『その科学が成功を決める』(文藝春秋社)という本によると、心理本や自己啓発本、インターネットなどでよく推奨される成功イメージは、実際には、役に立たないどころか、マイナスになってしまっているそうです。
この本は、イギリスの心理学教授が書いたものですが、その第3章では、成功イメージをした人ほど、実際には悪い結果になってしまったという心理学実験を多数紹介しています。
例えば、学生を2つのグループに分けて、片方のグループには、試験で良い点を取った自分と、その時の気分の良さをイメージしてもらい、もう片方のグループには、いつもどおりに試験勉強をしてもらった。
すると、前者のほうが試験の成績は悪かった。
また、ダイエットプログラムに参加した肥満体の女性や、卒業前の大学生などの研究によると、ダイエットや仕事で成功している自分を思い描く(イメージ)頻度が高い人ほど、実際には悪い結果につながっていたことがわかったそうです。
なぜでしょうか?
この本によると、原因は大きく2つ。
(1)途中で遭遇する挫折に対して準備をしなくなるから
(2)現実逃避に陥って、目標達成に必要な努力をないがしろにしてしまうから
なるほとですね。
ただ、成功イメージが悪いかというと、決してそんなことはないと考えています。原因(1)(2)を回避できる、ほかのトレーニングと組み合わせることができれば、気分は良くなり、モチベーションを高める効果は期待できるからです。
つまり、失敗イメージ(失敗したときに、そこから立ち直るイメージ)や、毎日の努力を記録を残す、などをうまく組み合わせれば良いのです。
成功イメージは、数多くのイメージトレーニングのひとつに過ぎないのですから、成功イメージの効果がないからといって、「イメージトレーニングは逆効果」と断言しているところに、この本の問題があります。
とはいえ、成功イメージであなたの潜在能力が開花する、とか、億万長者になれる!と謳っている自己啓発プログラムが多いのもの事実です。
こういったプログラムを提供している人たちは、成功イメージの暗示効果がもたらす「一時的に高揚した自分」をうまく利用して、参加者から高額なお金を取るのが一般的です。
成功イメージをやたら強調する自己啓発本やプログラムにはお気を付けください。
