アスリート(スポーツ)

テニスで力を出し切るためのメンタルトレーニングの実践方法をプロが徹底解説

・練習での良いプレーが、試合ではできない
・大事な場面ほど、力んでしまう
・一度ミスをすると、その後ずるずると崩れる
・周囲の目が気になってしまう
・思い切ったプレーができない
・こんなに頑張っているのに結果が出ない…

もしあなたや、あなたのお子さんが、テニスに真剣に取り組んでいる中で、これらに該当することが3つ以上あれば、少し時間をください。

この記事は、20年以上の経験を持つプロのメンタルコーチが、大事な場面で力を発揮できるようになるためのテニスのメンタルトレーニングの流れやあり方について、事例を紹介しながら、「実践的」な形で解説しています。

AIによる表面的な回答に物足りなさを感じているのでしたら、この記事はきっと役に立ちます。

なぜ試合になると思ったようにプレーできないのか?

多くのテニス選手が抱えているこの疑問には、もうすでに脳科学的な答えが出ています。

それは、プレッシャーが脳の出力パターンを変えるから、です。

基本的に、誰でも、練習よりも試合本番のほうがパフォーマンスの質は下がります。

  • 練習コートと試合会場では、見える景色が違う。
  • 「負けたくない、負けられない」という思考が働く。
  • プレーはやり直しできない。

これらはすべて無意識のプレッシャーとなり、脳の出力パターンを変えてしまいます。

大げさに言えば、吊り橋と横断歩道の上を、全く同じように歩くことはできません。

大事な本番であればあるほど、誰でも動きはぎこちなくなるものなのです。

しかし、あなたにも心当たりがあるはずです。

プレッシャーをものともせず、すべてがうまくいった試合が。

それが「ゾーン」と呼ばれる状態です。

究極の集中「ゾーン」とは?

これまでのテニス人生で、試合中、こんな感覚に陥ったことはありませんか?

ボールに体が勝手に反応してくれた
すべてがスローモーションに見えた
あらゆることをコントロールできていた
余計な雑念がなく、集中が途切れなかった
すべてのことが自動的に起こっていた

あなたが高いレベルでテニスを続けてきたのであれば、これまで必ず何度かは体験したことがあるはず。

この状態が、いわゆるゾーン(フロー)です。

ゾーンは、あなたの力が100%発揮されている状態です。

そして、ゾーンが頻繁に起きていた時期に、あなたのテニスのレベルは一段上がり、成長を実感できていたはずです。

反対に、ゾーンがほとんど起こらなくなってからは停滞中で、成長している実感がほとんど得られてないはずです。

では、なぜゾーンが起こらなくなるのか。

その裏側では、多くの選手がある悪循環に巻き込まれています。

萎縮の悪循環に陥るとき

本番でパフォーマンスが下がること自体は、脳の仕組み上、誰にでも起こりえます。問題は、そこからどうなるかです。

試合で思ったような結果が出ない。すると、次の試合では「また失敗するのではないか」という不安が生まれる。

その不安がさらにプレッシャーとなり、体がもっと固くなる。そして結果がますます悪くなる。

私はこれを「委縮の悪循環」と呼んでいます。

多くの場合、いきなり「全く別人」になるのではなく、この悪循環に少しずつ巻き込まれていくのです。

テニスという競技では、直接的に勝ったり負けたりを繰り返していくので、負けが続くと、自信を失い、思いきったプレーができなくなり、また負けるという、この悪循環に陥りがちです。

