先日、ネットでこんなものを見つけました。英国王立音楽大学(RCM)が導入した、音楽家のあがり症の克服を支援する最新機器です。演奏家は、スクリーンに映し出された聴衆や審査員の前で、実際に演奏を行うことで、徐々に人前になれ、過緊張を改善できるというものです。いわゆるシミュレーターですね。
その動画がこれ。
なかなか面白い機器であり、一定の効果は見込めると思います。ただ、大掛かりな装置であり、場所と費用はそこそこかかってしまうため、実際に導入するところは少なく、(先進的な)音楽大学のようなところに限定されるでしょう。ただ、この装置は、あがりや過緊張の改善以外の効果も期待できます。
それは、普段の練習における良い刺激にもなるということです。よくいわれることですが、良い演奏には、良い緊張が必要ですから。実際、この動画を作成した英国王立音楽大学も、動画のテロップで、シミュレーター&「スティミュレーター(刺激装置)」と説明しています。
この類のシミュレーターは、ITの発達とともに、この20年位で、恐怖症やトラウマなどを治療するツールとして、多数開発されています。仮想現実(バーチャルリアリティー)の3Dメガネを使ったものの、一部の医療機関で使われています。ただ、一定の効果は見込めるのは間違いないですが、極度のあがり症の方にとっては、これだけで克服するのは難しいかなという気がします。
このようなツールで、多少慣れることができたとしても、本番では、やはり過緊張がコントロールできなくなってしまうことが多いようです。練習やリハーサルでは、やはり失敗できますから。大事なのは、やはり、地道に、過緊張をコントロールするテクニックを鍛えることです。
呼吸法やイメージトレーニングの良いところは、いつでも、どこでもできることであり、繰り返し自分で行えることです。
きちんとイメージトレーニングを重ねていけば、シミュレーターがなくても、もっとリアルに目の前の聴衆をイメージすることは可能です。