演奏の緊張やあがり症

あがり克服以上に大事なことを学び、プロオケ合格を掴んだ音大院生のメンタルトレーニング体験談

管楽器奏者のRさんから連絡があり、先日、念願の某プロオケの団員オーディションに合格したそうです。

Rさんが入塾したのは、今から数年前。当時は大学院生でした。とある合奏の本番で突然パニックになり、演奏を続けられない恐怖を克服するために、石井塾に入塾しました。

その後、金銭的に厳しいながらも、アルバイトで塾費用を捻出し、2年ほど定期的に個人セッションを受けて卒塾し、その2年後に、見事念願であったプロオケに入団しました。

その間に、Rさん色々なやりとりがありました。

これからプロのオーケストラを目指す音楽家にとっても、参考になるところも多いと思うので、Rさんとのやりとり(メールや体験談)を、個人情報を守りつつ紹介したいと思います。

きっかけは合奏でのパニック。お試し入塾相談の申し込みメールから

***を専攻している大学院生です。

ソロの本番ではなく、目立つソロがあった大人数の吹奏楽の本番で今までにないほど気持ちが乱れてしまったことが、ご連絡しました動機です。

私の場合、ソロより人数の多い演奏の方が緊張?が激しくなります。理由はわかっていて、1人での演奏の場合他人に迷惑はかかりません。

しかし他に沢山の人がいて、しかも大先輩たちや先生方がいる、その人たちに聴かれている、下手と思われたらどうしよう、失敗するかもしれない、そのような自意識過剰のせいだと思っています。

今回なんとか演奏を終えられたものの、全員で吹いている難しくない部分でも動揺が止まず、本当に辛い思いをしました。

今までにもこのようなことはあったのですが、今回はこのままでは楽器ができなくなると本気で思い、こちらを見つけました。演奏家への道を諦めたくありません。よろしくお願いいたします。

Rさんのメンタルトレーニングはこの第一歩から始まりました。

そして、2か月の短期集中コースのあと、そのまま継続コースに入り、2-4週間に1回のペースでセッションを重ねていきました。

入塾時にプロオケのオーディションは突破できませんでしたが、いくつかの国内コンクールで入賞できるようになった2年後くらいに、卒塾することになりました。

そのときにお願いして体験談を書いてもらいました。それを全文紹介します。

途中青枠で囲ってあるのは、実際に当時、Rさんからもらったメールです。本番のあとにどんなことを意識して振り返ったのかがわかると思います。

メンタルトレーニング体験談(入塾2年後・合格2年前)

私は某音大大学院生の管楽器専攻です。メンタルトレーニング石井塾に入塾したのは2年前の秋頃でした。そのきっかけは、とある合奏の本番で、これまで経験したこともないほどの緊張を経験したことです。

昔から、そこそこ緊張するほうではありましたが、ソロの本番では何とか乗り越えて演奏をしていました。しかし、入塾のきっかけとなった合奏では、そこまで難しい曲でもなかったのにかかわらず、本番中に頭が真っ白になるという経験をはじめてしたのです。自分なりに原因を考えて見ると、以前からソロより複数人での演奏の方が緊張や失敗が多かったり、プレッシャーをより感じるということがありました。

何とか演奏は続けられたものの、そのようなことが2回連続で続き、このままでは楽器が続けられなくなるのではないか…とまで思い込んでしまい、その本番の帰りの電車で、メンタルトレーニングについて色々と検索していたところに石井塾を見つけました。決して安くはない費用ですので迷いましたが、どうにかしなくてはという思いが強く、お試し相談希望のメールを送りました。

お試し入塾相談ではまず、相談理由や状況について詳しく話しをしました。そのあと、先生からは、どのようにして緊張が起こるのか、それをどう克服していけるのか等のお話しがあり、実際にメンタルトレーニングとしての呼吸法の指導を受けたりしました。科学的な面から緊張のメカニズムがわかり、期待が持てました。そして体験入塾の終わりには、「○○さんの場合は、そこまで深刻なあがり症ではないから集中コースで克服できる可能性が高いでしょう」と言っていただきました。

その時期、本番やコンクールが控えていたこともあり、入塾を決断し、体験入塾の翌週から集中コースのセッションが始まりました。

初回の講義では、まず緊張の原因となるストレスについて、レゾナンス呼吸について詳しく説明を受けました。ストレスは悪い作用をもたらすだけではなく、ある程度必要なものだということがわかりました。ストレスとどう付き合うのが良いのか理解できました。