しかし、諦める必要はありません。正しいメンタルトレーニングに取り組むことで、この悪循環から抜け出すことができます。

ここからは、私がテニス選手に指導している具体的なメンタルトレーニングを紹介します。

まずは萎縮の悪循環から脱出しよう

このような悪循環に陥ってしまっているテニス選手に対して、私が必ず勧めてきたのは、次の3つのステップです。

ステップ① レゾナンス呼吸法で平常心をつくる

すべてのメンタルトレーニングの基礎になるのが、呼吸のコントロールです。

具体的には「レゾナンス呼吸法」という方法で、平常心を自分で作り出す練習から始めます。

やり方はシンプルです。

1. 椅子に座り、背骨をまっすぐ伸ばし、軽く胸を張り、少し顎を引く。

2. 右手を心臓の上に置き、意識を心臓周辺に向ける。

3. そのまま5〜6秒間隔で、吐くと吸うを繰り返す。

シンプルですが、普段から丁寧に続けていくことで体に定着し、徐々に大事な場面で平常心を再現できる確率が高くなります。

レゾナンス呼吸法で、いつでも平常心を再現できるようになろう!レゾナンス呼吸法TMとは、塾長が提唱し、商標登録している呼吸法のやり方です。 海外の医学・生理学・スポーツ心理学の論文に記載されて...

ステップ② 試合に向けた呼吸の実践活用

2-3週間かけて、呼吸法を基礎スキルとして身につけた後に、次に選手が取り組むのは、試合に向けて呼吸をどう使うのかという応用スキルの習得です。

まずは次のような場面で、3分から10分くらいの呼吸法に取り組みましょう。

  • 試合前日の夜
  • 試合当日の朝
  • 会場に向かう電車や車の中
  • 試合前の待機中

試合前はバタバタしてしまうかと思いますが、これらは忘れなければ必ず実行できるはずです。

そして、より望ましいのが、試合中に呼吸を行うことです。

試合中に呼吸なんてできない!と思われるかもしれませんが、大丈夫、必ずできます。

ただ、レゾナンス呼吸のように「5秒で吸って、5秒で吐く」といった呼吸にはならず、状況に応じて、

  • ゆっくり長く吐く
  • 短くしっかり吐く

こういった呼吸になるかと思います。

例えば、

  • サーブの前
  • レシーブの前
  • チェンジコートのとき
  • ボールを拾いにいくとき
  • ミスの後

などなど。

そして大事なことは、吸うのではなく、吐くことを意識することです。

一般的には深呼吸するときは、つい吸ってしまいますが、ぜひ「吐く」を意識してみてください。

このあとの事例でも詳しく書きますが、ハイレベルなテニス選手のほとんどが、この「吐く」をタイミングよく行うことで、本番では余計なことを考えなくなり、力を発揮できたと報告をくれています。

ステップ③ メンタルリハーサルで「体が勝手に動く」準備をする

呼吸法を習得した後に取り組むのが、イメージトレーニングです。

イメージトレーニングと聞くとひとつの方法のように思えますが、実はやり方はさまざまです。

私がテニス選手に強く勧めているのは、これから迎える本番を頭の中で想定するメンタルリハーサルという方法です。

メンタルリハーサルで本番力に差をつけよう!既視体験(デジャヴ)で不安も緊張も迷いもなくなる本番で力を発揮するために、最も大切なイメージトレーニングがメンタルリハーサルです。本番を頭の中で事前にリハーサルすることで、緊張しがちな状況に脳を慣らし、更には体が勝手に動いてくれる状態を作ることができます。...

