プロフェッショナル職

先輩医師から目の敵にされ、心理的に追い込まれた若手女医は、対人トラウマをどう克服したのか?

上司や先輩からの、暴言や威圧的な態度は、今ではパワハラとして認知されていて、かなり社会的にも対策が進んでいます。

また、威圧的ではないものの、やんわりと仕事を否定されたり、発言させないなどの嫌がらせも、それが繰り返されると、徐々に精神的に追いつめられるようになります。

このような小さくて冷たい嫌がらせは、モラハラ(モラルハラスメント)として知られています。

どちらの場合も、その相手の顔を見ただけで、声が聞こえただけで、心臓がばくばくし、汗をどっとかくようになるのですが、このような対人恐怖もトラウマが原因なのです。

そのような対人トラウマに苦しみ、一時期は自殺まで考えていたという女医が、どのように対人トラウマを克服したのか、そして、医師として、石井塾のメンタルトレーニングの感想を寄せてくれました。

モラハラや対人トラウマに悩むひとの参考になればと思います。

なぜか私だけを目の敵にする先輩医師

私はある一般病院に勤めている外科系の医師です。昨年までは医局の雰囲気も悪くなく、和気あいあいと仕事をしており、すべて順調のようでした。

4月になり、人事異動で何名か医局のメンバーが変わり、その中に「対象者」がいました。対象者は自分よりもはるかに上級の医師で医師経験年数も私の2倍以上経過していました。非常に大柄で顔も怖く、自分は柔道、空手などの格闘技をマスターしており強いことをアピールするいわゆるジャイアンのような印象の医師でした。

初めのころは、面倒見のよい上司として、後輩全員に処置のやり方、診察の仕方などを丁寧に教えてくれ、とくに問題がないかのように見えました。ところが、6月ごろから徐々に私に対する態度が変わってきたのです。

たしかに面倒見はよいのですが、新米の研修医に教えるような教え方で私たちのような中堅の医師にも指導する傾向があり、全く一人で診療させてもらえなくなり、同僚の間でも少しずつ不満がつのっていました。

外来再診の患者さんの縫合した傷の抜糸さえ、たとえ対象者がそのとき外勤でいなかったとしても、対象者が診ないうちに中堅の医師が帰すと激怒する始末でした。対象者ははじめはおとなしかったのですが、夏に近づくにつれて態度がどんどん横柄になり、研修医や下級の医師をあごでこき使うような態度を見せるようになりました。

また、独断で同じ研修医に4日連続で当直を強要したこともありました。そのようなときに、私が「研修医は昨日も泊まって徹夜しているし、自分が今日当直なので、入院患者は私が診るから帰らせてやってもいいですか?」と申し出たこともありましたが、「そんなこと許さん!」と怒鳴られて終わりました。

また、病院の自分の科の当直に関しては医局員が一人泊まり、病棟管理と急患がきたら診察し、翌朝カンファレンスでプレゼンテーションする形をとっていました。私が当直であった際に、翌日プレゼンテーションすると、毎回のように「お前の診断と治療はすべて間違っている!」「お前の判断は非常識だ。研修医以下だ」専門医と自分の判断した所見が一致した患者のCT画像さえも「そんな診断はバカがしたとしか思えない。お前の指摘した所見は全く間違いだ」と研修医や学生の前で罵倒され、挙句の果てにプレゼンテーションの途中に「くだらん症例だ」といってどこかに行ってしまうことさえありました。

カンファレンスのたびに自分だけ学生や研修医がいる前で否定され、罵倒され続け、いつの間にか一人で当直するのが嫌なのを通り越して恐怖でした。完全に自信を喪失してしまい、当直のたびに急患の電話が鳴るのが怖く、当直室で全く眠れない夜をすごしました。

また、医局員は皆時々ほかの病院の当直や外来の非常勤の仕事もしていますが、私は事情があり、ほかの医局員よりも若干外勤の回数が多かったり、また偶然学会発表の回数が多い月がありました。その際に、医局の仕事だから仕方がないのに、「あの女は肝心なときに外勤でいないから使えない医者だ。」「あいつ、また学会行ってサボりやがって。」と研修医や学生相手に陰でいい、私に対しては「お前の研究なんかくだらない内容だ。お前なんか部長にうまく利用されているだけなんだよ。誰もお前のことなんか考えていないぞ。」「重症の患者がいるときに外勤とか学会行ったら殺すぞ」と言われました。

