スポーツや演奏、プレゼンなどにおいて、過去に一度でも、その最中に、こんな感覚を持ったことはありませんか?

  • リラックスしているのだけど、ものすごく集中している
  • 試合が自分の思うように進み、負ける気がしない
  • 体と心が完全に一体化していて、自然に体が動いているような感じ
  • 心と体が完全に調和した無我の境地だった
  • 体が勝手に動き、苦痛を感じなかった

ゾーン体験とは、スポーツ選手が、極度の集中状態にあり、他の思考や感情を忘れてしまうほど、競技に没頭しているような状態を体験する特殊な感覚のことです。

スポーツの世界では、一般的に「ゾーン」という言葉が使われることが多いのですが、仕事や演奏、研究などにおいては「フロー」という言葉で使われていて、心理研究の対象となっています。

ゾーンやフローが起こる秘訣について、シカゴ・ブルズとLA・レイカースの2つのプロバスケットボールチームの黄金期を築いたNBAの名監督、フィル・ジャクソンは、その著書『シカゴ・ブルズ 勝利への意識革命』(PHP研究所)の中で、こう述べています。

秘訣は、考えないことだ。と言っても、馬鹿になるのではない。とめどなく次から次へと浮かぶ考えを鎮めて、自分の体が、頭に邪魔されることなく、やるように訓練されてきたことを本能的にできるようにするという意味だ。

NBA ヘッドコーチ フィル・ジャクソン

現在、多くのメンタルトレーナーが推奨している、最も一般的な方法は「プラス思考」です。プラス思考は重要なことですし、効果があることは確かです。

しかし、ゾーンやフローを起こす可能性を高めるためのアプローチとしては、プラス思考は有効ではないと、石井塾は考えています。

ひとつの理由は、プラス思考のように頭で考えることに意識を向ける行為自体が、今、目の前にある課題への意識の集中を阻害してしまうからです。

スポーツに限らず、ゾーン体験とは、今の課題だけに意識が極度に集中していて、余計なことを一切考えていない状態です。プレーの最中に、「この方法で大丈夫だろうか」とか「今日失敗したら、また監督にまた叱られる」などと考えていては、絶対にゾーンは起こりません。

しかしそれだけでなく、プレーの最中に「いやいや、絶対に今日は絶対に勝つ」とか「今の自分なら大丈夫」というようなプラス思考をしても、やはりフローは起こりにくくなるのです。

フィル・ジャクソンが語ったように、「秘訣は考えないこと」なのです。考えないで、これまで訓練してきたことを本能的にできるようにすることが大事なのです。

そしてそれは、あのブルース・リーの名言にも通じているのです。

この「考えないで、感じる」メンタルトレーニングは、トップアスリートやプロフェッショナルが本番で、ゾーンやフローを体験するために最も重要な要素であることは間違いありません。しかし、本番でのみ起こる、このような異次元体験だけがゾーンやフローではありません。

スポーツや音楽の練習中に、ある課題に取り組んでいたら、あっという間に時間が過ぎていたという経験はないでしょうか?練習なのに、楽しくて仕方がないと感じたことはないでしょうか?

実はこういった練習で起こる体験もゾーン・フローなのです。そして、こういったゾーンやフローを重ねていくことが、本当の成長につながります。

さらには、このような練習でのゾーンやフローは、元々実力のあるプロフェッショナルやトップアスリートだけでなく、学生やアマチュアにも起こるものであり、その実力レベルにかかわらず、起こった本人に喜びをもたらしてくれます。そしてその喜びが、さらに頑張ろうというモチベーションとなるだけでなく、本番での大きなゾーンにつながるのです。

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石井塾では、10年前から、本番ゾーン=「考えないで、感じる」メンタルトレーニング理論や方法に取り組んでいましたが、今ではむしろ、このような能力向上につながるゾーン・フローへの取り組みを現在の最大のテーマとしています。イメージトレーニングや、テーマ設定、反復練習に頼らない練習計画など、時間がかる地道なアプローチですが、能力向上のための方法を真剣に模索している方は、ぜひ入塾を検討ください。


石井塾の得意分野