あがり症の克服以上に大事なことを学んだ音大院生のメンタルトレーニング体験談20180814

2年ほど前に入塾した音大大学院生のRさんが卒塾するにあたり、体験談を書いてもらいました。Rさんは塾費用をアルバイトでねん出するなどして、金銭的には苦労していましたが、卒塾後に出場した地方コンクールで見事に優勝し、結果的には、メンタルトレーニングにかかったお金は十分すぎるほど回収しました。Rさんは以前、このブログでも取り上げたことがあります。
>> アンサンブルを苦手としていた管楽器奏者からの「音楽を味わうことができた」報告メール20170206


私は某音大大学院生の管楽器専攻です。メンタルトレーニング石井塾に入塾したのは2年前の秋頃でした。そのきっかけは、とある合奏の本番で、これまで経験したこともないほどの緊張を経験したことです。

昔から、そこそこ緊張するほうではありましたが、ソロの本番では何とか乗り越えて演奏をしていました。しかし、入塾のきっかけとなった合奏では、そこまで難しい曲でもなかったのにかかわらず、本番中に頭が真っ白になるという経験をはじめてしたのです。自分なりに原因を考えて見ると、以前からソロより複数人での演奏の方が緊張や失敗が多かったり、プレッシャーをより感じるということがありました。

何とか演奏は続けられたものの、そのようなことが2回連続で続き、このままでは楽器が続けられなくなるのではないか…とまで思い込んでしまい、その本番の帰りの電車で、メンタルトレーニングについて色々と検索していたところに石井塾を見つけました。決して安くはない費用ですので迷いましたが、どうにかしなくてはという思いが強く、お試し相談希望のメールを送りました。

お試し入塾相談ではまず、相談理由や状況について詳しく話しをしました。そのあと、先生からは、どのようにして緊張が起こるのか、それをどう克服していけるのか等のお話しがあり、実際にメンタルトレーニングとしての呼吸法の指導を受けたりしました。科学的な面から緊張のメカニズムがわかり、期待が持てました。そして体験入塾の終わりには、「○○さんの場合は、そこまで深刻なあがり症ではないから集中コースで克服できる可能性が高いでしょう」と言っていただきました。

その時期、本番やコンクールが控えていたこともあり、入塾を決断し、体験入塾の翌週から集中コースのセッションが始まりました。初回の講義では、まず緊張の原因となるストレスについて、レゾナンス呼吸について詳しく説明を受けました。ストレスは悪い作用をもたらすだけではなく、ある程度必要なものだということがわかりました。ストレスとどう付き合うのが良いのか理解できました。そしてレゾナンス呼吸を1日にどの程度やるのか、どんな場面でやるのか説明を受け、最初のうちは用意されたチェックシートに記録していきました。心拍数を落ち着かせるレゾナンス呼吸は、自分で行っているだけだと最初のうちは正しくできているのか心配ですが、貸し出していただいた器具を使うと、簡単に自分の心拍の状態が把握できました。私は毎日の練習の合間や、就寝前、またリハーサル前などに集中してレゾナンス呼吸を行いました。

入塾してから約2週間後に、入塾のきっかけとなった、同じ団体の演奏会がありました。リハーサルの前や、本番前にレゾナンス呼吸を集中的に行いました。リハーサルではかなり緊張してしまい、胃が痛くなったりもしました。しかし本番では前回より動揺することなく、また楽しいと感じる瞬間もありました。このようにすぐにレゾナンス呼吸の効果を感じることができたので、このまま続けようと思えました。

集中コースではレゾナンス呼吸の他に、演奏前のルーティーンとイメージトレーニングについても教えていただき訓練しました。スポーツ選手などでもよく聞く「イメトレ」ですが、どのように行うと効果的なのかを詳細に教えていただきました。そして演奏中のイメトレだけでなく、本番直前の数分間をどう過ごすのかを自分で決めてイメトレをしました。本番直前というのはとても緊張する場面ですが、そのときに自分が何をするかをあらかじめ決めて、準備することができたため、「練習のように演奏する」ということを本番で実感できるようになりました。

入塾した翌月にあったコンクールでは予選落ちをして本当に悔しい思いをしましたが、このような準備を毎回積み重ねることで、約1年後のコンクールでは本選へ進み入選することができました。

石井塾に通い始めてから、多くの演奏会、コンクール、オーディションなどの本番がありました。その一つ一つで色々なことがありましたが、進歩を感じることができました。毎日の積み重ねと本番を経験していくうちに、少しずつあがり症も克服していくのを実感し、自信をつけることができました。また、あがり症だけでなく様々な面で効果を感じることができました。

例えば、これまでは本番に向けて、ただがむしゃらに練習していましたが、「どのように練習することが効果的なのか?」「どのように本番までを過ごしていけばいいのか?」「自分がどうしていきたいのか?」「自分の音楽のいいところはどんなところなのか?」を真剣に考えることができるようになりました。入塾してからのこの経験は一生の宝物になりました。最初に入塾を決めた理由は「あがり症の克服」でしたが、それだけにとどまらず自分の目標を達成するため、良い音楽家になるためにどのように過ごしていけばいいのかを考え実践するようになれたからです。今でも先生から教えていただいたことが大きな基礎となっています。

音楽家を目指して努力している人の中には、必死に練習はしていても、例えば本番までのスケジュール管理が計画的にできていなかったり、自分のやりたい演奏がなかなかできなかったりと、あがり症以外でも悩みを抱える人が多いのではないでしょうか。石井先生からは、そのような楽器の先生のレッスンでは教えていただけないことについてアドバイスをもらえるし、相談することができます。もちろん練習も大切ですが、それ以外の時間をどう過ごすべきなのか、それを考え実際に変えることができたのは石井先生のおかげでした。そして飽きっぽい私が続けられたのも、石井先生がよくコミュニケーションをとってくださったからだと思います。見守ってくれる人がいるというのはとても心強いものです。

あがり症はもちろん、一人で頑張ることに自信がなくなった人にも石井塾をおすすめしたいです。


Rさんがお試し相談に来られたときに気づいたのは、根本的に性格は明るいものの、自己肯定感がとても低いということでした。経歴や実力を考えても、プロオケを目指してもおかしくないのに、自分では無理と思いこんでいました。もちろん、演奏のあがりがどうなるかもわからない状態だったのもありましたが、「なんとなくやっていたら、ここまで来れた」というような感じで、もっと上を目指せるという自信も、もっと上を目指そうという意欲も少なかったように思います。ただ、あがりのために演奏できなくなるかもしれない…という不安が強かったのです。

しかし私にとっては、あがりの深刻度はそれほどでもなかったので、むしろ、自信や意欲を回復させることが、彼女を音楽家として成功させるために必要なことと理解し、その方向でメンタルトレーニング指導や心的支援を行うことにしたのを覚えています。

Rさんと同じ楽器の音楽家の入塾はこれまで少なくなく、しかもその多くが、そこそこの実力者でしたが、ほとんどがあがりの軽減が実感できたときに卒塾してしまいました。本当にもったいないと思うのですが、若手音楽家は金銭的に辛いのでしょう。しかし、Rさんは、アルバイトをして捻出したお金で、地道にメンタルトレーニングを続けて、私から「あがり克服」以外の多くを引き出して、自分のものしていきました。そして、予選落ちなどの悔しい体験を重ねながら、初めての全国コンクール本選入選や、地方コンクールの優勝、プロオケの最終オーディション進出など、成功体験を重ねていきました。

大事な時期に、音楽家としての成長を支援できてことを嬉しく思います。

 

 

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