コーチングやカウンセリングの基本姿勢のひとつは、迷いや悩みに対する答えは、相談者本人が知っているということです。
そのため、コーチやカウンセラーは、傾聴といったコミュニケーション能力を身につけ、答えを本人が自分で導き出せるようになることをお手伝いします。
このような基本姿勢は、自分探しや、将来やりたいこと、恋愛相談などでは、大切です。
親や教師から押しつけられたものではなく、自分で納得したものであれば、そのあと頑張れるものです。
しかし、私は、あがり症で力を発揮できないで悩んでいたり、ピークパフォーマンスを追求しているアスリートや音楽家、ビジネスマンにとっては、必ずしも、問題解決の答えは自分の中にあるとは考えていません。
ですから、コミュニケーションを主体としたコーチングだけでは、必ずしも効果があるとは思わないのです。
というのも、本番であがったり、緊張したり、余計なことを考えてしまうのは、その人の性格や考え方の問題というよりもむしろ、無意識な神経系の働きによるところが大きいからです。
本番で心臓がドキドキして、筋肉が硬直するのは、レモンを思い出すだけで、唾が出てくるのと同じです。
無意識に体が勝手に反応してしまうものなので、自分を知ったり、考え方を変えることでは、心拍増加や筋肉硬直をコントロールすることはできません。
レモンを見ても、唾を出さないように意識しようとか、レモンは甘いと思いこんだとしても、唾は出てしまうのなのです。
だからこそ、本番で緊張してしまう神経系のメカニズムに基づき、その神経的反応を抑えるテクニックをしっかりと身につけることが大事だと考えています。
普通の人は、緊張やあがりのメカニズムを詳しくは知らないし、また知っていたとしても、自分の症状や状況にあった具体的対処法まで考えることできません。
正しいメカニズムや対処法(答え)を知らないのですから、専門家がきちんと説明し、そのコントロール方法を教える必要があるのです。
少なくても、無意識の神経反応が原因である、あがり症やトラウマに関しては「答えは自分の中にはない」というのが私の考えです。
これまでどんなに考え方を見直そうとしてきたにもかかわらず、あがりの問題を解決できなくても、、それはあなたの考え方やメンタルの問題ではないのです。
そういったことを知って欲しいし、その具体的な対処法があることを、知ってもらいたいと思います。