一流選手とそうでない選手との違いは何でしょうか?
技術的な実力の差もさることながら、大事な場面で最高のパフォーマンスを発揮し、結果を出すことができるかどうかにかかっています。
一流の選手は、最高にプレッシャーのかかる場面で自分の持つ最高の力を発揮することができます。
その鍵は…「ゾーン(Zone)」にあります。
- 体が勝手に反応してくれました
- すべてがスローモーションに見えた
- その試合を完全に支配していた
- あらゆることをコントロールしていた
- 一瞬も集中が途切れることがなかった
- すべてのことが自動的に起こっていた
試合で活躍したスポーツ選手がインタビューでこのように話すのを聞いたことがありませんか?
また、スポーツをやっている人であれば、「今日は乗っている」「全てが上手くいく」という感覚を、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
このような感覚は、「ゾーン体験(ZONE、異次元体験)」と呼ばれています。
ゾーンの秘訣をひと言で表現すると、「考えるな、感じろ!」です。
そう、あのブルース・リーの名言です。
ブルース・リーの言うとおり、不安を抱えていたり、余計なことを考えていては、ゾーンに入ることはできません。
しかし、それをどう達成するのか?多くのアスリートが悩んできました。
このページでは、経験豊富なプロのメンタルコーチが、あなたが正しくゾーンを理解し、ゾーンをより頻繁に体験するための知識とノウハウを提供しています。
ぜひ参考にしてください。
ゾーン(ZONE)とは?
ゾーンとは、アスリートが極度の集中状態にあり、他の思考や感情を忘れてしまうほど、競技に没頭しているような状態(感覚)のことです。
ゾーンは「異次元体験」といわれることもありますが、決して「異次元」ではありません。
ゾーンは、これまでの練習や経験の中で積み重ねてきた「真の能力」を十全に発揮している状態に過ぎません。今までできなかったことが急にできるようになる魔法ではないのです。
スポーツに真剣に取り組んでいれば、ゾーンは誰でも体験できます。
残念なのは、多くのアスリートが、自分でゾーンへの入口を塞いでしまっているということ。一番顕著なのが、必要以上に試合中に考えてしまうこと。練習では考えるべきですが、試合では必要以上に考えてはいけないのです。
このことを正しく理解し、試合に向けて準備していけば、より頻繁にゾーンに入れるようになります。
「ゾーン」体験は、特別な人だけに起こるものではありません。ただ、ほとんどの人にとって、それは偶発的に、たまたま起こるもので、起こそうとして起きるものでもないのです。
では、「ゾーン」体験を意図的に起こすことはできないのでしょうか。
結論からいえば、100%の確率で「ゾーン」体験をすることは不可能ですが、その確率を高めることはできるのです。
「ゾーン」を体験したアスリートたちの声
ゾーンに入ったときの感覚はどういったものでしょうか?多くのスポーツ選手、アスリートたちが、究極の集中状態、「ゾーン」について語っています。
あの日の感じは忘れられません。リラックスしているのだけど、最高に集中していて、余計な力みが全くないんです。試合前の練習でも、ボールはクラブのど真ん中にスコーンと当たるんです。今日は調子いいぞ、と、ワクワクしていました。ゲーム中は何の不安も緊張もなく、心と体が完全に一体化していて、ただ無心にゴルフをやっているだけ。勝手に体が動いているような感じでした。正直言って、スコアも気にならないくらいでした。そして、自分でも信じられない好成績が出たんです。
全てが流れるように進み、相手の選手の動きも面白いように分かりました。風の動きや観客の声、審判の姿…。試合に100%集中しているにも関わらず、いろんなものが目に飛び込んできました。どこか別の場所から会場全体を見降ろし、自分の動きをコントロールしているかのような錯覚さえありました。
流れるように体が動き、苦しさは全くありません。しかも、意識ははっきりとしていて、体がどう動いているのか指先の動きまで把握していました。それでいて水の抵抗を全く感じないんです。自分が水と一体化したような感じ。そのレースで自己ベストを更新できたのですが、レース後も不思議と疲れが出ず、ハイ状態でしたね。
