フロー体験

演奏フローへの道 本番で本来の力を発揮し、音楽の喜びを取り戻す方法

これだけ練習しているのに、本番になると、それを十分に発揮できない

本番での演奏を楽しめていない

もしあなたが本番での演奏に、最近心から満足できていないなら、少し時間を取って、このページを読んでみてください。

このページでは、演奏中に起こる至高の集中状態である「フロー」を、あなたが再び体験できるようになるための考え方や、具体的な方法について、プロのメンタルコーチが徹底解説しています。

誰もが簡単にフローを体験できる魔法はありません。

しかし、自分自身に真摯に向き合い、練習方法の見直しなどに地道に取り組むことで、フローを起こす確率は高めることができます。

演奏中にフローが起これば、人前でも、大事な本番でも、音楽を心から楽しみながら、あなた本来の力を発揮できるようになります。

ぜひ参考にしてみてください。

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メンタルコーチの石井です

はじめまして。

メンタルトレーニング石井塾を主宰しているメンタルコーチの石井です。

このページを執筆したものです。

コーチ経験は20年になり、これまで多くの社会人、アスリート、学生、経営者などをメンタルトレーニング指導してきました。

モットーは「本来の力を発揮させる」であり、それぞれの分野で「フロー」を体験してもらうこと

メンタルトレーニングが盛んなスポーツ領域では、野球、ゴルフ、サッカー、柔道、相撲など、多くのプロやトップアスリートへの指導実績があります。

音楽に関しては、私は全くの素人でしたが、13年ほど前から、演奏家からの相談を受けるようになり、少しずつ音楽家向けの指導経験を重ねてきました。

演奏家の受講が始まったのは、私の1冊目の書籍である『ここ一番に強い自分は科学的に作り出せる!』(こう書房2009)が、ヤマハ楽器池袋店の書籍コーナーに置かれてからです(その後しばらく銀座店にもありました)。

もう13年近くも前のことですが、この書籍で私のことを知って、何人かの音楽家が石井塾の門を叩いてくれたのを覚えています。

※この書籍はメルマガ登録で無料PDFで読むことができます。

過去の音楽家の指導例

・ピアノ演奏家(多数)
ピアノ教師(多数)
東京藝大ピアノ学生、院生、卒業生(5名)
声楽家(多数)
ウェディングシンガー
管楽器奏者(コンクール優勝→プロオケ入団)
管楽器奏者(管打楽器コン1位)
・打楽器奏者(管打楽器コン入賞)
合唱指揮者(国内コンクール優勝)
ヴィオラ奏者(名フィル首席、SKO団員)
チェロ奏者(新日本フィル客演首席、SKO団員)
・管楽器奏者(某プロオケ首席)
・ホルン奏者(某プロオケ団員)
・ヴァイオリン奏者(プロオケ団員3名)
・ヴァイオリン奏者(海外プロオケ団員)
・ヴァイオリン奏者(海外プロオケ客演コンマス)
・クラシックギタリスト(メジャー系)
・ドラマー(メジャー系ロックバンド)
・音大生、院生(多数)
・フリーランス音楽家(ピアノ以外、多数)
・アマチュア演奏家(多数)

演奏フローとは?

あなたはこれまでこんな体験をしたことがありませんか?

  • 演奏中、自然に音楽があふれ出てきた
  • 心と体が一体化し、勝手に体が演奏していた
  • 本番中に不安も迷いも一切なかった
  • リラックスしているが、とても集中している
  • 時間を忘れて練習に没頭し、あっという間に1日が終わっていた

これが「演奏フロー」であり、音楽家にとっての至高の集中状態です。

時間の感覚がなくなり、疲れも無理も感じない。

大勢の人前でも、持てる力が100%発揮されて、あなたの本来の音楽が、自然に自由に、奏でられている。

音楽に人生を捧げてきた演奏家のほとんどが、これまで、このような演奏フローを体験してきたはずです。

※スポーツでは「ゾーン」という言葉が使われることがありますが、心理学の研究対象としては、フローという言葉が使われます。

音楽家の成長には、演奏フローが必要だ!

あなたが音楽家として、このようなフローを最近あまり体験していないというのは、本当にもったいないことです。

なぜなら、このフローこそが、成長の原動力となるからです。

フローから得られる喜びは大きく、その喜びがあるからこそ、次のステージに向けて努力するエネルギーがもらえるのです。

成長のためのエネルギーが、フローから供給されないと、高い技能を維持し、成長を持続上させるためのモチベーションを維持できません。

そして、どんどん練習が辛くなっていきます。

思い出してみてください、子供の頃、時間を忘れて一心不乱に練習に励んでいたあの時間も、一種のフローなのです。

そんな時間を長く過ごしていた時代こそ、あなたは一番成長していたはずです。

なぜ演奏フローを体験できなくなってしまうのか?