メンタルリハーサルで大事なのは、相手とのかけ引きを、頭の中でさまざまにシミュレーションすること。

うまくいく場面だけでなく、次の試合で起こりうる「困難な状況」にどう対処するかをイメージするのです。

これはいうほど簡単にはできません。

多くの場合、説明を聞くとわかったような気になりますが、実際にやり始めると、

何を想定すればいいかわからない
嫌な気持ちになるのでやりたくない
イメージできているかわからない
イメージしていたようにならなかった

こんな理由から、メンタルリハーサルをいつの間にかやらなくなります。

【事例】メンタルトレーニングで変わったテニス選手たち

事例1:全国大会で優勝しながら、進学してから崩れた高校生 〜 エースとして復活し、県のシングルスで優勝

中学時代に、テニスの全国大会で優勝したこともある男子選手でした。

その肩書きを背負い、期待されて地元の強豪テニス部に入部しました。

しかし、中学時代は自分の方が格上だった選手が高校で力をつけ、その選手にもたまに負けるようになると、焦りがどんどん募っていきました。

格下に1セットも取れないと恥ずかしい、そんなことばかり考えて、プレーの質がどんどん下がっていったそうです。

そしてついには、簡単なハイボールのスマッシュさえ決められない状況に追い込まれていました。

この選手が、調子を崩していた時期に書いてくれた言葉が残っています。

最近の試合では不安でしょうがなくて、心臓のバクバクと、足を思ったところに運べないストレスで試合に夢中になれなくて、勝ち方が全く分からなくなってしまいました。

全国制覇した選手でも、一度悪循環に入ると、それまでの自信は吹き飛びます。むしろ、実績があるぶん「負けられない」という重圧は大きかったのでしょう。

取り組みは、呼吸から始めました。まず毎日のレゾナンス呼吸で、体の状態としての平常心を作れるようにする。次に、それを試合で使えるようにしていきました。

決められなくなっていたスマッシュには、こう提案しました。

ハイボールが上がったら、まず一息フッと吐いてから打つ。それだけで、スマッシュのミスはすぐに消えました。ハイボールが上がってから打つまでの間に、余計なことを考える時間があったのが原因で、その隙を呼吸で埋めただけです。

呼吸が使えるようになってから、メンタルリハーサルに進みました。

メンタルリハーサルは必ずしも簡単ではないのですが、彼は、これを驚くほど早く自分のものにしていきました。

強い球を返されると、以前はむきになって強い球で返して自滅していたのが、試合中もイメージしておいた通りに、落ち着いてコートを広く使えるようになっていきました。

さらに、相手をこう誘い出して、こう返す。そこまで具体的にイメージしてリハーサルを重ねたところ、ある試合では、それがそのまま何度も起こったそうです。

本当にイメージ通りに相手が打ってきたので、心の中で「あざっす」と呟きながら、余裕をもってリターンエースを何度も決められた、と報告してくれました。

結果として、この選手は再びチームのエースとして復活し、3年次には、県のシングルス・ダブルス・団体の3冠を達成しました。

また、復調後に、海外の大会にも出るようになりましたが、そこで久しぶりのゾーンを体験したと報告くれたことを、今でも覚えています。

呼吸も、イメージも、ルーティンも、セルフトークも、今どき誰でも知っています。AIに聞いても、メンタル講習でも、同じ言葉は出てきます。

けれど、そこで学べるのはやり方の知識だけ。多くの選手が、なんとなく試して、効果を感じられないままやめてしまいます。

本当に大事なのは、そのスキルを、その選手が試合のどこでどう使うのかまで落とし込むことです。彼のスマッシュのどの瞬間に呼吸を挟むのか。

どんな誘い出しをして、どう返すと決めておくのか。ここは一般論では埋められず、その選手のプレースタイルや課題を詳しくヒアリングしながら、ひとつずつ詰めていくしかありません。

選手が本当に変わっていく源泉は、この具体的なやり取りの中にあります。

事例2:呼吸で切り替え、マッチポイントからの大逆転で優勝したソフトテニス選手

次に紹介するのが、中学3年生の女子ソフトテニス選手です。

県大会で優勝する実力を持ちながら、試合中のメンタルの不安定さを母親が感じていました。

彼女自身、「リードしていると油断して集中が切れ、負けている時は焦ってミスを連発してしまう」と、自分の精神的な波に気づいていました。

また、速いボールに対して足がすくみ、ボレーがボールを「ペチッ」と当てて殺すだけの守りのプレーになってしまうことにも悩んでいました。

いつもの通り、取り組みは、呼吸からです。

面白かったのは、最初に効果が出たのがテニスではなく日常生活面だったこと。

彼女は数日後のセッションで、お母さんに色々言われてキレて言い返して、最後にドカンと怒られたそうです。

そのイライラが、「夜に10分間呼吸をやったら、スッとなくなった」というのです。やり始めて2、3分で怒りが消えていくのを感じたそうです。

これをテニスに落とし込む中で、彼女は身体の変化に自分で気づいていきます。レシーブの構えで呼吸をしてもらうと、「息を吸うと肩が上がって緊張する。でもゆっくり吐くと、肩の力が抜けて重心が下がる」。

