万全の体勢で挑んだ今回のプロテストでは、全くといっていいほど自分のゴルフが出来ませんでした。練習でスコアが出せているのに試合でできなくて悔しいです
これまで何回か受け続けている女子選手(24)から届いた相談メールです。
プロテストは、受験回数を重ねるほど難しくなる。
受験1-2年目では最終テストまで進んだのに、最近では1次テストすら通過できなくなる。
そんなゴルファーが大勢います。
普通に考えれば、逆のはずなのに。
何事も回数を重ねたほうが有利だし、練習で技術も積上げられるからです。
この記事では、受験回数を重ねるほどプロテストが難しくなる理由と、それにどう立ち向かえばいいのかについて、プロゴルファー・テスト受験生、医師、経営者、演奏家などに、20年・2万時間超の個人指導を重ねているプロのメンタルコーチが解説します。
プロテストを重ねるほど難しくなる理由
結論から言えば、プロテストの受験回数を重ねるほど、失敗の記憶も積上げてしまうからです。
ある男子選手は、3年続けて同じ会場(静ヒルズ)で2次テストを受けました。
3回目で通過しましたが、そのときでも、18番(par4)だけは、3日間で4オーバー。
練習ラウンドでは起こらないことが、テスト本番の3日間で色々なことが起こりました。
ゴルフをしている方なら、感覚として分かると思いますが、過去に大叩きしたホール、OBを打った左サイド。そこに立った瞬間に、体の感覚が違う。
構えたときに、気持ち悪さを感じたり、スイングの途中で嫌な反応がとっさに起こったりします。
また、特定のホールだけでなく、特定の状況でも起こります。
たとえばボーダーライン。
最終日の途中まではラインの上にいたものの、ボーダーラインを意識した途端、それまでできていたことができなくなり、そこから崩れて落ちた。
次の年、また同じようにラインが見えるところにいると、去年のあの感覚が戻ってきます。
ショートホールのティーショット、残り30ヤードのアプローチ、スライスラインのショートパットなども、同じように状況として記憶されます。
初受験のテストでは、まだそんな記憶はありません。
しかし回数を重ねるうちに、テスト中に訪れる様々な要素に、過去の失敗が結びついていき、それが増えてしまうのです。
なぜ、普通の試合では出ないのに、プロテストではミスが出るのか
そうはいっても、こういった失敗記憶は誰にでもあります。
過去に大叩きしたホールに立てば体の感覚は変わりますし、構えたときに気持ち悪さも出ます。でも、普通の試合では、その程度なら対処できるし、なんとか振れます。
ところがプロテストでは、同じ選手が、同じ技術を持ったまま、そこで崩れます。
構えた時点で強い気持ち悪さが出てくるし、振り始めてから、自分の意思とは関係なく、途中で嫌な反応が出る。
気づいたときには、もう起きているので、切り替えようと思っても、できません。
つまり、体が勝手に反応している状態です。
これを心理学ではトラウマ反応と呼びます。過去の失敗が、危険な場面として体に記憶されているために起こります。
そして、この反応にはひとつの原則があります。
ストレスが大きいほど、発動しやすく、強く出る。
逆に言えば、ストレスが少ない場面では、同じ失敗記憶があっても、反応は大きく出てきません。
だから、普段の試合では乗り越えられるのに、プロテストでだけ出てくる。
技術が落ちたわけでも、気持ちが弱くなったわけでもありません。
自覚がなくても、心身には相当なストレスがかかっている
本人が自覚しているにせよ、そうでなにせよ、プロテストのストレスは相当なものです。
年に一度しかなく、落ちれば一年やり直し。女子の場合、受からなければQTを受けることすらできません。
普段の試合やミニツアーなどで、その試合のことで眠れなくなるでしょうか。三か月前から食欲が落ちるでしょうか。まず起こりません。
ところがプロテストは、日程が発表された時点で落ち着かなくなる。エントリーを済ませた日から、去年のことが頭に浮かぶ。会場が決まると、あのホールのことを考えてしまう。
食欲がなくなる。眠りが浅くなる。女性の場合、生理が乱れることがあります。
また、ゴルフ自体の調子が悪くなってしまうことすら、珍しいことではありません。
自覚できている選手もいれば、自覚のない選手もいます。
しかし自覚の有無にかかわらず、心身には大きなストレスがかかっています。
