久保田プロが入塾したのは、もう11年前、彼女が40歳のころで、二人の子供の出産をしてからツアーに復帰しようともがいていた時期でした。レギュラーツアーで活躍していた選手ではありませんでしたが、2015年にシニア入りしてから上位入賞を重ねたり、2019年には自身初の海外挑戦で、全米女子シニア本選に出場したりと、ゴルフへの向き合い方が変わってから、大きな変化がありました。
メンタルトレーニングは、そのきっかけになったのではないかと思います。下の体験記は、もう数年前のものですが、久保田プロが今でも長くゴルフを楽しみ、そして結果をだせているヒントが見つかると思います。
私は、ずっと以前から(プロになった頃から)、試合になると過緊張になり、自分が納得できるパフォーマンスができない事に悩んでいました。試合の結果より、必要以上に緊張してしまった自分に腹立たしさを感じていました。おかしな話ですが、試合に出るために、日々練習しているのに、でもいざ試合に出場できる事が決まると、また不安になるという繰り返しでした。
そんな中、6年前に2人目の子供を出産してから、試合から遠ざかり、もう一度、復帰したいと思って出場した2nd QT最終日のあがり3ホールで大崩れしまってから、過緊張の傾向が強くなり、さらに悩んでしまっていました。それでも、このまま競技を諦めたくない。こんな中途半端で、自分の力を出し切った感がないまま、引退したくない、という気持ちが日々強くなっていたある日、たまたまインターネットで石井さんのサイトを発見しました。私は普段、あまりすぐに行動に移すタイプではないのですが、その時は、その日のうちに、メールでコーチングを申し込んでいました。私は兵庫在住ですが、新幹線にとび乗って、東京に向かいました。セッションは電話でもOKということだったので、それから継続的に受講することになりました。
トレーニングでは、まずレゾナンス呼吸という呼吸法を取り入れて、体で感じることを意識化することに取り組みました。それにより自分が常に物事を頭で考え過ぎていたことに気づきました。ゴルフのスイングも、ショットの前にルーティンを行うのも、常に頭で考えながらしていたように思います。時間はかかりましたが、今では、素振りをするときも、体で感じて、イメージ化して、それを再現するという、とにかく頭ではなく、体で感じるという習慣が身についてきました。
受講後初めての試合では、緊張がなかったというのではなく、それを体で感じ、レゾナンス呼吸でコントロールするということができ、今までに一度も経験のなかった「試合を楽しむ」ということを体験できました。色々なメンタルトレーニングがありますが、私は、このレゾナンス呼吸により、体で物事を感じるという、ごく自然な心地よいトレーニング方法が大好きです。
2年前から、技術向上のために、江連忠ゴルフアカデミーさんに定期的に通っているのですが、体で感るという習慣がついたことからか、アカデミーでの技術指導もとてもスムーズに受け入れられ、技術的にも進化できているように感じています。もし体で感じるメンタルトレーニングを始める前だったら、また違ったと思います。
ツアーからは長く遠ざかっていますが、今年は10年ぶりに日本女子オープンの本戦出場を果たすなど、予選会やマンデーでの成績はかなり良いところまで来ています。あとはQTで結果を出して、ツアーに復帰したいと考えています。
電話で定期的に指導して頂く中で、夫や二人の子供に恵まれ、今、こうして好きなゴルフを仕事として続けられているということに、日々感謝をするという目の前の一番大切なことに気づかせて頂きました。
最後になりますが、私は石井さんの、ごく普通の人間性に惹かれました。メンタルコーチというより、対一個人という感覚でコーチングをして下さっていることに感謝しています。
2009年に出場した日本女子プロゴルフ選手権の練習ラウンドの「お伴」をしたときの写真
<2012年4月追記>
女子ゴルフの世界では、若手の台頭が目覚ましく、20歳前後のトーナメント選手が続々と現れています。その中で、現在43歳、二人の子育て中の久保田プロは、今、絶好調だそうです。この8年ほど、トーナメントへの出場資格はなく、予選やマンデーを突破しての大会出場が年に1-2回程度でしたが、2012年は、QTの結果により、ステップツアーの全出場権があります。今年の活躍に期待です。
<2017年8月追記>
2015年から女子プロゴルフのシニアツアーに参戦し、これまで数回の上位入賞を果たしています。一度、観戦応援に行きましたが、本当にゴルフを楽しんでいるのが印象的でした。
<2019年8月追記>
予選を突破し、なんと自身初の海外公式戦である全米女子シニア選手権の本選に出場しました。予選通過はなりませんでしたが、50歳を迎えても、まだ旺盛な挑戦欲を維持しています。