名将と言われた野村克也監督は、かって雑誌のインタビューで次のように語っていました。
プロ球団に入団できる投手は、ごく一部の超一流選手を除いて、ブルペンで投げるボールに大きな差はない。
プロで成功するかは、バッターに投げるときに、ブルペンと同じボールを投げられるかどうかで決まる
あなたも同じ課題を感じていませんか?
この記事では、そんな野球選手(打者も)や、ご家族を対象に、試合で力を発揮するためのメンタルトレーニングの実践方法について詳しく解説しています。
試合で力を発揮するのも、ひとつのスキルであり、そのスキルを高めるメンタルトレーニングが必要だということがわかるはずです。
高校野球、六大学、NPBの野球選手へのメンタルコーチング例などをあげながら、わかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にして、実践してみてください。
試合で力が最大限に発揮される「ゾーン」は起こすもの!
これまでの野球人生で、試合中、こんな感覚に陥ったことはありませんか?
ボールに体が勝手に反応してくれた
すべてがスローモーションに見えた
あらゆることをコントロールできていた
余計な雑念がなく、集中が途切れなかった
すべてのことが自動的に起こっていた
あなたが高いレベルで野球を続けてきたのであれば、必ず何度かは体験したことがあるはず。
この状態が、いわゆるゾーンです。
あなたの力を100%発揮されていた状態です。
そして、ゾーンが頻繁に起きていた時期に、あなたの野球のレベルは一段上がり、成長を実感できていたはずです
反対に、ゾーンがほとんど起こらなくなってからは停滞中で、成長している実感がほとんど得られてないはずです。
このように言い切れる理由は、ゾーンは心理学で研究されており、ゾーンが起こる条件や、ゾーンが起こす結果などが、かなりよくわかってきているからです。
結論からいうと、あなたが野球選手として、これからも成長を続け、プロの舞台での活躍を目指すには、このゾーンをどれだけ頻繁に起こせるかどうかによって決まります。
ゾーンを異次元体験と呼び、魔法や奇跡のように考える人もいますが、決してそんなことはありません。
いくつかの条件を満たすことで、ゾーンが起こる確率を上げることができるのです。
つまり、ゾーンは「起こるもの」ではなく、「起こすもの」なのです。
この記事で紹介するメンタルトレーニングが、それを可能にします。
ただ、メンタルトレーニングのやり方を説明する前に、本番だと力が発揮できなくなる理由について、まずは解説していきます。
試合中に起こるゾーンには、大きいものから小さいものまであります。
1日中ゾーンに入ることもあるし、ワンプレーでゾーンが起きることもあります。
なぜ試合では思ったように投げられなくなるのか?
プレッシャーが脳の出力パターンを変えるから
ブルペンでは150キロが投げられる投手が、なぜ試合になると、それができなくなるのでしょうか?
多くの野球選手が抱えている疑問だと思います。
基本的には誰でも、練習よりも試合本番のほうが、パフォーマンスの質は下がります。
ごく簡単に説明すると、プレッシャーがかかる、いつもとは違う状況においては、脳の出力パターンが変わってしまうからです。
- ブルペンと、試合のマウンドでは、見える景色が違う
- 意識しようとしまいと、「やり直しできない、負けられない」という思考が試合では働く
- 打席にバッターが立っている
これらは全て無意識なプレッシャーとなり、脳の働きを変えてしまうのです。
ただし、上級者ほど、体の動きは高度に自動化されているのと、多くの経験を積んできているので、これらの影響は小さくなります。
しかし、上級者ほど、非常に高いレベルでの再現性を求められるので、そのほんのちょっとの変化が成績低下に直結します。
その分、悩んでいるプロ野球選手は多いし、悩みも大きくなります。
中高生の野球選手の中には、実力がついてくれば、こういった不安はなくなるはず、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
実力が上になればなったで、さらに高いレベルのプレーを求められるし、もっと強い対戦相手が待っているからです。
パフォーマンス低下の個人差を生み出す要因
このように本番と練習ではパフォーマンスの質が下がるのは、脳の仕組み上の問題で、誰でも基本的に避けられないものです。
ただ、どの程度下がるかは、経験、性格、考え方、競技特性、トラウマなどによって、個人差が生じます。
その個人差は大きく、試合になると、多少パフォーマンスが落ちてしまう人から、全く別人になってしまう人までいるものです。
多くの場合、いきなり「全く別人」になるのではなく、思ったように力を発揮できないことを繰り返しているうちに、どんどん試合本番で弱くなってしまう悪循環に陥ってしまうケースがほとんどです。
これを私は委縮の悪循環と呼んでいます。