そしてレゾナンス呼吸を1日にどの程度やるのか、どんな場面でやるのか説明を受け、最初のうちは用意されたチェックシートに記録していきました。心拍数を落ち着かせるレゾナンス呼吸は、自分で行っているだけだと最初のうちは正しくできているのか心配ですが、貸し出していただいた器具を使うと、簡単に自分の心拍の状態が把握できました。私は毎日の練習の合間や、就寝前、またリハーサル前などに集中してレゾナンス呼吸を行いました。

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入塾してから約2週間後に、入塾のきっかけとなった、同じ団体の演奏会がありました。リハーサルの前や、本番前にレゾナンス呼吸を集中的に行いました。リハーサルではかなり緊張してしまい、胃が痛くなったりもしました。しかし本番では前回より動揺することなく、また楽しいと感じる瞬間もありました。このようにすぐにレゾナンス呼吸の効果を感じることができたので、このまま続けようと思えました。

集中コースではレゾナンス呼吸の他に、演奏前のルーティーンとイメージトレーニングについても教えていただき訓練しました。スポーツ選手などでもよく聞く「イメトレ」ですが、どのように行うと効果的なのかを詳細に教えていただきました。そして演奏中のイメトレだけでなく、本番直前の数分間をどう過ごすのかを自分で決めてイメトレをしました。

本番直前というのはとても緊張する場面ですが、そのときに自分が何をするかをあらかじめ決めて、準備することができたため、「練習のように演奏する」ということを本番で実感できるようになりました。

石井先生

こんばんは。本日、××でのアンサンブル(****奏)の本番が終わりました。

今までの本番の中で、一番落ち着いて、そして音楽を楽しめた時間となりました。もちろん緊張はしましたが、本番はまさに練習のように吹け、それだけでなく音楽を味わうことができました。もちろん全てではないのですが、いつもはこんな余裕すらなかったので大きな変化です。

このような大きな舞台で失敗なく終われたことに何よりほっとし、今までしてきたメンタルトレーニングの効果を一番感じました。今回は電車の中や普段の合わせ、練習から本番の舞台をよくイメージできていたことが大きいと思います。

来週は××でオーケストラの本番です。二番ですが、目立つところもあるので気を抜かずこちらもしっかり対策しようと思います。

以上ご報告でした。

入塾した翌月にあったコンクールでは予選落ちをして本当に悔しい思いをしましたが、このような準備を毎回積み重ねることで、約1年後のコンクールでは本選へ進み入選することができました。

石井塾に通い始めてから、多くの演奏会、コンクール、オーディションなどの本番がありました。その一つ一つで色々なことがありましたが、進歩を感じることができました。毎日の積み重ねと本番を経験していくうちに、少しずつあがり症も克服していくのを実感し、自信をつけることができました。

石井先生

朝一で***コンクールの1次予選が終わりました。

昨日、練習中やメンタルリハーサル中に暗譜が不安になったりもしたのですが、今日は落ち着いてメンタルリハーサルができました。本番前もあまり吹きすぎず、呼吸とリハーサルの時間を十分にとるようにしました。

肝心の演奏ですが、緊張で多少口の渇きと足の震えが出たりしましたが、しっかりリハーサルをしたおかげか気持ちは落ち着いていたように思います。

ホールの響き的には***コンの***ホールがとても吹きやすかったのでその点今回の会場はちょっとイマイチに感じましたが、***コンのときよりミスは少なく演奏できました。

聴いていた方から、貫禄あったよとのお言葉をいただきました。笑

落ち着いて吹けた分、逆に臨場感が少なかったのではないか…とも思いますが、とりあえず今は無事に終わって一安心です。

明日の結果発表まで、2次の準備をしっかりしたいと思います!以上、ご報告でした。

こんばんは。二次予選が本日あり、先ほど結果が出ましたが残念ながら三次予選へ進むことができませんでした。

本番は一次予選のときほど緊張せず、また今日はホールの響きをよく聴いて演奏できたのですが、技術的に弱いところ、苦手なところが出てしまいました。弱音や低音が思うように鳴らせないところが多かったです。

しかしミスがあっても、音楽的に演奏するということは忘れずにできました。ただやっぱり悔しい部分も多かったので、落ちてしまって本当に悔しくて号泣です。笑

でもコンクールなどを受けてきてこんなに悔しい思いをしたのは初めてで、それだけ今回思い入れがあったということだと思います。

メンタルリハーサルや直前の呼吸などで成果が出せたことも実感しましたし、それだけにもっとできなかったのか…と思います。

今回一次、二次と演奏してたった2回ですが色んな気づきや学びがあったので、この経験を次に生かそうも思います。

応援どうもありがとうございました!