私は大学院生であり学会の回数が多かったのはやむ終えなかったのですが、そのあとからずっと学会に行ってサボっているという内容の陰口をたたかれました。

このような状態であり、論文を書いたり研究したりする時間はほとんど与えられず、自分の研究も満足にできない状態が続きました。そして、国際会議に自分の研究が発表できるように決まったとき、さらにパワハラが激化しました。

相談に至るまでの経緯

その後も何かあるとすべて私のせいにして責め立てました。学生や研修医、下級医師のいる前で人格すら否定され、陰で彼らを相手に1日に数時間私の悪口を言い続けていました。いつしか、私は学生と研修医も自分の人格を否定しているのではないかと考え怖くなってしまい、自分に自信がなくなり、一切指導をすることができなくなり、入院患者も外来患者も診察せず、自室にこもっていました。

病院では一切笑わなくなってしまい、気分が悪くて昼食も食べられませんでした。休日も病棟患者を診に行かなくなりました。行くと対象者に「帰れ!」と怒鳴られるため、怖くて行けませんでした。医局の同僚は誰も助けてくれようとしませんでした、というよりは対象者が怖くて逆らえず、助けられない状況であったことと、所詮は他人事だからどうでもよかったのだと思います。もし、私に手を差し伸べれば自分も私と同じ状態に陥れられることを危惧していたのでしょう。人間なんて薄情なものです。医局長さえも、悪いのは怒られたらすくみ上がる私の態度だと言い、助けてくれませんでした。

そして、私は悩み、誰にも相談できず、うまく行かないのはすべて自分のせいであり、自分は生きている価値のない人間であると思うようになり、ついに自殺することも考え始めました。外部の病院の精神科を受診したところ、軽いうつ病と診断されました。

そして、自宅では休みの日も外出もせず、医局の飲み会にも出かけず、毎日ネットサーフィンをして自殺サイトやうつ病、いじめのサイトを覗いたりするようになりました。

メンタルトレーニングを開始して

はじめは実はメンタルトレーニング自体半信半疑な部分がありました。普通のカウンセリングみたいな感じなのかと思っていたら全然異なったものでした。

はじめは、精神的な余裕も全くなかったし、当直も多く、なかなかトレーニングを行う5分間を確保することさえ困難な日々が続きましたが、対象者に怒鳴られたあとはトイレに行き、個室で息を整えたり、自分の部屋に2、3分戻ってメンタルトレーニング法を行ったりしました。

はじめは、なかなか効果は感じられなかったのですが、1ヶ月近く経ち、徐々に対象者に怒鳴られてもあまり感じなくなっていることに気づきました。

確かに、研修医の前で、依然として人格を否定するようなひどいことを言われることもあり、そのときはさすがにへこみましたが、普通に怒鳴られる分には平気になり、今まで対象者がいると手が震えて処置さえできなかったのに、毅然として診療が行えるようになってきました。

トレーニングを始める直前は1日中医局内の誰とも話さないことが多かったのに、徐々に医局のほかの医師とも今までどおりに普通に会話ができるようにもなっていきました。

ほんの少しずつですが、仕事を始められるようになり、入院患者の主治医にもなることができました。その患者の治療方針に関し、対象者はすべてを否定してけなし、研修医に手伝わないように仕向けたりしましたが、気にしないで医局長に治療方針を確認しながら一人で治療しました。そんなとき、呼吸のコントロールを数回行うと冷静になれるようになっていました。その結果患者は元気に帰っていきました。

思い切って医局長に相談、事態は改善の方向へ

そしてついに、対象者が不在のときに思い切って医局長に今までのことを詳細に打ち明けました。冷静さを取り戻していた実感があったので、今なら、以前のように感情的にならずに、淡々と事実を訴えることができると考えたからです。

