ジュニア(中学生高校生)

ジュニア(中高生)のメンタルトレーニング事例 演奏中に指が固まる

音楽に情熱を注ぎ、ジュニアエリートとしての道を順調に歩んでいた高校生(バイオリン)と、大学生(ピアノ)の演奏家の卵の事例を紹介します。楽器は違えど共通するのは、二人とも演奏中に指が固まり、その症状が演奏できないほどにまで陥ってしまっていたことです。

まずは、小学校に入る前からバイオリンを始め、順調にコンクールで賞を取り、特待生として某音楽高校に在学していたTさん。本人からの相談申し込み内容がこちら。


こんにちは。3歳からバイオリンを弾いている、**と申します。高校生になった頃から、過度の緊張によってかはわかりませんが、レッスンや本番中に両手が震えるようになってしまいました。

小、中学生の頃は緊張することはあっても、体まで緊張の症状がでることはなく、コンクールやオーディションでもそれなりに良い結果を出すことができていました。高校は、****高校に特待生として入学したのですが、コンクールで賞をとったり良い成績を残せという学校からのプレッシャーや、周りからの期待を感じたせいか、自分ではそんなつもりはなくても、過度に緊張するようになってしまい、この頃から手が震え始めてきました。そして結果も出せていません。

また、この間の5月にオーディションを受けたのですが、弾いている途中に腱鞘炎の症状が出てしまい、本番の最中に左手の小指が動かなくなってしまいました。原因はバイオリンの駒が高いせいで弦が固くなってしまい、高いポジションを弾く時に指に力をいれなければならなかった所にあると音楽家専門の整形外科で言われました。今治療を受けていて、指は治り始めているし、楽器も新しくなって問題はないのですが、この間の本番で、急にハイポジションに対して恐怖心を持ってしまい、うまく弾くことができませんでした。

それで、もうどうしたら良いかわからなくなっていた時に、友達にメンタルトレーニングの事を聞き、石井塾に申し込むにいたりました。

これから大きな本番や大学入試が控えています。それまでにも良い練習になる本番がいくつかあり今がメンタルを鍛える良いタイミングだと思うので、ぜひトレーニングをお願いしたいです!よろしくお願い致します。


結論からいえば、Tさんは*年後の日本音楽コンクールで、みごと本選に進出しました。NHKのBS番組で、Tさんの本選の演奏も聴くことができましたが、*年で雰囲気もかなり変わり、堂々と演奏しているようにも見えました。

入塾相談において、整形外科での治療について話を聞いたところ、筋弛緩作用のあるボトックス注射を用いていたそうです。しかし、ボトックス注射の効果は一時的です。Tさんの場合は、バイオリンの駒を変えることで、一時的には改善していましたが、本質的に体の力の抜き方を習得していなかったなら、新しい楽器でも同じ問題が起こっていた可能性は十分にあります。

私の見立てでは、駒が高いことはきっかけであって、一番の原因ではなく、演奏中の緊張のために腕や指の力を抜けなかったことが、腱鞘炎にまでなってしまった一番の原因です。ですから、とにかく普段から指の力、そのためには腕と肩の力を弛緩できるようなトレーニングも指導し、習慣化させていきました。そして、普段の練習から、より脱力した演奏を意識して、できるように指導しました。これでかどうかはわかりませんが、腱鞘炎の問題が再度起こることはありませんでした。

主訴は、本番において震えてしまうことでした。実際のところ、短期集中コースの6回が終わるまでに、全く震えなくなったわけではありませんでした。しかし、そこそこの本番が何度かあったので、それに向けてメンタル面での準備の仕方を教え、そして振り返ることを繰り返すことができました。この過程の中で、Tさんは本番に向けてのメンタル面の準備の仕方を学び、それを地道に繰り返していく中で、日本音楽コンクールでの演奏に繋げたのだと思います。

また、Tさんは、学校までの通学時間がかなり長く、また夜も自宅での練習が難しいということだったのですが、通塾中に教えたイメージトレーニングが役に立ったのではないかと思います。