この記事を読んでいるあなたは、もうそうなってしまっているかもしれません。
しかし、諦める必要はありません。
パフォーマンス低下の個人差を埋めたり、悪循環から抜け出すことを可能にするのがメンタルトレーニングです。
N君は東京六大学リーグに属する野球選手です。
高校時代、甲子園にはあと一歩で出場できなかったものの、名門校でレギュラーをつかんでいた実力を評価され、大学も野球で推薦入学しました。
大学入学後も、下級生のときから、ベンチ入りメンバーには選ばれていたものの、周りの目が気になり、勝負弱く、なかなか公式戦ではスタメンで使ってもらえませんでした。
元々、打撃よりも、守備を得意としていましたが、その守備ですらシートノック中に固さを感じるようになり、自分の思ったプレイができなくなっていきました。
最終学年の春季リーグに入ってから、その傾向が特に顕著になっていきました。
N君は、大学4年の春季リーグ中にメンタルトレーニングを始めて、春季リーグで公式戦初ヒット、そして秋季リーグでも2安打して、大学野球を終えました。
もう少し早くメンタルトレーニングに取り組んでいたら、また違った野球人生があったかもしれません。

メンタルトレーニングとは?
メンタルトレーニングとは、心理的なスキルを向上させるための体系的な練習方法のこと。
その歴史は1950年代に、旧ソ連のスポーツ心理学者たちが、五輪での競技力向上のために開発したことが始まりとされ、徐々に欧米にも広がっていきました。
野球におけるメンタルトレーニングの歴史
野球においては、1963年に、セントルイス・カーディナルスがチーム専属の心理学者を採用した最初のMLBチームとなりました。
それ以降、メジャーリーグの複数のチームが、心理学者やメンタルコーチを採用し始めたと言われています。
1970年代には、ハーベイ・ドーフマン博士が、ボストン・レッドソックスのスポーツ心理学者として活躍し、多くの選手のパフォーマンス向上に貢献しました。

このようにアメリカでは、心理学者を中心として、科学的アプローチとしてのメンタルトレーニングが早期に確立されました。
一方、日本では、メンタル面の強化は主に「精神論」や「根性論」として扱われることが多かったという特徴があります。
とはいえ、今ではNPBチームの多くが専門のメンタルコーチを採用し、特に若手選手へのプログラムを実施しています。
また、大学野球や高校野球でも、一部でメンタルトレーニングの導入が進んでいますが、チームや監督によってかなり温度差があり、月に1回の座学研修のようなプログラムも少なくないようです。
メンタルトレーニングの目的
野球選手がメンタルトレーニングを始める主な目的には、次のようなものがあります。
- 自信や自己効力感の向上
- パフォーマンスの最適化
- 集中力や注意力の強化
- 目標設定とモチベーション維持
- イップスや恐怖の克服
- ストレス管理と感情コントロール
この記事でテーマである「試合で力を発揮できるようになる」は、上記目的の複合的なものといえるでしょう。
メンタルトレーニングの方法
野球選手に推奨されるメンタルトレーニングには次のようなものがあります。
呼吸法 | 緊張や不安を和らげるために、呼吸のコントロール |
---|---|
ルーティン | パフォーマンスを安定させるために、打席に入る前の決まった動作 |
目標設定 | モチベーションを維持するために、短期・中期・長期の具体的な目標設定 |
セルフトーク | ポジティブな心理状態を保つために、自分自身への言葉かけやひとり言 |
イメージトレーニング | 試合への準備として、プレー場面を具体的に頭の中で行うリハーサルやシミュレーション |
これらは無数にある方法の一部ですが、こういった技法のトレーニングを通して、「試合で力が発揮できるスキル」を磨いていくのです。
野球選手にお勧めしたいメンタルトレーニングの始めかた
まずは平常心を作りだすレゾナンス呼吸から始めよう!
それではここから、私が野球選手に勧める、ゾーンに入って最高の力を発揮するための、具体的なメンタルトレーニングの方法について、説明したいと思います。
まず一番大事なのが呼吸のコントロール=呼吸法です。
呼吸のコントロールは、全てのメンタルトレーニングの基礎になります。
具体的には、平常心を作りだす「レゾナンス呼吸法」をまずはしっかりと練習することから始めます。
ステップ① 椅子に座り、姿勢をただす

