといった他のショットや、イメージなどを間に挟む必要があります。もしくは左素振りをすることで、先ほどの運動残像を脳から消去する必要があります。
こうすることによって、1打1打に集中力が求められますが、新しい技術は定着しやすくなるだけでなく、応用が求められる場面でも使えるようになるのです。
このような学習理論(ランダム練習)は、少しずつ知られるようになっているので、どこかで聞いたことはあるかと思います。しかし、頭では分かっていても、なかなか継続は困難です。
なぜなら、ドライバーを連続で打ったほうが、ナイスショットが出やすく、練習の満足感が得られやすいからです。
本番でも使える技術を養うためには、脳に負荷をかけることが大切であり、そのために、どのような練習方法を立て、中長期的に実践していくことが大事です。
フローゴルフは、イップス克服やプロテスト合格の突破口!
石井塾では、これまでの多くのゴルファーにメンタルトレーニング指導してきました。
この経験からわかったのは、委縮の悪循環に陥り、スランプに陥っていたゴルファーでも、呼吸法やイメージといったメンタルスキルを身につけると、多くはそれほど時間がかからずに回復することができるということ。

しかし、長年抱えているイップスの克服や、プロテスト合格を目指すには、テクニック的にメンタルスキルを高めるだけでは不十分です。
もっと大きなビジョンを持って、これらの困難や課題に立ち向かう必要があります。
なぜなら、どちらもそんなに簡単には達成できないことだからです。
目標に向けて努力しているのに、3歩進んで2歩下がるどころか、4歩下がることすらあります。
しかし、ゴルフを通して成長する。
この基本姿勢でゴルフに取り組めていれば、これらの苦難を前向きに乗り越えて、プロテスト合格やイップス克服にぐっと近づくはずです。
そして万が一、イップスが完全に改善しなかったとしても、最終テストを突破できずに諦めるとしても、そこに費やしたお金、時間、エネルギーを全く無駄なものにはなりません。
あなたの人生や将来にとって、必ず役に立つはずです。
このページを読んで、フローゴルフを目指してみたいという方は、まずは石井塾のお試し相談にお越しください。まずは、あなたがどのようにフローゴルフを目指していけるのかを一緒に考えてみましょう。
石井塾フローゴルフ実践会
塾生やOBだけが参加できるゴルフ定例会です。毎月に1度、千葉房総エリアでのラウンド会、そして、年数回を目安に、全国各地のゴルフ場で合宿をしています。スケジュールに合わせて参加は自由です。フローゴルフを目指して頑張っている仲間との交流の場であり、情報共有の場です。