楽器演奏は基本的にフローを体験しやすいものです。

そして、高いレベルの音楽家ほど、より頻繁にフローを体験してきています。

しかし、何らかの事情で、しばらくフローを体験できなくなっている音楽家も少なくありません。

「なんとか騙し騙しやっている」

これまで関わってきたプロの音楽家ですら、こんな声も少なくありませんでした。

例えば、弦楽器奏者で多いのは、弱音(p)のロングトーンで弓を持つ手が震えてしまう症状を抱えてしまうケースです。

弱音に不安があるので、その弱音パートが近づいてくるだけで不安になるし、どうやってそこを乗り切るかで頭が一杯なので、練習や演奏に没頭できず、いい音も出せなくなります。

つまり、不安や迷いがあると、演奏フローに入れる確率は著しく低くなるのです

震えを止めるベータ遮断薬を使えば、その怖さはなくなりますが、演奏フローに入ることも難しくなります。なぜなら薬は震えだけでなく、感情も抑えてしまうからです。

演奏の喜びをあまり感じられることはなくなり、ただ淡々とミスなく演奏している状態になるのです。

演奏フローを妨げる最大要因は「本番トラウマ」

このような弱音の震えを引き起こす原因のほとんどが、過去の震え体験(=本番トラウマ)です。

それを脳が覚えてしまい、同じような場面になると、無意識に震えを引き起こします。

この無意識というのがポイントです。

無意識なので、意識的にコントロールすることが難しいのです。

それでもなんとか練習量(準備量)で凌いでいるという音楽家は、プロほど多かったです。

本番トラウマのメカニズムとその対処法は、下記のページにまとめてありますので、興味がある人は参考にして下さい。

薬に頼らず、本番トラウマや対人トラウマを克服するために必要な知識と実践方法 列車事故や虐待体験といった衝撃的なトラウマを治すことは専門家でも簡単ではありません。しかし、試合や会議で頭が真っ白になりパニックになってしまう本番トラウマや、上司から人前に威圧的に叱責されたことで起こる対人トラウマであれば、適切なメンタルトレーニングで改善する可能性は大です。本番トラウマと対人トラウマを克服する方法を紹介します。...

もしあなたが何らかの本番トラウマを抱えているのであれば、あなたが演奏フローを取り戻すには、まずはこれらを克服する必要があります。

結論だけ書けば、本番トラウマの克服には、呼吸法とイメージトレーニングが有効です。

ただし、本番トラウマが深刻であればあるほど、改善には時間がかかります。

反対に、「なんとか騙し騙しやれている」くらいであれば、本番トラウマはそれほど深刻ではないので、あなたが考える以上に、早く演奏フローを取り戻せる可能性があります

フローが起こる条件とは?

しかし本番トラウマを克服しただけで、頻繁に演奏フローを体験できるようにはなりません。

ただ演奏に不安がないだけで、フローが起こるわけではないのです。

それではどんなときにフローは起こるのでしょうか?

演奏フローは「自分の能力とチャレンジレベルが見合ったところ」で起こるものです。

反対にいえば、自分の能力よりも、少し高いところで挑戦を続けることが、フローが起きる条件なのです。

それでもなかなか思ったようにはフローを体験できないものですが、フローの研究からわかっていることは、フローは生活や仕事、練習の質と結びついており、日々をどう過ごすかによって、フローは自分で起こす可能性を高めることができるものであるということです。

フローは「起こるもの」ではなく、「起こすもの」。

これ、とてもとても重要です。

大きなフローは、小さなフローの積み重ね

記憶に強く残っている、大舞台で起きた大きな演奏フローだけが、フローではありません。

もちろん、それは最高に幸せですが、大きなフローはそんなに頻繁に起こりません。

それでは、今後大きな演奏フローを体験するには、どうしたら良いのでしょうか?

あなたは、楽器の練習中、ある課題に取り組んでいたら、あっという間に時間が過ぎていたという経験はないでしょうか?

練習なのに、楽しくて仕方がないと感じたことはないでしょうか?

