昨日、たまたま大学卒業後に就職した会社の後輩M君に、近くの駅でばったり出会いました。私が入社3年時に、静岡県内の支店で働いていたときに、新入社員として入ってきた後輩で、当時、彼は23歳。私は25。今はもうお互い40オーバーで、彼は私よりもメタボ体系になっていました(元は確か水泳部)。
「石井さん、お久しぶりです。元気そうで何よりです!」と声をかけてくれたとき、とても明るく嬉しそうな顔が印象的でした。会ったのは、もう10年以上ぶりで、私がその大企業を辞めたあと、色々と苦労していたことを彼は知っていたので、元気そうにしている私を見て、喜んでくれたのだと思います。立ち話は数分でしたが、そのあと、昔のことを思い出したりしていました。
十数年前に起業してからは、自分ひとりで仕事をしているので、クライアントへの指導ばっかりで、部下や後輩を育てることをしてきませんでしたが、考えてみると、そういった指導も好きだったし、得意でした。
昔、M君から教えてもらった話で、こんなことを思い出しました。その会社では、地方支店に配属された新人は、半年後や1年後に、本社に集まって研修を受けます。そこは、新人たちが、それぞれ「どんな仕事をしているのか、先輩から何を教わっているのかを情報交換する場でもあります。
M君と(別の先輩のOJT担当)、同期女性のSさん(私のOJT担当)が一緒に研修に行き、Sさんが付けていた何冊かのノートを、他の同期入社に見せたところ、こんなに細かく丁寧に教えてもらっていない、とみんなに驚かれたそうです。
実際、私も、自分がOJTを受けた先輩から、そんなに丁寧に教えてもらっていませんでした(酒の場のマナーはきつく教わりましたが・・・)。
当時、地方支店では、取引先回りは車がほとんどで、通常、OJTで先輩と二人で動くときには、新人が運転するというのが「習わし」でした。運転や道を覚えるのも大事なことなので、それはそれで必要とは思いますが、私の考えでは、新人にとって大事なことは、業務知識を覚えることです。先輩は余裕があるので、運転しながらでも、後輩の質問には答えられますが、新人が運転しながら、質問をして、メモを取るには無理があります。
そこで、私は新人には運転させず、私が運転して、後輩にはたくさん質問させて、それを助手席でノートにまとめるように指示していたのです。
地方の場合、片道30分とか1時間のお客様も少なくなかったので、それが一番の移動時間の有効活用法だと思いましたが、それを実行している人は、ほとんどいなかったように思います。それはおそらく「後輩(目下)が運転するという習わし」の既成概念が強かったのでしょう。
当たり前のことを疑って、何かより効果が上がるものを考える。
ある意味、こういったことが上司に評価されて、同期で最速で主任になったし、シアトルへの社費留学なんかもさせてもらえたのだと思います。そういうことが自分の強みなんだなとも思うし、やっぱり人を教えることが自分は好きなんだなということを再確認しました。
起業した当初は、自分が教えるということは実は考えていませんでしたが、結局、自分が教えているのだから。
まあ、M君が再会を喜んでくれたのは、仕事を熱心に教えたからだけでなく、オフに、一緒にゴルフしたり、釣りをしたり、先輩からバカをさせられたり、私の顧客の社長のクルーザーで大島までクルージングを楽しんだりといったことがあったからです。そんなことも思い出しました。