Tさんとの経験は、そのあとに入塾した東京藝大ピアノ科の現役学生で、入学してから、本番中に指が固まって演奏できなくなってしまうという症状を抱えるKさんへの指導にも、大いに役に立ちました。同じように、かなり丁寧に、普段から腕と肩の力を抜くトレーニングを習慣化させたところ、ほぼ短期集中コースの2か月のなかで、指が固まって演奏できない、という症状はなくなりました(ただし、それほど大きな本番機会はなかった)。それまでの2年で、Tさんと同じ整形外科の先生や、漢方、マッサージなど色々なところで治療を受けたにもかかわらず、です。そのKさんからのメールがこちら。石井塾を見つけたのはお母さんだったようです。


東京藝術大学のピアノ科で勉強している****と申します。

今3年生なのですが、1年生の1月に本番中手のしびれを感じ、本番中のため演奏を続けていると、しびれが硬直に変わり、まともに演奏する事が出来なくなりました。その後、ピアニストをよく診察しておられる整形外科に行き、手根管症候群と診断されました。しかし、念のためセカンドオピニオンを受けると、脳と手の神経が伝達できているかの検査を受け、手根管症候群ではないと言われました。自分なりにネットで検索したり、本を読んだりしましたがなぜ硬直するのかはっきりとわからないまま過ごしてきました。一時期、2か月ほど症状がなくなったときがありましたが、半年前くらいからまた症状が出始めました。硬直するのは本番や緊張したときだけで、1人で練習しているときは普通に演奏できます。演奏中でなくても緊張する時に手が硬直することもあります。最近は本番が怖く、手が硬直することばかりを考えてしまい、弾く前から手が硬直し始めたり体調が悪くなったりします。

演奏中、呼吸がしにくかったり、息を止めてしまってるようにも感じるので呼吸や思い込みが原因なのではないかなと自分では思っています。こちらのサイトは母が見つけ、私が興味を持ち、サイトを拝見させていただきました。2年生までは、1か月に何度も本番があったのですが、今は本番で弾くことができないので、コンクールやコンサートには出ないようになりました。原因を理解し、少しでも早く治して舞台で自分の音楽を出し切りたいので、入塾を希望させていただきました。どうぞ宜しくお願い致します。


東京藝大のピアノ科に入学してから、こんな症状のために人前で演奏ができなくなってしまったのは、本当につらかったでしょう。ご両親も、一生懸命に色々な専門家を探してきたかと思います。演奏を続けている中で起こるので、イップスでも、ジストニアでもないのは明らかですが、じゃあ何かというと答えはなく、医者は診断をつけるのが難しいでしょう。

しかし、私から見ると、この症状の原因はひとつしかありません。それは「ストレスの悪循環」です。何かひとつのことが気になり始めたら、どんどん気になってしまい、思いもよらない力が体の一部にかかります。それで体が思うように動かなくなるのです。これはバイオリンのTさんも同じですし、空手の女子高生Tさんフィギュアスケートの中学生N君も同じことです。

その解決策は、単純にこの悪循環を止める(緩める)ことであり、そのためには地道なメンタルトレーニングが有効です。薬も手術もしませんので、副作用は全くありません。ただ、効果が出るのに、多少の個人差があることと、受け身ではなく、能動的に動くことが求められます。

アスリートや演奏でトップクラスの実力を持つジュニアの抱える低迷、成績不振の原因の多くが、この「ストレスの悪循環」にあることがほとんどです。ただ、イップスやジストニアは、この症状がひどく複雑になってしまったもので、かなりの時間がかかります。ですから大切なことは、症状が複雑になる前に、できるだけ早めに対策を始めることです。その意味では、Tさんも、Kさんも、決して早めの対策とはいえず、ちょっと危なかったところはあります。逆にいうと、ここまで酷くなっても改善するのですから、早めに対策を立てれば、もっと簡単に改善する可能性があるということです。

今、演奏やスポーツの最中に体(指)が固まってしまうということに悩まれている方の参考になれば幸いです。


<追伸>
Kさんは、その後、国内の某ピアノ協会が主催するコンペティションにおいて、特級1次予選を突破していました。なかなかレベルの高い大会なので、本選ファイナルは進めませんでしたが、この大会でまずまず力は出せたのだと思います。

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