その状態で、失敗記憶の紐づいた場面に立つと、トラウマ反応が発動し、スイングにも判断にも影響が出ます。
どんな技術を磨いても、プロテストで力を発揮できなくなるのは、このような理由です。
ここから先は、技術練習だけでは変わりにくい
技術練習が無駄だと言いたいのではありません。
コーチをつけ、スイングを見直し、去年より確実にうまくなっている。
冒頭の選手も「技術の未熟さが招く失敗だと思い、コーチと契約をして技術指導を受けて」臨んでいます。
それは正しい努力です。
しかし、受験回数が重なるにつれ、技術練習は、プロテストの準備としては足りません。
ここから先で必要になるのは、メンタル面の準備です。
強いストレスがかかった状態で、失敗の記憶が出てくるのをどう抑えるか。
出てきたときに、どう戻すか。
1年に1回、落ちたら終わりのプロテストのプレッシャーを、ちょっと考え方を変えることだけで、軽くすることはできません。
変えられるのは、そのプレッシャーに対する自分の反応です。
ここに手をつけない限り、来年もその次も、同じことが起こります。
後悔なくやり切るとは、どういうことか
これまで長く、様々な競技でジュニアや受験生を見てきて分かったことがあります。
大事な本番で「やり切れた」と思えた選手は、結果がどうあれ、そこで区切りをつけられます。
逆に、やり切れなかった、自分の力を出せなかったという思いが残ると、その気持ちを長く引きずり、その競技を離れたあとの人生にも、それを持っていくことになります。
では、やり切るとは何でしょうか。
練習量のことではありません。
本番で、自分の力を出せたかどうかです。
そもそもプロテストは、数日間の一発勝負です。
どんなに実力があっても、その週の巡り合わせで届かないことは普通に起こります。運の要素は、決して小さくありません。
だからこそ、自分にコントロールできるのは、持っている力を当日出し切ることだけです。
自分の出せるものを全部出して、そのうえで届かなかった。
そう自分で言えるなら、実力が足りなかったと冷静に判断できます。次に何をすればいいかも決まります。
訳がわからず崩れているうちは、これができません。
技術が足りなかったのか、判断を誤ったのか、失敗の記憶に飲まれただけなのか、不完全燃焼のまま時間が過ぎていきます。
そして翌年、また同じことが起こる。何年も受け続けて、結局自分の本当の力がどれくらいだったのかも分からないまま区切りの年が来る。
これが、いちばん苦しい終わり方です。
ここまで読んでいただいたあなたは、何が足りなかったのか、その理由がもう分かったと思います。
足りていなかったのは、技術ではありません。失敗の記憶が積み上がり、プロテストという特別なプレッシャーの下でそれが発動する。
この仕組みに対するメンタル面での準備を、これまで誰も教えてくれなかっただけです。
逆に言えば、ここに手をつければ変わる可能性があります。
これまで通り技術を磨き、本来の力を上げていく。
そのうえで、その力を本番で出せる状態を作る。この二つが揃えば、次のテストは戦える場所になります。
石井塾のメンタルトレーニングで、実際に、どう変わっていくのか
石井塾で、半年以上、メンタルトレーニングに取り組んだ選手に起こる変化は、次のようなことです。
1つめが、プロテスト前の気持ちの変化です。
日程が発表されても、以前ほど落ち着かなくならない。眠れる。食べられる。
テスト前の1か月を、体調を崩すことなく、練習に使えるようになります。
これだけで、当日までの仕上がりが変わります。
2つめが、ミスのあとの立て直しです。
ミスがなくなるわけではありませんし、ミスは引きずるものです。これは避けられません。
変わるのは、そのミスをどれだけ早く立て直せるかです。
3つめが、少しずつ特定場面での苦手意識・トラウマが小さくなります。
前の年に大叩きしたホール、朝一のティーショット、ボーダーラインが見えてきた最終日。以前と同じ場所に立っても、体の反応が違ってきます。
もちろんこれらも完全になくなることはありません。
しかし、それが起きたときにどうすればよいかわかっているので、立て直しがしやすくなり、そこからずるずると大崩れする、ということがなくなるのです。
具体的に何をやるのかは、別のページにまとめてあります。
実際に変わった選手たち