レゾナンス呼吸を上手くやるには、非常に姿勢が重要になります。
椅子には深く腰掛けずに、地面と90度となるように背骨をまっすぐ伸ばし、軽く胸を張るような感覚で、少し顎を引いてください。
ステップ② 意識をみぞおち周辺に向ける

右手をイラストのようにみぞおちの上に置いてみることで、みぞおちへの意識がより簡単になります。
心臓への意識は、次のステップでも続けてください。
ステップ③ そのまま5秒間隔で、吐くと吸うを繰り返す

少しだけ深めに、できるだけ自然に、5-6秒間隔で呼吸を繰り返して下さい
平常心を作りだす呼吸法はスキルですから、繰り返しの練習で必ず上達します。
再現性を高められるはずです。


基礎として、呼吸をコントロールする、心拍をコントロールすることができれば、あとは本番でそれをどう実践活用するかという話になります。
塾長メルマガの登録で、レゾナンス呼吸法について詳しく解説した『ここ一番に強い自分は科学的に作り出せる』(こう書房2009)の全文PDFが入手できます。
試合中の余計な雑念が消える!呼吸の実践活用
呼吸法を基礎スキルとして身につけた後に、次にあなたが取り組むのは、試合に向けて呼吸をどう使うのかという応用スキルの習得です。
あなたがどのくらい、パフォーマンス低下に悩んでいるかにもよりますが、まずは次のような場面で、数分から20分くらいの呼吸法に取り組みましょう。
- 試合前日の夜
- 試合当日の朝
- 球場に向かうバスや電車の中
- ベンチやブルペンでの待機中
試合前はバタバタしてしまうかと思いますが、これらは忘れなければ必ず実行できるはずです。
そして、より望ましいのが、試合中に呼吸を行うことです。
試合中に呼吸なんてできない!と思われるかもしれませんが、大丈夫。
必ずできます。
ただ、レゾナンス呼吸のように「5秒で吸って、5秒で吐く」といった呼吸にはならず、状況に応じて、
- ゆっくり長く吐く
- 短くしっかり吐く
こういった呼吸になるかと思います。
例えば、ピッチャーであれば、
- マウンドに向かうまでに歩きながら
- 投球直前(セットアップ中)
- 投球後
- タイム中
バッターであれば、
- ネクストバッターズサークルで
- バッターボックスに向かうまで
- 打撃ルーティンの中に入れる
などなど。
そして大事なことは、吸うのではなく、吐くことを意識することです。
一般的には深呼吸するときは、つい吸ってしまいますが、ぜひ「吐く」を意識してみてください。
かなり違いを実感できると思います。
なぜ「吐く」のかは、簡単にいえば、吐くほうが力が抜けるからです。
ですから、投球や打撃の前で吐くことで、肩の力がより抜けやすくなるはずです。
また、「吐く」ことで、重心が下がります。
これまで指導したハイレベルな野球選手のほとんどが、この「吐く」をタイミングよく行うことで、本番では余計なことを考えなくなり、力を発揮できたと報告をくれています。
在京球団の選手(20前半)が、自らインターネットで検索して、シーズンオフの12月に初めて来塾しました。
1軍に定着している選手ではありませんが、1軍での試合経験も少なくない若手選手です。
高校生でドラフト上位で某チームに入団しました。
プレーの質にムラがあることが課題で、凄く良いときと、悪いときの差が激しいそうです。
本人は、毎回、同じように準備して練習や試合に臨んでいるものの、その差の違いが自分ではわからず、監督やコーチからはあまり良い評価を貰えないでいました。
プレーにムラがあることが課題でしたが、呼吸法を習得した後、その呼吸を守備面においてルーティン化したところ、まさに「考えないで、感じる」ができるようになりました。
難しい守備機会も安定してこなせるようになり(プロに入れる時点でこの能力は持っています)、コーチからの信頼を勝ち得ました。
開幕戦こそ1軍で迎えることはできなかったのですが、すぐに1軍に昇格。
元々打撃力が買われている選手だったのですが、そのシーズンは、主に守備固めで出場を重ねていきました。
ある試合では、試合を決める素晴らしいスーパーファインプレー(その日のスポーツニュースでも何度も取り上げられた)を決めました。
そのシーズンは、プロに入団以来、自己最多の出場試合数に達しました。
しかし実は、シーズンインする直前に「忙しくて、なかなか通うことができない」という理由で退塾してしまいました(当時は面談が中心)。
トータルでは結局、10セッションほど、呼吸法を中心にトレーニングしただけです。
私としては、そこからイメージトレーニングを重ねていけば、もっと打撃面での活躍もできたはずだったのですが、もうこれで大丈夫と思ってしまったのでしょう。
本当にもったいなかったと思いますが、それも本人の選択です。
ただそれでも、その後5年くらいはユーティリティプレイヤーとして在籍していました。
どのタイミングで、どのように呼吸をするのかは、ポジションによって異なりますので、自分なりに試行錯誤が必要です。
この事例はカーレースですが、「300キロで走行中に呼吸なんてできない」と思っていたレーサーが、レース中に呼吸をどう取り入れたのかがわかります。

