今回は、もう10年以上前に入塾した元高校球児で、30代会社員Eさんのメンタルトレーニング体験談を紹介します。
歴代のクライアントのなかでも、お気に入りのひとりです。
草野球でしたが、そこそこレベルは高く、本当に野球が大好きで、彼なりに一生懸命取り組んでいました。そして、真剣に悩んでいました。
入塾理由は、野球でのパフォーマンス改善を目的でしたが、職場や家庭にも様々なストレスを抱えていました。
メンタルトレーニングで一気に全てを解決していきました。コーチングを終えるとき、執筆を依頼して書いて頂いたのが、この体験記です。
野球のパフォーマンス改善だけでなく、野球以外にもストレスを抱える社会人選手には、参考になることが多いかと思います。

メンタルトレーニングを始めた理由ときっかけ
私は野球をしております。
32歳を超えた今でも、本格的に技術向上を常に想いながら日々を送っています。
その為に時間をつくり練習・トレーニングそして勉強・研究もします。
それによって発見もあり結果も出てきて、楽しく野球ができモチベーションも保てることが出来ます。
ただ、ここ数年、成績も悪く失策も多くなりました。
その度にいろいろと考え、前向きにとらえ自分に言い聞かせモチベーションを保ってきました。
そしてさらに練習・トレーニングの量を増やしました。

ところが自分のミスは心や頭に残ったままで、グラウンドに立つと、瞬時に鮮明に映像がよみがえります。
すると私の心は不安に恐怖に支配されてしまいます。
試合前や試合中でも支配されている為、緊張し固くなり萎縮までしてしまい体が想うように動いてくれず、その結果同じミスを繰り返します。
私はその事を家でも仕事場でも考えてしまう毎日でした。
シーズンオフを迎えるとその期間は不安から開放され来年こそはと意気込み、自主トレーニングに励んでいました。
年が明け、「今年こそは」と挑んだ開幕戦の初回でした。
守備に就いたとたん、いきなりの失策です。
物凄く屈辱的でした。
これだけ練習してもダメなのかと。
私は大好きな野球がつまらない、疲れるものになり始めていました。
まったく楽しく感じられなくなっていきました。
この野球を辞めてしまえば、この気持ちから開放されて家でも仕事場でもすっきり出来るだろうなと考えていました。
しかし、この状態で終わらせたくはなく、何かないかとこの時になんとなくですがメンタル面で強くなれれば何か変われるかもと想っていました。
そこでメンタル的なことを勉強するために何冊か本を買って読んでいたところ、メンタルも技術同様にトレーニングが必要だと分かってきました。
もう少しメンタルトレーニングというものを知りたくパソコンで検索していたところ、石井先生のウェブサイトを見つけました。
そのウェブサイトを読んでいると自分のことを言われているかのように的確なことがあり、読みながら鳥肌がたったことを思い出します。
この時、私は一刻も早くこの頭や心の中の不安を開放したい気持ちでいっぱいでした。
そこで私は集中コースを受けることにし、私のメンタルトレーニングの開始です。
メンタルトレーニングとストレスの関係?
初めに少し驚いたことがありました。
それは先生が「私はストレスの専門です」と言ったのです。
私はストレスというものがあまり分かりませんでした。ストレスとメンタルがどう関係しているのか。
私自身ストレスという言葉は知っているが、あまり内容も深く考えたことも感じたこともありません。
無いというよりストレスと思っていない、むしろ気がつかなかったのが実際です。
しかし話を聞いているうちに、ストレスとは物凄く怖いものだと知りました。
これは知っているのと知らないとでは人生が変わると言っていいくらいなことだと思います。
驚愕な事実を知ることができました。
実際、私にはストレスというものがかなり蓄えられていた状態でした。
これは野球だけではなく、日頃の生活・仕事や家庭からも何らかの原因があるとのことでした。
カウンセリングでは野球の為だけの話をするのかと思いきや、仕事や家庭の話をしてコーチングを受けるのです。
こうして私の場合は野球・仕事・家庭と三つのことをトレーニングしていくことになります。
職場でのストレス
その中で一番の原因は仕事でした。
仕事では随分とストレスを抱えておりそれによって他のサイクルまでも乱れていく悪循環が起こっていたようです。
私の仕事は中間管理職で現場を任されている立場です。
問題はある部下のことです。
それまでは、その部下への対応として毎日怒って怒鳴る状態で「ムスッ」とした態度をとる最悪の上司をしていました。
その部下というのは基本的に仕事が出来ません。
同じミスを何度も繰り返し、それに対する反省や勉強もしない無責任な仕事への対応など。
しまいには部下の逆切れです。
すると私自身もスイッチがはいり感情むき出しでおこります。
この繰り返しです。その後は二時間くらい話し合うことになり、半分は仕事の話もう半分は仕事に関係がない人生観の話で個人攻撃をしてしまう。
そもそも一日も早く仕事を覚えてほしいと願い何度も同じことを言ってきました。
しかしこれは私にとって無駄なエネルギーだと知らされました。
相手を変えようと想っても相手は変わりません。
家族関係のストレス