①最終テストの初日スタートホールで大叩きを克服した男子選手
絶好調だったところもあり、本番前は何も考えずに迎えました。ところが当日はただただ不安になり、気持ちがフワフワして失敗しました
スタートホールで8を叩き、その後もボロボロで9オーバー。
初日でほぼ最終テストが終わりました。
先輩プロの紹介で入塾した翌年は、何が起きても動揺しないよう、細かいところまで一緒に想定し、迎えた最終テストの初日は3アンダー。
この貯金が最後まで効き、2日目2オーバー、3日目雨天中止、最終日2オーバー、トータル1オーバーで合格しました。
②ミスに対する許容範囲が広がった女子選手
特にミスした後に引きずってしまい、次のショットでも同じようなミスを繰り返してしまうことが多く、スコアを崩す原因になっていました。
ラウンド中のミスに対する許容範囲も広がり、これくらいは想定内と受け止められるようになったことで、不安がかなり減りました。
その分、ミスを引きずることも少なくなり、安定したメンタルでプレーできる時間が増えています
③ドライバーとパターイップスを抱えていた女子選手の事例
一生懸命打っても30メートル先の横の木に当たってしまい、100くらい打つアマチュアの人からも『僕でもそこの木には当たらないよ』と言われるくらい。
パターも、イップス的な症状はかなりなくなりました。ただし本人が変化として挙げているのは、症状のことではありません。
ドライバー、パターは大幅に改善。打ち方というより、考え方。試合に対してのメンタルの作り方、考え方、準備の仕方を分かっていなかったので、今はとても良い手応えを感じています
私が指導しているのは、やり方ではありません
この選手が書いてくれたように、石井塾の受講生の多くは、変化として、症状が消えたことよりも、練習や準備の仕方が分かった、と言うようになります。
そして、私が指導で最も重視しているのが、まさにここなのです。
呼吸法もルーティンも、やり方だけなら誰でも教えられます。今ならAIが丁寧に教えてくれます。
しかし多くの場合、それを知っても、どこから手をつけるか、本番でどう使うか、上手くいかないときにどうするか、ここを自分で考えられるようにならなければ、毎回、誰かの指示を待つことになります。
だからセッションでは、「それはなぜだと思う?」「こういった場合はどうするの?」「それは何のためにやるの?」という質問を、何度もぶつけます。
最初は辛いという人が多いのですが、答えに詰まり、考え直すうちに、自分の課題を自分で見つけられるようになっていきます。
さらに、自分で考える力がつくと、本番でのメンタルだけでなく、日々の練習の質(技術を上げるためのメンタル)も劇的に変わります。
先ほどの、最終テストに合格した男子研修生も、体験談にこう書いてくれています。
この1年を振り返ってみると、ただ球を打っていただけだった練習が、考え、より効率的な練習をする事ができるようになりました。
毎ショット、打つ球筋をかえたりする事で、ずーっと課題であったアプローチを克服しました。
ずーっとメンタルが弱くて動けないと思い込んでいましたが、単なる技術不足だとわかり、技術を上げるためのメンタルもあるとわかりましたそのような考え方をしたことがなかったので、先生の話は毎回刺激がありました
プロテスト受験生の親御さんへ
お子さんの代理でご相談をいただくことが、毎年あります。
高校3年生の娘さんについて、お父様から届いたメールです。
今年に入り、ある狭いコースの大会でドライバーがチーピンが出だしてから、試合でのティーショットの精度が練習通りにいかなくなってしまいました。
道具を変えたり練習を工夫して少しずつ減ってはいますが、根本的な解決には至っておりません。全国大会や国体選考などことごとく通過出来ず、本人も自信をなくしております。
親御さんに、三つお伝えしておきます。
一つ目。本人が「緊張していない」と言っても、そのまま受け取らないでください。見ていて動きが違うなら、違います。自覚の有無にかかわらず、体にはストレスがかかっています。本人が嘘をついているのではなく、気づいていないだけです。
二つ目。「落ち着いて」「思い切っていけ」という言葉は、効きません。それができないから崩れているので、言われるほどできない自分が浮かび上がります。技術のアドバイスも同じです。すでにコーチから言われていることを親からも言われると、逃げ場がなくなります。