自分が自転車と完全に一体化していて、まるで自動操縦で走る自転車に乗って滑るように進む風景を眺めている、というような感覚でした。でも、ぼおっとしていたわけではないのです。ギアの状態や、自分が今何番目にいるか、他の選手がどう動いているかといった情報は自然に把握できていました。レース終盤、ラストスパートをかけたのですが、苦しいという感覚もなく、すっとスピードを上げていくことができました。
ゾーンに入る秘訣は、練習では考えるが、本番では考えない
これまで解説してきたとおり、余計な思考こそが、ゾーンに入るのを邪魔しています。
だからこそ、ゾーンに入るためのメンタルトレーニングは、「考えないで、感じる」を実践するためのメンタルトレーニングになります。
しかし現状、ほとんどのアスリートは、監督やコーチから、「もっと考えて練習しろ!」とか「頭を使え!」と言われていることが多く、「考えないことはいけないこと、怠け」のように思ってしまっている人も少なくありません。
まずこの誤解を解消することから、ゾーンに入るメンタルトレーニングが始まります。
指導者のいう「もっと考えろ!」というのが大事なのは、日常の技術練習においてです。普段の練習においては、しっかり考えて、問題点を修正したり、課題を克服することが大事です。
「考えない」が大事なのは、本番において、特に強いプレッシャーがかかる場面です。強いプレッシャーがかかる場面では、考え過ぎることが動きを邪魔するので、考えないことが大事なのです。
普段、多くのアスリートは、練習で考える習慣がついてしまっているがために、本番でも、うまくいかない場面で、頭を働かせて、その局面を乗り切ろうとします。
これはこれで、それほどプレッシャーの高い場面でなければ(相手が強くなければ)、上手くいくことも多いのです。
しかし、相手が本当に強く、自分の最大限の力を発揮しなければ勝てない場面で、余計に考えて過ぎてしまうと、体が思うように動かなくなり、思ったパフォーマンスを発揮できなくなります。
考えすぎてはいけないとわかっていても、普段、考える癖がついてしまっているので、なかなか余計な思考や雑念が消えてくれない。これが問題なのです。
ですから、普段の練習ではしっかり考えつつも、本当に大事で必要な場面では、考えないで、体の本能的な動きに任せられるように、メンタルを鍛えることが、ゾーンに入るためには大事なのです。
ぐっとゾーンを引き寄せる!お勧めのメンタルトレーニング方法
このページで紹介しているゾーンに入るためのメンタルトレーニングは、余計な思考を静めるために有効な方法です。
共通するのは、どれも言葉に頼らないということです。
ゾーン体験は、あなたの技能を直感的・本能的に発揮できている状態で、その最中に余計な言葉や思考はありません。だからこそ、言葉ではなく、呼吸や意識、イメージや身体感覚を鍛える、「体」中心の感覚系メンタルトレーニングが効くのです。
レゾナンス呼吸法
レゾナンス呼吸のやり方はとっても簡単です。
- 意識を心臓周辺に向ける
- 姿勢を良くする
- およそ5秒間隔で、吐くと吸うを繰り返す(3-15分)
たったこれだけです(笑)。
もちろん注意すべきポイントには個人差がありますが、たったこれだけで、私たちの心拍リズムは、レゾナンス(resonance)と呼ばれる望ましい精神生理状態に入っていきます。
そして、これだけで、アスリートの中には、「考えないで、感じる」を体験できる人も少なくありません。
レゾナンス呼吸だけでいつでもゾーンに入れるとは言いませんが、レゾナンス呼吸は、ゾーンの入り口まで、あなたを導いてくれる基礎的なテクニックです。
この基礎の上に、感情のコントロールや、イメージを積み重ねていくことが大切です。
イメージトレーニング
ゾーンに入るメンタルトレーニングにおける、イメージトレーニングの目的は、「デジャビュ(既視体験)」を起こすことです。これが成功すると、ゾーンに入れる割合がぐっと高まります。
デジャビュとは「既視体験」という意味で、「前にどこかで体験したかも」という感覚です。
本番前にイメージトレーニングを行うことで、本番で「デジャビュ」を起こりやすくさせるのです。
