スポーツや演奏、ビジネスの分野で、それなりに成功しているのに、昔から自分に自信がないので、自信をつけたい、という方が少なくありません。
そして、メンタルトレーニングで自信をつけたいと言います。
多くの場合、彼らは自信がないのではなく、自信が隠れてしまっているだけなのですが、結果が出ていないと、もしくはときとして大きな理由もなく、自信喪失状態に陥ってしまうことは少なくありません。
メンタルトレーニングで自信回復できるか?と問われれば、答えはYESです。
そして、その方法や回復過程はひとつではありません。
あまり知られていませんが、メンタルトレーニングで使われる心理メソッドは、大きく「認知思考系」「暗示催眠系」「行動感覚系」の3つに分かれるか、そのハイブリッドです。
この記事では、自信回復というテーマにおいて、それぞれがどんなことを行うかについて簡単に解説します。
「認知思考系」のメンタルトレーニング
「認知思考系」のメンタルトレーニングでは、コーチは、自信のなさを訴えるクライアントに対して、どうしてそんなに自信がないのか、どんな場面で自信がなくなるのか?過去に自信があったときはどんなとき?など、様々な質問を投げかけていきます。
その中で、「いつも自信がない」とか、「必ず失敗する」といった認知が、実は正しいわけではなく、いつも自信がないわけではない、必ず失敗するわけではない、ということに気づきを与えるのです。
いわゆるプラス思考やポジティブシンキングですが、マンツーマンセッションの場合、考え方を教えるといういよりも、コミュニケーションをとおして自分で「歪み」や「思いこみ」に気付かせることがポイントです。
自分で気付いたほうが、人はそれを受け入れやすいからです。
「暗示催眠系」のメンタルトレーニング
「暗示催眠系」のメンタルトレーニングでは、コーチはクライアントに対して、成功している自分・自信を持って堂々としている自分をイメージさせたり、宇宙からエネルギーを取り込んだり、悪い毒素が体から放出されるようなイメージをさせたりすることによって、自信を回復させます。
そんなことで本当に自信が回復するのか?と疑う人もいるかと思いますが、暗示や催眠というのは、被暗示性の高い人にとっては、非常に強力に働くことがわかっており、たった1回のセッションで失った自信を回復させるどころか、全能になった自分を感じることも可能です。
ただし、この効果はあくまでも一時的です。時間がたったり、失敗をしたりして、暗示や催眠が取れてしまえば、また元の状態に戻ります。
「短期的には非常に強力に働くことがあるので、どうしても短期間で変わる必要がある、試合が近づいているスポーツ選手なんかにはいいかもしれません。
反面、怪しい人も少なくなく、非常に高額な費用を請求されることもあります。
「行動感覚系」のメンタルトレーニング
「行動感覚系」のメンタルトレーニングでは、コーチはクライアントに、呼吸法やルーティンといったメンタルスキルを教えて、会議や試合、コミュニケーションなどの大事な場面で、自分の感情をコントロールし、自分のパフォーマンスが発揮できるように指導します。
スポーツ、演奏、ビジネスなどに深くかかわっている人が自信を回復するには、結果を出さなくてはなりません。
結果が伴わないと、本当の自信は維持できない、だからまずは、本来の力を発揮して、結果を出すことに注力するのです。
そして、そのために必要な感情のコントロールから入るのです。徐々に結果を出していく中で、自信も少しずつ回復します。
必ずしも、優勝するとか、ライバルに勝つ必要はないのです。自分の力が発揮できたと感じることができれば、少しずつ自信は回復します。
心理学の専門用語では、自信は「自己効力感」と呼ばれますが、この言葉のとおり、「自己の力でなんとかできる」思えるかどうかが大事であり、何もできないと感じると、無力感=自信喪失になるのです。
どのタイプを選ぶべきかは、あなた次第
どのメンタルトレーニングが一番なのかは、自信を回復したい人の置かれた状況や、症状、経歴や実績、性格タイプによって違ってきます。
また、一時的に自信を回復したいのか、地道に自信を取り戻していきたいのか?といった意向によっても違います。
大事なことは、自分に合ったアプローチを選ぶことであり、それを提供してくれる経験豊富なメンタルトレーナーを選ぶことです。
そのメンタルトレーナーとの相性も大切です。
主流は「行動感覚系」と「認知思考系」の組み合わせ
行動感覚系と認知思考系を組み合わせたものが「認知行動系」であり、現代のカウンセリングでは主流となっています。
大学院を出て、カウンセリングの専門資格を取得するひとの多くが、これを軸に心理支援を行います。
メンタルトレーニング石井塾では、暗示催眠に頼らず、地道な自信回復を目指す人に対して、まずは「行動感覚系」のアプローチを徹底的に行い、後半は「認知思考系」のメソッドを取り入れています。
そして、石井塾の門をたたく人の多くが、スポーツや演奏などの技能、もしくはビジネスにおいて、なんらかの理由で本来の力を発揮できずに悩み、それで自信を失ってしまっています。
そういったクライアントにとって、まず大切なことは「平常心」だと考えます。
大事な場面で「平常心」でいられれば、おのずと結果は出ますから。そうすれば、自然と自信は回復するものなのです。
そして、平常心を作るために、まずはレゾナンス呼吸やルーティン、イメージトレーニングといった「行動感覚系」のメンタルトレーニングを指導しています。
スポーツや演奏、ビジネスなどで、それなりに実績を残しているのであれば、それなりの技能と自信は持っているものです。
また、前向きな思考もできていたはずなのです。ただ、今はそれが隠れてしまっている。
だから私は、考え方を変えるのではなく、本来の力が発揮できるようになるメンタルスキルを身につけることが、結果的に、着実な自信回復をもたらすものと信じています。