私は、いくら自分の態度が改善しようが、病院長に注意されようが、対象者のいじめは激化するばかりで、対象者が不在のとき以外は患者に近づくこともままならないことを話しました。

医局長は初めて事実を知ったようでした。よって、対象者がメインになって診療している患者には自分は一切手を触れないことにして、それ以外の患者はできる限り自分が主治医をやりたいことを話しました。その結果、医局長はそれに同意してくれ、この話し合いの後からは対象者と私が同じ現場にいるような状態になるときは必ず眼を光らせ、不条理なことで私を責めると注意するように配慮してくれるようになりました。

現在は、今までどおりの自分を取り戻すことができ、働いています。対象者は職場が変わり、時折、未だ私や、医局の悪口を言い広め続けているという話を聞きますが、気になりません。最近、研修医や周囲の医師の中にも冷静に状況を見られる人は、「先生は悪くないです。あれは明らかにおかしかったです。僕たちは先生の味方ですから」と言ってくれる人も出てきたので心強いです。

最後に医師としての感想

石井先生、本当にありがとうございました。実際にお会いしたのは、学会で東京に出張したとき1度だけでしたが、電話だけでこれだけ回復できるとは思いもしませんでした。

今、初回相談から数ヶ月が経っていますが、全く手も震えなくなり、今までの自分に戻ったようです。医局内も明るくなりました。あのとき、先生のホームページを見る機会がなかったら、自分はどうなっていたのだろうと考えると非常に恐ろしいです。

医者は病気の人を救う手助けをする職業ですが、先生の仕事は、私達のような人の人生、心を救う仕事だと思いました。私たち医師は、どうしても、いじめなどが原因で心因性に患者さんが体調不良を訴えたときにすぐに内服薬を処方してしまい、それに頼ってしまいますが、先生の理論のほうがはるかに生理的で、患者さんの体にとっても健康的であると思い、感服いたしました

ホルモンのバランスを「自分の力」で正常化することで体内や心理状態を整えるというメンタルトレーニング法は、患者を薬漬けにしてしまいがちな私たち医師が忘れている大切なことを思い出させてくれました。

世の中にモラハラで、うつ状態になりかけているような方がたくさんいらっしゃると思いますが、そのような方は先生のトレーニングを受ける気力がなくなってしまう前にぜひ受講されることを願っています。


今でこそ石井塾の塾生の多くは、アスリートや演奏家などが多いですが、塾長がメンタルトレーニング指導を始めた初期のころは、こういった職場の人間関係の悩み、対人トラウマに悩んでいていた人がほとんどでした。

実は、こういった職場の対人トラウマに悩む人は、アスリートや演奏家が本番で自分の力を出し切れない人と、ほぼ同じ脳内メカニズムが働いています。

アスリートや演奏家も、本番で大きな失敗をしたり、失敗を繰り返すと、それがトラウマとなり、次の本番機会で、トラウマ反応(不安や緊張)を引き起こします。

そして、そのようなトラウマ反応により脳がいつもより働かなくなるのです。それが大きいのが、いわゆるパニックです。

社会人の場合、トラウマ反応でプチパニックを起こし、いつもできること、わかっていることが答えられなくなると、それが上司や先輩を「そんなこともわからないのか!と、さらに怒らせてしまう。そして、さらに自分は萎縮してしまう。これを繰り返しながら、トラウマを大きくしてしまうのです。

それがひどくなると、パニック発作や、うつ症状、適応障害といったところに追い込まれます。多くの場合、こういった症状が進むと、通常はクリニックを受診し、薬で対応するのですが、まだそこまで酷くない場合には、呼吸法で対応できるのです。

なぜなら、呼吸法の効果は、自律神経の改善、ホルモンバランスの改善を伴うものであるからです。

そして、その生理的改善に伴い、頭もきちんと働くようになるので、本来すべきことがわかるようになります。彼女の場合は、医局長にきちんと事実を伝えることでした。

この若手女医にも、このような生理的理論を詳しく説明しており(基本的には大人の塾生には説明します)、その理論的な納得感が、最後のコメントにつながったものと思います。

 

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