例えば、競技スキーの選手が、大会の本番前にイメージトレーニングを行い、競技中に「デジャビュ」を感じることができれば、次のターンへの「迷い」を追い払うことができます。なぜなら、その「デジャビュ」では、パーフェクトの滑りができていたのですから。
ただ、このデジャビュを起こすためのイメージトレーニングは、とても難しいのです。継続が必要なのに退屈でマンネリ感があること、多くの場合イメージ通りにならず競技中にミスを起こしてしまうこと。
自己流でイメージトレーニングを始めた人のほとんどが、これらのカベを打ち破ることなく挫折してしまうのが実情です。
効果的に行うには、専門のメンタルコーチの指導を受けられることを強くお勧めします。
オリジナル・ルーティン
イチローほどの天才でも、結果が出ない時期が続けば「迷い」が生じます。
「迷い」は心の隙間に入ってくるものです。「迷い」は、ゾーンに入るための本能的・直感的プレーの大敵で、この隙間を埋めるものが「ルーティン(決まりごと)」なのです。
ルーティンは、一つだけではありません。試合前・試合中・試合後・練習中、それどころか日常生活にいたるまで、状況別に数多くのルーティンを作り上げることが、余計な「迷い」に打ち克つための秘訣です。
ただし、本当に信頼できるルーティンを作るためには、単にルーティンを決めるだけではだめです。それを試合中も練習中も同じように行えるようになること、そして、いつでもレゾナンス状態で行うことが大切なのです。
あなたのオリジナル・ルーティンを確立することで、好調・不調に左右されることなく、常に精神状態を一定に保つことができるようになり、それがゾーンに入る確率を高めてくれるのです。
インナーゲーム
インナーゲームは、1970年代にティモシー・ガルウェイというテニスコーチが考案したメンタルトレーニングメソッドです。要約すると、「頭で考えたとおりに体を動かすことを試みるのではなく、できるかぎり体に動きを任せよう」というものです。
ガルウェイは、これを「make it happen」ではなく「let it happen」と表現しています。本来、体だけで十分に対応できることまで、大人になると頭がしゃしゃりでて、余計なことを考え、その動きを自然なものでなくしてしまう。「頭」が、本来自由に動ける「体」を邪魔してしまう、というわけです。
「let it happen」ができるときというのは、最高の力を発揮できるゾーンに入っている状態に非常に近いものです。思考を最小限にすることで、直感と本能が最大限に発揮されます。
過去にインナーゲームを諦めてしまった人も、地道なメンタルトレーニングで「体」中心の「感覚」へ移行できていれば、習得できる可能性は一気に高まります。
バイオフィードバック訓練
バイオフィードバックとは、心拍数・筋緊張・脳血流・脳波などを、センサーからパソコンに読み取り、リアルタイムで本人にフィードバックすることによって、自分の心と体の状態を正しく理解し、望ましい方向に修正するためのメンタルトレーニングです。
大事な場面で緊張しすぎたり考え過ぎてしまう人は、肩に力が入る、心拍数が高くなる、といった身体変化が起こります。その数値を正常に戻すことで、緊張を正しくコントロールする方法を学ぶのです。
「落ち着こう」「平常心」と強く願っても、心拍数は減らないし、肩の筋緊張はとれません。
言葉や思考に働きかけるのではなく、呼吸や意識、イメージや身体感覚を「微調整」することでしか、心と体は望ましい方向へ変化しません。言葉では自分に嘘をつくことができますが、体は嘘をつきません。心のどこかに不安が残っていれば、それは必ず体に現れます。
バイオフィードバック訓練は、その体に現れる不安の兆候を取り除くことで、心の不安を払しょくするためのメンタルトレーニングです。
あなたに合った取り組み方を見つけるために
あなたがアスリートとして真剣に競技に取り組み、メンタル面の克服を課題としているなら、次のステップは石井塾メソッドの全体像です。
https://ishii-juku.jp/blog/overview/
本番で力が出せなくなる原因と、そこから抜け出したアスリートたちの実例、そして自分に合うかを確かめる簡易診断まで、順を追って確認できます。