イメージトレーニングはどんなもの?
呼吸法のやり方や、試合中の実践活用の方法がわかって頂けたと思います。
呼吸を習得した後に、私が野球選手に教えているのが、イメージトレーニングです。
イメージトレーニングと聞くと、何かひとつの方法のように思えますが、実は、そのやり方はたくさんあり、私は野球選手には、これから迎える本番の自分を頭の中で想定する方法を強く勧めています。
注意して欲しいのは、こういった本番の想定をするときに、多くの選手が自分の理想の本番をイメージしてしまいます。
それはそれでありなのですが、それだけでは不十分です。
私が勧めるのは、相手投手(打者)とのかけ引きを、頭のなかで色々とシミュレーションしたりするイメージトレーニングです。
このようなイメージトレーニングのやり方を「メンタルリハーサル」といいます。

野球のレベルが高くなればなるほど、考えずに体が勝手に反応してくれたほうが、パフォーマンスは高まります。
メンタルリハーサルは、その「体が勝手に反応してくれる」準備にとても有効なのです。
そして、ゴルフ、テニス、バスケットなどの主要スポーツ競技のなかでも、野球が一番、メンタルリハーサルから効果を得やすいと考えています。
たった1回イメージするだけでは、暗示以外の効果は期待できませんが、何度も頭の中で繰り返すことで、「勝手に反応する」効果も少しずつ高まるのです。
次に紹介する、NPBを目指していた東京6大学リーグの野球選手も、このようなイメージをやっていなかったわけではありませんが、私からすれば、全く不足していた状態でした。
それでも不調に陥るまでは結果を出していたのですから、もしイメトレを取り入れていたら、NPBにも行けていたかもしれません。
委縮の悪循環に陥っていた東京六大学のエリート選手のメンタルトレーニング回復事例
それでは最後に、呼吸法やイメージなどのメンタルトレーニングで改善した野球選手のコーチング事例を少し詳しく紹介したいと思います。
メンタルトレーニング石井塾の考えやアプローチがどういったものであるかの参考になればと思います。
入塾の経緯
M君は東京六大学リーグに属する野球選手です。
甲子園には複数回出場し、大学にも特待で入学しました。
大学2年生から、外野のレギュラーとして出場を重ね、2年生と3年生では、成績も残していました。
レギュラーとして、全日本選手権大会優勝にも貢献しています。
しかし、当時のチーム事情として、監督に気に入られないと、すぐに降格させられる環境で、多くの選手が「監督だけ」を気にしながらプレーしていたそうです。
調子が良かった時は、それほど監督は気にならなかったそうです。
しかし大学4年になってから、思ったような結果が出なくなってから、M君も監督の目を気にするようなり、委縮の悪循環が始まりました。
そして迎えた大学4年の秋季リーグ。
ドラフトにかかるためには最も大切なシーズン。
オープン戦の結果は不十分でしたが、それまでの実績から開幕戦スタメン出場は果たしたものの、全く思ったようにバットが振れず、ヒットが出ませんでした。
翌日はなんとかラッキーヒット1本。
試合の前に体が重くなったり、不安になったりして、自分を信じられなくなる状況に陥ってしまったことから、リーグ開催中のオープンウィークの平日に石井塾の門を叩きました。
その時のメールメッセージがこれです。
大会中でなかなか結果が出せず苦しんでいます。
試合前になると体が重くなったり不安になったりして、自分を信じることができません。
これが最後の大会で今すぐなんとかしたいと思っています。
お試しコーチングでわかったこと
お試し相談で、M君本人から詳しく聞いて、上記のような状況にあることを知りました。
本人はもう何とかしないという焦りで一杯だったでしょうが、私の経験から言えば、彼は委縮の悪循環が起きていただけでした。
この悪循環の要因をひとつずつ取り除きながら、小さい成功体験を重ねていけば、また元の状態に戻ることができます。
M君くらいのレベルで野球をしているのであれば、正直、それほど難しくはありません。
とはいえ、今すぐ結果を、というのは無理です。
少なくてもシーズン3か月前に来てもらえれば、リーグには間に合う可能性が高いのですが、もう第一カードが終わってしまっていました。
ですから、しっかりメンタルトレーニングすれば、回復はするだろうけど、リーグ中にどこまで回復するかは、やってみなければ分からない、それでも良いならという条件で、入塾してもらいました。
メンタルコーチング指導の経緯
M君には、まずは時間をかけて、丁寧にレゾナンス呼吸法のやり方を教えました。
そしてその日から毎日最低30分はやるように指示しました。
私が教えた呼吸が正しくできているかがわかるツールも貸与したので、間違った呼吸法を続けてしまう危険はありません。