実はこういった毎日の練習でも起こる時間感覚の喪失=没入体験もフローなのです。

そして、こういった小さなフローを重ねていくことが、能力向上だけでなく、本番での大きなフローにつながるのです。

小さなフローは、プロ演奏家だけでなく、学生や愛好家にも起こるものであり、その実力レベルにかかわらず、起こった本人に喜びをもたらしてくれます。

そしてその喜びが、さらに頑張ろうというモチベーションとなるだけでなく、本番での大きな演奏フローにつながるのです。

演奏フローの可能性を高めるのは準備の仕方

日々の練習の中で、小さなフローをどれだけ体験できるかが、本番での大きなフローにつながります

その意味において、大事なのは、練習の仕方です。

具体的なやり方については、かなり長くなってしまうので割愛しますが、結論から言えば、反復練習はできるだけ少なくすること

これに尽きます。

単なる反復練習をできるだけ少なくすれば、もっと頭を使った集中する練習に切り替わります。

これだけで、集中と練習の質があがり、そして小さなフローを体験しやすくなるのです

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イメージトレーニングの勧め

練習の質をあげる方法として、私が強く勧めているのはイメージトレーニングです。

今では、イメージトレーニングは演奏家にとっての必須のスキルだと考えています。

ただ、イメージトレーニングの方法は複数あります。

そのひとつが、頭の中だけで、曲をしっかり再現するようにイメージするやり方です。

指の動きのひとつひとつをしっかりとイメージできていることが重要です。

これを運動イメージ法といいます。

このイメージは、本当に疲れますが、とても高い効果を生みます。

ある程度練習を積んだ曲でも、楽器に触らず、運動イメージで脳内で再現してみると、思った以上に曖昧な箇所があることに気づくはずです

こういったところを重点的に部分練習すべきなのです。

ただ時間はかかります。

5分の演奏曲でも10分以上はかかりますし、場合によってはそれ以上かかります。

でもその価値があるのです。

これは小さなフローを起こす練習の一例ですが、普段の練習から、目的をもって、時間を管理しながら練習に取り組むことが大事なのです。

この運動イメージ以外にも、多くのイメージトレーニングの方法があり、そのほとんどが、脳に負荷がかかり、集中して取り組まなければいけないものです。

そもそもトレーニング=訓練なのですから。

しかし、訓練をとおして、イメージのスキル(技術)は磨かれていくものです。

演奏フローを取り戻すために挑戦を続けよう!

このページをここまで読まれてきたのであれば、あなたは本番演奏で今一つ本来に力を発揮できずにいたものの、またいつか最高の演奏をしたい、音楽を楽しみたい、あの演奏フローを再び体験したい!という気持ちは強いのだと思います。

そんなあなたに最後に伝えたいのは、常に「自分への挑戦」を意識し続ける、ということです。

なぜなら、日々、音楽を通して自分に挑戦できているかどうか、その実感を得られるかどうかが、日々の練習の質を高め、小さなフローを体験する一番の肝だからです。

本番トラウマが深刻であればあるほど、その克服には時間と努力が必要です。

あまりにひどいと、もう自分は演奏の世界に戻れないのでは?と不安になってしまうこともあります。

それでも今自分にできることに「挑戦」を続けることができていれば、必ず道は開けます。

そこは惰性になったり、義務になってはいけないのです。

そして、この挑戦のスタートとして最適なのがイメージトレーニングです。

イメージトレーニングは反復練習のように簡単ではなく、その簡単でないことを少しずつ続けていくことが挑戦につながります。

それだけでなく、それは新しいスキルとして身につき、あなたの音楽能力を全体的に高めてくれます。

イメージスキルを高めることで、これまで私が関わってきた多くの音楽家と同じように、あなたの音楽が変わる可能性はとても高いのです。

イメージトレーニングが絶対だというつもりはありませんが、いつも新しく何かに挑戦する気持ちで音楽に向き合っていれば、日々、小さなフローに入ることが多くなり、それが本番での大きなフローにつながるのです。

それこそが演奏フローへの道なのです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


あなたがもし

自分なりに頑張っているが結果につながらない

イメージトレーニングに取り組んでみたい

プロの指導を受けてみたい

ということでしたら、ぜひメンタルトレーニング石井塾の受講を検討してください。

まずは入塾簡易診断(演奏・ダンサー向け)を受けるのをお勧めします。

9つの質問に選択式で答えるだけで、あなたと石井塾の相性がわかります。

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入塾までの流れメンタルトレーニング石井塾は、塾長による個別指導・完全予約制です。 指導枠が限られていること、そしてトレーニング効果を十分に感じて...
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