家庭も同じです。
私には妻そして5歳と2歳の子供達がいます。
当時、妻は妊娠6ヶ月でツワリがようやく終わった頃でした。子供達も元気が良過ぎるくらいで妻にとっては「うるさい」と思えるくらい苛々した状態でした。
子供達がほんの少し言うことを聞かないだけで怒り怒鳴ります。
これがほぼ毎日です。
妻は大変な時なので気持ちが分からない訳ではないのですが、いき過ぎではないかと思っていました。
私は普段、仕事が終わると子供達の顔を早く見たいので直ぐに家にかえります。
ただ、この時だけは初めて家に帰りたくないと思うこともありました。
子供達に対する妻の言動に耐えられなかったのです。
さすがに私も妻に対して怒りだし苛々した感情で子供達にも怒ることもあります。
結果、妻や子供達を変えようとしてもかわりません。
これも無駄なエネルギーにしかなりません。
野球でのストレス
野球も同じようなことがいえました。
ミスや成績の悪化がマイナス思考を生み出し、それによって不安や恐怖を抱き体が固くなります。
すると自分のパフォーマンスが出来ない状態を繰り返す悪循環です。
余計なことを考え過ぎ、まったく集中出来ない、あれを変えようこれを変えようと無駄なエネルギーを使っていました。
このように感情が先行していると無駄なエネルギーを使っていることが分からないのです。
ストレスには起こすものと受けるものの両方があり、起こすものは常に身近にあるもので消えないし無くならない。
しかし、受けるものの回復力は早くすることが出来ると教わりました。
それがメンタルトレーニングの中心であるレゾナンス呼吸というテクニックです。
この呼吸のトレーニングをしているうちに少しずつ感情のコントロールが出来るようになってくるのです。
つまり感情で物事を見ていたのを客観的に物事が見えてくるようになりました。
家族関係における変化
その表れとして一番初めは家庭に出ました。
妻の状態を見ていても苛々することが無くなりました。
それどころかどうしたら妻の苛々を和らげることが出来るか考えるようになり答えも見つけることも出来たのです。
当時、妻は家事としてやりたいことや済ませておきたいことなど様々な想いがあり、このようの時に子供達が原因で時間をとられたり邪魔されたりと自分が想ったことが出来ない様子でした。
そこで私自身も家事を代わったり手伝いをして負担を少しでもなくせればと思い実行していました。
この時、私に感じたことがありました。
それは妻のすることを手伝うのではなく子供達を妻から少しだけ離すこと、妻の1人の時間をつくってあげることを感じ、実践してみました。
すると、見る見るうちに変わってしまいニコニコすることが多くなり笑顔で子供達と接するようになりました。
私は妻を変えていません。あくまで冷静に状況を見ていたにすぎません。
すると私自身も子供達に対して感情的に怒ることが少なくなりました。
職場における変化
仕事にしてもそうですが、大分苛々することが少なくなり今まで見えていなかったことが見えるようになり、どのようにしたら部下が今の能力でミスを少なく仕事が出来るかなど考えられるようにもなりました。
怒ってばかりいたのが褒めることも少しあります。
未だ奮闘中ですが気持ちを切り替えることが早くなりました。
無駄なエネルギーを使わないとこんなにも楽になるのかと実感しています。
野球における変化
私自身の野球に関しても興味深いことがおきています。
まだこのトレーニングを開始してから4試合程度しか行っていません。
しかし、トレーニングをしてきたことを実戦の場へと移して一試合一試合大切にしてきました。
この時点で私の変わってきたことといえば、結果に対して良い悪いと判断しなくなり(平常心を保つテクニック)その結果、不安が少しずつ減り余計なことを考えず集中することが出来るようになってきました。
ある日曜日ダブルヘッターで試合が組まれていた日のことです。
1試合目に今シーズン初のヒットを放ち、2試合目では2打席連続ホームランを打ったのです。
守備来回数も8回程あり失策無しです。
完璧といった内容でした。
自分でも何が起きたのか分かりません。
前回まで一本もヒットを打てていないし、守備でも何らかのミスをしてきた自分がこのような結果をもたらすとは思いもしませんでした。
ただ、言えることは今までに無いくらい物凄く集中できていたと思います。
この日は本当に余計なことを考えず淡々とボールと自分の呼吸に目や気持ちが奪われていたように思います。

これが「ゾーン」体験なのかと不思議でなりませんでした。
集中できると「ゾーン」に入り込み、よって最高のパフォーマンスが自然と出来るようになっているのだと実感できました。
当初、私は野球の悩みだけを解決するために先生のコーチングを受けに来ましたが、野球は勿論、仕事のこと、家庭のこと、この3つのことで色々なことを学び教えて頂きました。
この基本となるレゾナンス呼吸は感情のコントロールができ冷静にさせてくれます。
今では日常生活でも意識しなくても自然にレゾナンス呼吸をしています。
先生のコーチングを受けてから延長期間をいれて約6ヶ月が経ちますが、その6ヶ月前の自分は何だったのかと恥ずかしく思えます。
呼吸法を覚えただけでこんなにも自分は変われることができました。
今では本当に穏やかで気持ちよく楽に過ごせる日が多くなりました。まだまだトレーニングが必要ですが、これを継続していくとどのように変わっていくのか、この先の自分が楽しみです。
後に妻や子供達にも教えてあげたいと想います。
石井先生、そしてこのメンタルトレーニングに出会えたことに感謝いたします。ありがとうございます。