また、呼吸法の前に、首と肩を中心に、静的ストレッチを丁寧に多めにやるように指示しました。
翌週の2回目のセッションでの報告では、入塾して数日後、ある日の打撃練習で、自分でも驚くほど、腕の力が抜けたことに気づき、また打球の勢いが全く違ったそうです。
2回目のセッションでは、次の試合に向けて、ベンチやネクストバッターサークルで、レゾナンス呼吸をできる限り行うように指導しました。
また、バッターボックスでのルーティンで短い呼吸を取り入れるように細かく指導しました。
そして迎えた第2カードでは、久しぶりに落ち着いて試合に入れたそうです。
ヒットは2本だけでしたが、ボールはよく見えていたとのことで、四球を選べたり、良い当たりのセンターフライがあったとのことでした。
3回目のセッションで、打撃におけるイメージトレーニングを教えました。
その成果を私も楽しみにしていたのですが、なんと練習中にケガをしてしまい、そのあとの第3カードと第4カードの出場が見送られました。
その怪我の影響で、呼吸をすると痛みを感じてしまうとのことだったので、呼吸法もしばらくやれない状況でした。
それでも4-5回目のセッションでは、復帰が間に合うことを前提に、いくつかイメージトレーニングを教えました。
最終第5カードの前に、痛みは少し残っていたものの練習を再開。
そして迎えた最終カードでは、2試合に先発して、4本のヒットを打ちました。
なんとか打率は2割後半に持っていけたものの、結局、ドラフトにかかることはなく、地方の社会人チームに行くことになり、6回でコーチングも終わりました。
当時もまだ面談でのトレーニングが主だったので、電話で続けるという選択肢を思い浮かばなかったようです。
その後の経緯をネットで検索したところ、社会人を2年やってから、独立リーグへ。
そこで2年ほどやってから引退したようです。
ゾーンを起こすメンタルトレーニングで、あなたの成長を再加速させよう
この記事で紹介した東京六大学リーグの2名の選手、そしてNPBの選手への指導経験をとおして感じたことがあります。
それは、これだけの野球エリートで、小さな頃から血の滲む努力をしているにもかかわらず、試合に向けての準備が不足していることでした。
普段、やるべき技術を磨いていれば、それが試合で発揮される、と考えているのでしょう。
しかしそれでは足りないのです。
本番で力を発揮するため、ゾーンを起こすためには、そのための「準備」が必要です。
同じレベルの人間が切磋琢磨している、ハイレベルな野球では、「準備の仕方」が、結果に大きく差が出るのです。
どんなに血の滲む努力をしても、プレッシャーが高まれば高まるほど、身体は思ったように動いてくれません。
だからこそ、事前のメンタル面の準備が必要不可欠なのです。
しかも、その準備も中途半端ではダメです。
勝手に体が反応してくれた!
ここ一番のような場面で力を発揮するには、そこまで徹底的にやる必要があります。
そのために必要な準備がメンタルリハーサルであることは間違いありません!!!
あとはそれをどれほどまで精緻にできるか?です。
ぜひこの記事を参考に、メンタル面での試合の準備をしっかり行ってください。
将来NPBで活躍を目指しているのに、今、本来の力を発揮できていないのであれば、この本番に強くなるメンタルトレーニングで、再びゾーンを頻繁に体験し、成長を再開させ、そして加速させてください。
そして、もし本気でメンタルトレーニングに取り組み、NPBでの活躍を目指しているのでしたら、経験豊富なプロのメンタルコーチからの個人指導をぜひ検討ください。