シータ波の真実 その4 測定編

久しぶりの更新となってしまいました。こちらのブログは、本当に、ひとつの記事を書くのが大変なのです・・・。しかし、ネット検索でのニーズは高いようで、「シータ波」などでよく検索されているようです。

前回までのシータ波3回シリーズで、シータ波の効果、正確にいえば、シータ波がもたらす脳内バランスの変化が、集中力や創造性に影響を与えることは間違いないのではないか?ということを書きました。

しかし、世の中のシータ波の効果を謳っているメソッドの提唱者は、実際にシータ波を本当に測定しているのか?という疑いがあります。

脳波の測定は決して簡単ではないですが、その気になれば誰でも出来ますし、実際に測定することで、わかってくることは本当に多いものです。

今回は、シータ波の効果を測定したい方々が、今後、脳波計(生体アンプ&解析ソフト)を用いて、実際にシータ波を測定するさいの、注意点や問題点について書きたいと思います。

現在、ネットで「脳波 測定器」と検索すると、そこに表示されるのは、医療用・研究用製品(日本光電など)か、自己啓発用に個人でも使える製品(アルファ***)に分かれます。

日本光電製の脳波計については、何も言うことはありません。研究用途・医療用途のどちらででも、その質や信頼性は文句の付けどころがありません。

ただし、価格が問題です。解析ソフトなどを含めると、150万円近くになってしまうので、個人の心理専門家や個人が買うのは不可能でしょう。

反面、自己啓発用に開発され、販売されている商品は、価格的には20-40万程度で、決して安くはないものの、それなりには売れているようです。

しかし、これらの商品には、大きな問題があります。

それは、測定できるのが、額(おでこ)に限定されるということです。

個人向け製品の場合、販売者にとって大事なのは、商品を個人が簡便に使えることです。そのため、これらの製品では、バンドなどで額から脳波を測定できるようにしています。

額からでも脳波は測定できるのですが、問題となるのは、アーチファクトと呼ばれる、データ上のノイズが出てしまうことです。測定中に、動いたり、話したり、まばたきをすると、脳波が大きく乱れます。

このような問題から、脳の研究者が行う、脳波の研究では、額から測定されたデータを使うことがあまりありません。なぜなら、データはノイズによって汚れてしまうため、信頼できる数値が取れないからです。(脳の研究者でない人が、脳波を測定するときには、未だに行っていますが・・・)。

この脳波の乱れは、脳活動の変化ではなく、脳波を測定している頭皮が動いてしまうことによる、ノイズなのです。

とりわけ、おでこ(額)で脳波を測定すると、まばたきの影響を特に強く受けてしまい、研究のデータとしては、使い物にならないほど、データが汚れてしまいます。下記のデータの左側をご覧下さい。まばたきで、これだけ脳波は乱れてしまいます。

私は現在、ほぼ毎日、クライアントの脳波測定を行っています。こういった経験からわかることは、まばたきや眼球の動きが、このようにアーチファクトとして出てしまうのです。同時に、それがシータ波の数値と混同されてしまうということです。ノイズはシータ波にとても似ているのです。

以前、私は、ゴルフのパッティングの精度と、脳波の関係を調べていたことがあります。

ある時、ゴルフプロのパッティングの脳波を測定していた時、パッティングの直前に、ほぼ毎回、CZやFZからシータ波が大きく現れたことがありました。

一緒に研究していた大学の先生や大学院生は、それを見て、「やはりプロゴルファーは、パッティングに集中すると、シータ波が出るものだ」とコメントされたのですが、私はすぐにそれを疑いました。

というのも、それまで多くのクライアントの脳波測定をしていた経験から、プロが何かに集中したからと言って、シータ波が、それほど目に見える形で、急激に変化することはないことを知っていたからです。むしろ、そのシータ波の出方は、なんらかの動きによるアーチファクトであることを疑いました。

そこで、後日、再度、プロにお願いして、再測定しました。そしてわかったのは、そのプロの「くせ」として、パッティングの動作に入る直前に、プレスフォワードという、目には見えないものの、少し腕に力を入れる動作をしているということでした。この動作は、多くのゴルファーが、リズムなどを取るために、行っています。

そして、その動きを意図的に辞めてもらい、再度、パッティングの脳波を測定したところ、直前のシータ波はなくなったのです。

もしゴルフをやらず、また日常的に脳波を測定していなければ、多くの研究者は、そのパッティングの直前に増加したシータ波を、集中の結果としてとらえたでしょう。

私は、シータ波が、集中や創造性の脳波と結論している研究のいくつかは、このような動きの結果として起きた「誤り」のシータ波が、このゴルフ実験の例のように、誤解されて、集中や創造性と結びつけられてしまったのではないかと推測しています。それほどまで、シータ波が集中の脳波であると、多くの研究者の間で、未だに、盲目的に、考えられている結果だと思います。

特に集中の脳波は、前頭中心部で測定されるものですが、ここはまばたきや眼球運動の影響を強く受けてしまうところでもあります。

今後、シータ波と集中の関係を研究される方は、ぜひこの点を考慮に入れた測定や実験計画を立ててほしいと思います。そして、それをうまく乗り越えて、良いデータを見つけることができれば、素晴らしいですね。

ちなみに上の写真は、私自身がパッティングをしているときの脳波を測定しているものです。残念ながら、このパッティング研究は上手くいきませんでした。

このパッティング研究は、今、テレビなどでも見かける、脳科学者・池谷裕二氏の書籍『単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)」に書かれていた、<パッティングの成否は打つ前に脳波でわかる!>というイタリアの論文とその内容に触発されて始めたのですが、勉強を始めて1年半後に、なんと、池谷氏の解説(解釈)が間違っていることが分かったのです。

このあたりは、また詳しく書きたいと思います。ばりばりの脳科学者の解釈が間違っている!と言い切るのは度胸がいりますが、そこに至るまで1年半かかったのです。

ところで、最近じっくり読んだ研究論文から、シータ波が、なんらかの形で、潜在能力の発揮や開発にかかわりがあるということも、疑いがなくなってきました。それも、単なるバランスの変化だけでなく、ダイレクトにシータ波が「記憶の再構成」にかかわっているという証拠が増えているのです。これも改めて、整理されたら、書きたいと思います。

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