プロ野球のメンタルトレーニングに関しての興味深い記事を見つけました。
なぜ菊池雄星の球威は落ちたのか?
この記事には、野球投手には、高校野球やプロの2軍では150キロの球が投げられるのに、1軍にあがると、それが突然できなくなることがあり、その理由として、「1軍選手が相手だと、打たれる怖さが生まれるから」ということをあげていました。もしくは、2軍で投球フォームをしっかり作り上げて、準備万端で1軍に昇格したのに、実際にマウンドに立つと、全く別人になってしまい、周りからみると「2軍にいたときと全くフォームが違う」と指摘されてしまうことがあるようです。
しかしこれは、ある意味、当たり前のことで、例えば、プロゴルファーにとっては、練習ラウンドでドライバーショットを打つのと、本番の大ギャラリーの前で、ドライバーショットを打つのが全く違うのと同じことです。
前にも書いたかもしれませんが、ある動作(150キロの球を投げる、300ヤードを真っすぐ飛ばす)を再現するには、その動作を実現する神経回路があることが必要不可欠ですが、それだけでは不十分です。
というのも、脳は、それを学習した背景(環境)にも大きく影響を受けてしまうので、学習した環境以外の要因(ストレス原因)があると、練習と同じパフォーマンスをすることができなくなるのです。
それでは、1軍を相手に150キロの球を投げられるようになるには、いったいどうすれば良いのでしょうか?この記事の著者は、「まずは150を追い求めてとことんやる」とまとめていますが、それではちょっと乱暴な気がします。
私は、このような状況でこそ、イメージトレーニング(メンタルリハーサル)が生きてくると思います。150キロを投げる投球フォームを作りながら、1軍での実戦投球もあわせてイメージしていくというやり方です。

これはあくまで推察ですが、2軍で150キロの球を投げられるようになって、それを1軍の試合でもすぐに実践できる投手は、2軍のときに、自然とそういったイメージをしているのではないかと思います。ただ速い球を投げられるようになるのではなく、ただ遠くに球を飛ばせるようになるのではなく、本番の状況をどれだけリアルにイメージしていくか、これが大事なのです。
プロ野球選手のメンタルトレーニングはとても効果的だと思うのに、まだまだ取り組んでいる選手は少ないようです。

こういったことを地道に続ければ、本当に小さい力の差のなかで競争を勝ち抜く力になるはずなのに、気合いや気持ちが足りないから、という理由でがむしゃらに頑張ってしまい、肘や肩を壊している選手が後をたたないと感じています。