そこから、サーブやレシーブの直前に「息をフッと吐き切ってから動き出す」という自分なりのルーティンを作り、「落ち着いて周りが見えるようになり、相手の打ってきやすいコースが見えるようになった」そうです。

次に取り組んだのが、イメージトレーニング。

足がすくむバックボレーを、「相手のボールが来るまではグリップを緩く握り、弾くタイミングでギュッと握る」と、家で数回頭の中でイメージしてもらいました。

すると数日後の練習で、「足がすくむ感じがあったんですけど、イメージ通りにやってみたら、めっちゃ思ったようにパーンって打てた」と嬉しそうに報告してくれました。

さらに彼女は、相手をはめる戦術まで自分でイメージするようになります。

「センターに一歩寄ってストレートが開いていると見せかけ、相手がそこに打ってきたところを取りに行く」。

試合で試すと、狙い通りに相手のボールを取ることができ、自分で仕掛ける面白さに気づいていきました。

この積み重ねが、夏の大会で形になります。

準決勝では、1ゲーム目を簡単に取って「いけるな」と油断した瞬間、集中が切れて連続で2ゲームを落としました。

しかし彼女は「これやばい、このまま負けるかも」と自分の状態に気づき、ポイント間の移動中に、意図的に数十秒の呼吸をしました。

「呼吸をしたら切り替えられた。そこから集中できた」と言い、逆転勝ち。

そして決勝。ファイナルゲーム、ポイント3-6。あと1点取られたら負けという、相手のトリプルマッチポイントです。

何も考えられなくなってもおかしくない場面を、彼女はこう振り返ってくれました。

自分が動かなかったら後衛もしんどい。ここは自分が動こうと思って、呼吸をして集中しました。そしてボレーに出たら、事前にイメージしていた、相手をはめるポーチボレーが取れたんです

その1本で流れを完全に引き寄せ、そこから連続ポイントを奪って、大逆転で優勝したそうです。

極限のプレッシャーの中で呼吸をして集中を取り戻し、事前に準備していた戦術をそのまま実行できた瞬間でした。

優勝の直後、お母さんからこんなメールをいただきました。

昨日、無事個人戦を終え、優勝することができました! 呼吸法や、イメージトレーニングを前日の夜までしました。

流れがもっていかれそうになりましたが、呼吸法やイメージトレーニングなど色々取り入れて、なんとかのりきったみたいです。次は全国大会を目指して、親子共々、より楽しんで努力をしテニスができたらとおもっています

彼女がやったことも、呼吸で平常心を保ち、崩れやすい場面や苦しい局面をどう戦うかを事前にイメージで準備しておく。

その準備を、自分の試合で使えるところまで落とし込んだだけです。

なお、彼女との7回のセッション記録を、AIにそのまま要約させて、動画を作成しました。私の編集は入っていません。実際にどんなやり取りがあり、彼女がどう変わっていったのかが、そのまま記録されています。

地道にコツコツと努力できる選手であれば、必ず変われます

真剣にテニスに取り組んでいるのであれば、委縮の悪循環はレベルに関係なく起こります。どんなに上手くなっても、上には上が必ずいるからです。

大切なのは、精神論に走ったりするのではなく、まずプレッシャーに対処できるメンタルスキル(呼吸やルーティン)を正しく身につけること。

そのメンタルスキルという土台があって初めて、試合に向けた準備や練習が機能し、悪循環から抜け出すことができます。

その土台を身につけるには、毎日コツコツとメンタルトレーニングを重ねることが欠かせません。選手が一瞬で変わる「やる気スイッチ」や「魔法の言葉」はなく、逆に言えば、毎日地道に積み重ねられる選手であれば、必ず変われます。

私はこれまで20年間、2万時間以上にわたって、本番で力を発揮できずに苦しむ人たちを個別に指導してきました。

テニス選手だけでなく、アスリート、ゴルファー、音楽家、外科医、ビジネスパーソン。分野は違っても、萎縮の悪循環に苦しむ構造は共通しています。

これらの経験とノウハウから、委縮の悪循環から抜け出す道筋は、私が示せます。

大事な試合が近づいていて、あまり時間がない場合は、今すぐに個別相談にお申し込みください。

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