シータ波の真実 その2 創造力編

シータ波で、あなた本来の能力が発揮され、未来が開ける!

このように謳う自己啓発セミナーや、サウンドヒーリング、心理メソッド、瞑想プログラムがたくさんあります。

そのままずばり「シータヒーリング」と名付けられているメソッドもあるぐらいで、その本やサイトを読むと、シータ波が生み出す能力開発や創造性発揮の効果を、「一見」科学的に、解説しています。

脳波を持ちだすと、それだけで科学的に聞こえますからね。

はたしてどこまで本当なのか?これらのメソッドの論拠について、今回は考えてみたいと思います。

>> シータ波の真実を探究してみませんか?(2016年11月29日のエントリー)

ただ、そのためには、やはり脳波と脳の役割について、また、とりわけ、右脳と左脳の役割について、しっかりと理解する必要があります。

簡単にいえば、左脳は、論理や言語を司っていて、右脳は、創造性や社会性を司っています。
別の言い方をすると、左脳は、「過去と未来」から「評価」し、右脳は、「今・ここ」の感覚で、目の前のものや出来事を「感じ」ます。

芸術作品を見て、その作品の構成やデザイン性をぱっと感じるのが右脳で、左脳は、それを論理的に評価するのです。

右脳と左脳は、通常、常に同時に働いていますが、そのままだと二重人格になってしまうので、それを無意識に調整し、ひとつの人格に戻します。

通常は、左脳がより支配的で、右脳が感じたことを、左脳が論理的に置き換えて、矛盾点などをあぶりだします。このように、人間の合理的思考や行動は、左脳から生まれます。

例えば、こんな儲け話がありますよと言われて、右脳は、「わー、そうなんだ儲かるんだ、儲かったら良いなー。嬉しいなー」と考えるのですが、左脳が、「いやいや、そんな甘い話はない。過去にもこんなことがあったし、何か隠していることはないだろうか?」と考えるのです。

このような左脳の論理的な調整能力はとても大事なことです。

右脳と左脳の働きに男女差はありませんが、右脳と左脳は、脳梁といわれる部分でつながっていて、その部分が、女性のほうが太いので、女性のほうが、右脳を使う傾向が高いといわれています。

ただ、あくまで傾向であって、男女差よりも、個人差が大きいものです。

長くなりましたが、この右脳と左脳の働きを理解すると、シータ波が、どのように能力開発や創造性と結びついているのかがわかってきます。

シータ波が「増加」しているとき、その部分の大脳皮質の活動が「低下」していることを意味します。

それでは、左脳において、シータ波が増加したとしたら、何が起こるでしょうか?

そう、左脳の論理性・合理性が低下するのです。つまり、批判的に目の前の出来事を評価する能力が低下するのです。

そして、より右脳が優位になって、そのときの「今・ここ」の思いが強まったり、創造性が高まったりするのです。

ですから、正確にいえば、創造性が高まるのではなく、創造性を批判されなくなるので、過去の記憶に基づいて、自由な考えができるようになるのです。

私たちは、日常、この状態に自然に入ることがあります。それは、寝る直前や、起きた直後の「まどろんだ」状態です。

多くの人が体験していると思いますが、このとき、私たちは、とても自由な発想(夢)を見ていますよね。

それは、そのような自由な発想を邪魔する左脳が休んでいるからなのです。研究でも、このときに脳の多くの部分がシータ波になっていることがわかっています。

ここからが本題です。

それでは、ある程度、思考が覚醒した中で、このような左脳が休んだ状態(=左脳のシータ波が増加した状態)を作り出せるとしたら、どうなるのでしょうか?

