東京五輪を目指すアスリートは、メンタルトレーニングを始める時期が来ている

昨今、五輪4連覇、女子レスリングの伊調選手のハラスメント問題が話題になっています。この問題が今、取り上げられているのは、伊調選手を含め、実は東京五輪を目指すアスリートにとって、その選考会が始まりつつあるからです。そして、その意味において、メンタル面の強化が必要な選手にとっても、東京五輪に向けたメンタルトレーニングを始める時期に来ています。

というのも、東京五輪は2020年8月に開催されますが、ほとんどの競技で、日本選手権での結果が、出場権獲得に直結することになります(特に東京五輪では開催枠があるので、アジア大会や国際大会で出場権を勝ち取ってくることが必ずしも必要ないため)。この日本選手権に出場できるかどうか、また、代表候補として出場できるかどうかが、大きなポイントとなるのです。

以前指導したことがあり、事情がわかる柔道の例でいえば、2020年春の体重別選手権が最終選考会になると思われますが、その前年2019年の体重別選手権、世界選手権、講道館杯などの実績で代表候補が決まります。最終選考会は、その代表候補の中での戦いになるのです。つまりは、2019年春の体重別選手権に出場できないと、東京五輪に出場することはできないのです。体重別選手権は、その前年11月の講道館杯で決まるので、それは今年2018年11月ということになります。

実際、以前に石井塾でメンタルトレーニング指導した女子柔道の宇高選手は、ロンドン五輪直前の2012年春の体重別選手権で優勝しましたが、その前年に結果が出せていなかったため代表候補になっておらず、代表候補2名(ひとりは松本薫選手)を破っての優勝にもかかわらず、ロンドン代表には選ばれませんでした。そういうルールなので仕方がありません。

私の経験から言えば、もう代表の力がある選手であれば、最終選考会の2か月前にメンタルトレーニングを始めれば、なんとかなりますが、実力的にはぎりぎり、もしくは、これから力を伸ばさないと代表は難しいというレベルであれば、半年以上は必要です。実力が拮抗すればするほど、やはり心理的プレッシャーは大きくなるからです。また、力はあっても、それを発揮するのに「ムラ」がある選手のメンタルトレーニングも、できるだけ早めに始めたほうが良いです。

宇高選手の例でいえば、入塾したのは2011年の体重別選手権で惨敗したことが理由ですが、その直後でした。結果的に、その翌年の体重別選手権で優勝できたのですが、そういった完全復活までほぼ1年近くかかっているのです(その後に世界選手権2014優勝)。入塾してすぐのときは、夏のW杯では1回戦負けするなど、決してメンタルトレーニングを始めてすぐに結果を出せたわけではありません。

最終選考といった本当に大事な場面で力を発揮できるようになるには、直前にメンタルトレーニングを始めるのはでは遅く、呼吸法やイメージといったスキルを地道にメンタルトレーニングで身につけながら、それを自分なりに応用して、試合経験を重ねながら、自分のものにしていかなければいけないのです。

全ての選手がメンタルトレーニングを必要としているとは思いませんが、メンタルトレーニングの効果を期待できる選手は大勢います。本気で東京五輪を目指しているアスリートは、早めに動いて欲しいと思います。なお、強化選手であれば、J*SSなどで無料のセミナーやメンタルトレーニングを受けられますが、何か違う、何か物足りないと感じたら、自ら積極的に動いて、信じられるメンタルトレーナーを探してください。

 

 

 

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