三つ目。この記事をお子さんに見せることをためらう方がいます。責めていると受け取られるのが怖いからです。しかし実際には、親御さんが記事を見せたことをきっかけに来た選手が何人もいます。本人が自分でこういう情報を探しにいくのは難しいものです。渡すだけで構いません。読むかどうかは本人が決めます。
ここまで支えてきた時間は、無駄になっていません。技術も実力もついています。足りていないのは、その力を本番で出すための準備だけです。
なお、これはゴルフの事例ではありませんが、何年も浪人が続いた美大受験生の父親から、合格後にいただいたメールを公開しています。技術ではなくメンタルが原因ではないかと気づいた経緯が書かれていて、同じ立場の親御さんには参考になると思います。
受かっても、受からなくても
プロテストを受け続けている選手の多くは、いずれ別の道に進みます。
それが現実です。
実際、受験をやめて、ゴルフに関わる仕事で独立した選手もいますし、まったく別の業界に進む選手もいます。その判断も、自分で考えて出した結論でした。
小さい頃から、教えられたことをこなしてきた選手は多いはずです。その力で全国大会にも出られたし、二次テストまで進むこともできた。しかしその先は、誰かが教えてくれる領域ではありません。
自分で考えて判断する力は、プロになっても、ならなくても残ります。競技を離れたあとの人生でも使えます。
後悔なくやり切るというのは、結局そこに行き着きます。出せるものを全部出して、自分で判断して、自分で区切りをつける。合格しても、しなくてもです。
覚悟が決まった方へ:受講までの3ステップ
この記事を読み、「まさに自分のことだ」と感じたとしても、いきなり本コースへ申し込むことは推奨していません。
私の指導は、手っ取り早い解決策や魔法の言葉を与えるものではありません。自ら考える覚悟のないまま受講しても、結果は出ないからです。
そのため、石井塾ではお互いのミスマッチを防ぐため、以下のステップで慎重に受け入れを判断しています。
ステップ1:無料の「入塾簡易診断」(ウェブ)
まずは、ウェブ上で受けられる簡易診断を受けてください。現在のあなたの状態や考え方が、石井塾の指導方針と適合するかを客観的に判定します。
すぐに効果が出る特効薬を求めている方や、ただ話を聞いて慰めてほしいという方には、正直に「他を検討した方が良い」という結果が出ます。
なお、この診断は選手本人はもちろん、親御さんが代理で受けることも可能です。受ける立場によって回答結果が若干変わる仕組みになっていますが、親御さんが主導してご相談される場合は、まずは親御さんご自身でそのまま診断を受けていただくことを推奨しています。
まずはこの診断で、現在地を確認してください。
ステップ2:お試し個別相談(オンライン / 60分)
簡易診断でご自身の現在地を確認した後は、お試し個別相談へお進みください(お申し込み自体は、診断結果にかかわらずどなたでも可能です)。
ここでは1時間かけて現状のヒアリングを行い、「どの失敗記憶が影響しているのか」「技術の発揮を妨げているものは何か」など、実際に指導した場合の改善の可能性と課題を、私のほうで探ります。
通常10,000円のところ、プロテスト受験生には特別割引として 7,000円(税込) で実施しています。
ステップ3:ゴルファー向け短期集中コース(3ヶ月8回)
お試し個別相談を経て、私が「力になれる」と判断し、あなた自身も「ここでやり切る」と決断した場合に限り、短期集中コースをご案内します。
費用: 220,000円(税込)→ 132,000円(税込)
※3ヶ月・全8回(マンツーマン)
※プロテスト受験生への特別価格。
金額を先に出すのは、相談の場でお金の話をしたくないからです。
月に2回程度のペースで、本番に向けた準備を徹底的に行います。地方在住の方でも、すべてオンライン(Zoom)で受講可能です。
短期集中コースで土台作りを目指しますが、とはいえ、実際に本番でどこまで使えるようになるかは個人差があります。
短期集中コースを受けて、私の考え方や指導スタイルと合うと感じたら、そのまま継続コースに進む方が多いです。2年、3年と続けている選手もいます。
今の実力を本番で出し切るための準備を始めたい方は、まずは「入塾簡易診断」に進んでください。

