社会人のFさん(40代・女性)は、音大出身でも、プロ演奏家でもありませんが、これまでの人生の多くの時間を演奏に費やしてきました。
幼少のころからピアノを習い、高校と大学では吹奏楽部で熱心に活動していました。
社会人になり、一般企業に就職してからは、新たにバイオリンを始め、アマチュアオーケストラに入団。そして、この10数年近く、年に1-2回のコンサートに参加してきました。
10代、20代のころは、演奏でひどい緊張を感じることはありませんでしたが、この数年、なぜか人前で演奏することに対して、とても緊張するようになりました。
その過緊張は、演奏会だけでなく、定期的に通っているピアノとバイオリンの個人レッスンでも起こるようになり、先生の前で演奏する時でさえ、自宅で練習してきたように演奏できなくなっていました。
そのため、せっかくの個人レッスンを受けても、新しい課題曲がなかなか上達しないジレンマにも陥っていました。
昨年秋、教室のピアノ演奏会で、演奏中に手が止まってしまったことがきっかけとなり、インターネットで石井塾を見つけました。慎重なFさんは、事前に拙書『ここ一番に強い自分は科学的に作り出せる』を購入し、納得してから来塾しました。
その時の申込メールがこれです。
初めてメールさせて頂きます。趣味でピアノとバイオリンを演奏しており、年数回、演奏会や発表会があるのですが、過度に緊張してしまい全く力を出すことができません。 学生の頃はそこまでひどくはなかったのですが、社会人になってから徐々に緊張するようになってしまいました。練習量を増やしたり、メンタルを鍛える方法を色々と試しましたが、緊張が収まることはなく普段の力の半分も出せません。先月のピアノの発表会ではとうとう途中で止まってしまい大変落ち込んでいます。
弾く前も緊張していますが弾き始めると更に緊張が増してしまい、どうにもならない状況になってしま います。練習が生かされず実力が全く発揮できない状況に情けなくなっています。また、レッスンでも常に緊張してしまい、楽しいはずの趣味が苦痛に変わってきています。この状態が10年以上続いています。 演奏の他にも、大勢の人の前や、大事な会議などでの発言はとても緊張してしまい、声が震えてしまいます。こちらも演奏同様、悩んでいます 。 とにかく、本番近くになると、まず先に心臓がドキドキしてしまい、筋肉が固まって体がうまく動かなくなってしまいますのでこの状態をなんとかしたいのです。練習した分だけ実力が発揮できるよう楽しく演奏出来るようになりたいです。
1月末にバイオリンの演奏会があり、少しでも改善出来たらと思っています。 発表会の失敗の後、偶然こちらのHPを見つけ内容を見てみたところ、その考えにとても共感できたため、本を購入して読ませて頂きました。 とても納得・理解できる内容でした。ぜひ実際に相談させて頂きたいと思いメール致しました。宜しくお願い致します。
実はFさんは、以前、あがり症を軽減する「ベータ遮断薬」というのも試してみたことがあるそうなのですが、演奏のときには、あまり効果がなく、止めてしまっていたそうです。
入塾してから3ヶ月、10回のセッションのあとに、オーケストラの演奏会に参加しました。
ピアノの発表だけでなく、大人数でのオーケストラでも、この数年、満足いく演奏ができていなかったFさんですが、この演奏会では、序盤こそ少し緊張したものの、途中からは気持ちよく弾けるようになり、終盤においては、Fさんが特に好きな交響曲を演奏中に、全身に鳥肌が立ったような感覚を体験したそうです。
本当に長い間、体験できていなかった、音楽を演奏する人だけが得られるはずの喜びを、取り戻した瞬間でした。
また、普段のピアノとバイオリンの個人レッスンでも、先生の前で緊張することはほとんどなくなり、レッスンが楽しくなり、課題曲もどんどん上達できるようになっていると報告をくれています。
Fさんは、仕事面でも、苦手な上司との関係が楽になったり、会議などでも、緊張することが少なくなったと報告をくれています。
たったの3か月で、ここまで変わるとは、正直、思っていなかったそうです。
でも、私からすれば、こちらが与えた課題を、しっかりとこなして来ていたので、改善することは目に見えていました。とはいえ、鳥肌が立つような演奏の喜びを、3か月で体験できたのは、さすがに予想以上で、やはりFさんの努力の賜物だと思います。
苦痛に変わっていた趣味の音楽活動が、改めて、人生を充実させる趣味に戻すことをお手伝いできたことを、とてもうれしく思います。