その場合、言われたことや目の前のもの、想像したことを、批判することなく、受け入れられるようになります。

この状態で、「あなたは明日から異性に大人気になります!」といわれると、本当にもてていて、嬉しくなった気になるのです。本来であれば、左脳が「そんなはずないでしょ。あなた今までにもてたことあるの?」といった批判をしないからです。

これは、別の言葉でいえば、催眠状態です。

催眠術師に、あなたは動けなくなる、と言われて本当に動けなくなるのは、右脳がそれを信じてしまい、左脳で否定できなかったからです。

このような催眠術は、誰もがかかるわけではなく、普段から批判的な人は、性格的にかかりにくいですし、そうでなくても、そのとき左脳が活性化していないことが条件です。

よくいわれるように、催眠にかけるには、「ラポール」が必要ですが、ラポールが築けていないというのは、相手は「警戒している=左脳が活性している」から、催眠がかからないのです。ラポールにはいれば、相手はリラックスしている(=左脳が落ち着いている)ので、催眠にかかりやすくなります。

もうおわかりでしょうが、シータ波を使った能力開発や創造性発揮は、簡単にいえば、催眠療法なのです。

「催眠をかける=左脳のシータ波を増加させる」方法として、言葉だったり、イメージだったり、音楽だったり、負荷をかけて疲弊させる、などの違いがあるのです。ただ、催眠にかかる程度には、個人差が大きいです。

これらは、総じていえば、左脳を休めて、自由な発想を、一時的に、可能にさせる方法です。一時的にと書きましたが、その発想が強烈だった場合、催眠が取れた後も、その喜びや感動が続くこともあります。また、これまで自分一人ではできなかった思考や発想が、セラピストによって導かれたとしたら、その喜びというのもとても大きいもので、人生を変える威力を持つことがあります。

ここまで読み進めてきた「左脳的」な人たちには不要な助言ですが、このようなメソッドに大金をつぎ込んでしまう人が続出するのも、実はこの催眠効果によるものです。

左脳は理性的に働きにくくなっている(のに気づかないので)、明らかに法外な金額を、セミナーやツールに注ぎ込んでしまうのです。このメカニズムを悪用している人も少なくありません。

私は、これらのメソッドが「詐欺やいんちき」だというつもりはありません。前述のとおり、それによって人生を変える方向に導くことは可能だし、実際に導かれた人は大勢いるからです。そうでなければ、これらのメソッドが、これだけ隆盛なはずがありません。

ただ、シータ波の効果を謳ったメソッドは、このような催眠のメカニズムと論拠に基づいているということを、頭に入れておいて欲しいと思うのです。

そうすれば、こういった心理プログラムの受講者は、自分に適した方法を探すことができる目安になるし、セラピストも、受講者によって効果の感じ方が異なる理由を理解し、その受講者にあったアプローチやプログラムを提供できるようになるからです。

私が脳波トレーニングが好きなのは、これに取り組むことは、脳の働きをしっかり理解することにつながるし、同時に、簡単に裏が取れる(脳波の変化が測定できる)からです。

脳波トレーニングにも、この催眠メカニズムを使った方法があります。そのときには、一般的には下げるように取り組むシータ波を、増加するように導くのです。そして、シータ波が増加した時、クライアントの多くが様々な想像上の自由体験をすることが報告されています。

この方法は「ディープステート・トレーニング」とも呼ばれ、一番使われているのは、アルコールや薬物依存からの回復プログラムです。こういった境地の中で得られる洞察によって、依存からの解放策が開けてくるのかもしれません。

能力開発という意味では、ロンドン大学の教授らが行った、非常によく考えられた実験研究(対照群あり、盲検)でも、音楽家の演奏力(技術というよりも音楽性)は、他のニューロフィードバックメソッドや、アレクサンダーテクニック、心理療法に比べて、シータ波を増加させニューロフィードバックで、「断然」に短期間で向上したことが報告されています。

シータ波が創造性となんらかの形で関わっていることは、間違いないように思われます。

ただ、そのかかわり方は、シータ波はそのものが生み出す効果というよりも、批判的な左脳が休むことによる効果と考えられるのです。

<2016年修正>

その後、本文については、改めて勉強不足を認識しました。シータ波が創造性を生み出す理由は、単に左脳が休むことだけでなく、より広範囲の記憶がシータ波で「同調」することで起こることもあるようなのです。

創造性というのは、何もないところから生み出されるのではなく、脳の様々な部位に蓄積された、過去の膨大な記憶(潜在記憶)が、何らかの形でくっついたときに生まれると考えられるのですが、その神経活動がシータ波を生み出すようなのです。

>> シータ波の真実を探究してみませんか?(2016年11月29日のエントリー)

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