また、あがり症だけでなく様々な面で効果を感じることができました。

例えば、これまでは本番に向けて、ただがむしゃらに練習していましたが、「どのように練習することが効果的なのか?」「どのように本番までを過ごしていけばいいのか?」「自分がどうしていきたいのか?」「自分の音楽のいいところはどんなところなのか?」を真剣に考えることができるようになりました。

入塾してからのこの経験は一生の宝物になりました。

最初に入塾を決めた理由は「あがり症の克服」でしたが、それだけにとどまらず自分の目標を達成するため、良い音楽家になるためにどのように過ごしていけばいいのかを考え実践するようになれたからです。

今でも先生から教えていただいたことが大きな基礎となっています。

音楽家を目指して努力している人の中には、必死に練習はしていても、例えば本番までのスケジュール管理が計画的にできていなかったり、自分のやりたい演奏がなかなかできなかったりと、あがり症以外でも悩みを抱える人が多いのではないでしょうか。

石井先生からは、そのような楽器の先生のレッスンでは教えていただけないことについてアドバイスをもらえるし、相談することができます。もちろん練習も大切ですが、それ以外の時間をどう過ごすべきなのか、それを考え実際に変えることができたのは石井先生のおかげでした。そして飽きっぽい私が続けられたのも、石井先生がよくコミュニケーションをとってくださったからだと思います。見守ってくれる人がいるというのはとても心強いものです。

あがり症はもちろん、一人で頑張ることに自信がなくなった人にも石井塾をおすすめしたいです。


卒塾してからも、Rさんとのメールのやりとりは続いていたし、Rさんが某コンクールで入賞したご褒美としてのプロオケとのコンチェルト演奏も聴きに行きました(その演奏会ではたまたま私が関わった3名の音楽家が舞台にいました)。

そんな感じでやりとりしていた2年後に、某オケの合格を勝ち取ったのです。

プロオケ合格時の報告メール

最終審査はかなり緊張してしまい悔しい部分がいくつかあったのですが、それでも聴いていた人からは良かったと言ってもらえたので、その緊張の中でもある程度自分の良さを出せたのだと思います。

石井塾に通い始めた頃は自分がプロオケに入れるなんて正直思っていなかったし、周りもそうだったと思います。今でもあまり実感はありませんが…。

石井先生にも本当に感謝しております。これからもメンタルトレーニングは引き続きしっかりやりたいと思います!

塾長からの補足と感想

実際、Rさんがお試し相談に来られたときに気づいたのは、根本的に性格は明るいものの、自己肯定感がとても低いということでした。経歴や実力を考えても、プロオケを目指してもおかしくないのに、自分では無理と思いこんでいました。

もちろん、演奏がどうなるかもわからない状態だったのもありましたが、「なんとなくやっていたら、ここまで来れた」というような感じで、もっと上を目指せるという自信も、もっと上を目指そうという意欲も少なかったように思います。ただ、あがりのために演奏できなくなるかもしれない…という不安が強かったのです。

しかし私にとっては、あがりの深刻度はそれほどでもなかったので、むしろ、自信や意欲を回復させることが、彼女を音楽家として成功させるために必要なことと理解し、その方向でメンタルトレーニング指導や心的支援を行うことにしたのを覚えています。

それから2年、Rさんとはいろいろなことをやりました。

Rさんと同じ楽器の音楽家の入塾はこれまで少なくなく、しかもその多くが、そこそこの実力者でしたが、ほとんどがあがりの軽減が実感できたときに卒塾してしまいました。本当にもったいないと思うのですが、若手音楽家は金銭的に辛いのでしょう。

しかし、Rさんは、自分でアルバイトをして捻出したお金で、地道にメンタルトレーニングを続けて、私から「あがり克服」以外の多くを引き出して、自分のものしていきました

そして、予選落ちなどの悔しい体験を重ねながら、初めての全国コンクール本選入選や、地方コンクールの優勝、プロオケの最終オーディション進出など、成功体験を重ねていきました。

大事な時期に、音楽家としての成長を支援できてことを嬉しく思います。

20代の頃に石井塾に行っていたら今頃もっと違うキャリアになっていたかもなあ、、、と思います。コツコツ地道に努力できる人なら誰でも効果はあると思うので、そういう人には是非お勧めします。

サイトウキネンオーケストラ チェリスト

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