ジュニア(中学生高校生)

ジュニアアスリートが苦しんだマイルドなパニック障害 適切な診断と服薬の大切さ

少し前の話です。高校生H君が父親と一緒に来塾しました。H君は、ジュニアの頃から全国大会レベルで活躍していて、高校もスポーツ推薦で入学していました。

しかし、入学してまもなく、なぜか校内で息苦しさから倒れることが3回続きました。某大学病院に2週間もの間、検査入院したものの、原因を特定できませんでした。その後は少し楽になり、ごまかしながら、高校2年の途中までは、部活動の練習や、試合に参加することはできていたそうです。

しかし、ある大会の最中に、窒息してしまうくらいの苦しさに襲われ、試合を辞退せざるを得なくなることがありました。窒息してしまうほどの苦しさを感じることは、それ以降はなかったのですが、息苦しさが頻繁に起こり、持続するようになっていきました。

部活動の練習中だけでなく、さらには、朝の登校時に、校門をくぐると、その息苦しさを感じるようになり、高校2年生の秋には、部活どころか、学校にも行けなくなりました。以前、病院での検査では原因がわからなかったために、医学的な対処もできず、その親子は、藁をすがる思いで、ヒプノセラピー(催眠療法)や神社のお祓いなども試してみたそうです。

その効果もほとんどなく、学校に行かず、一日中、寮で過ごすなど途方に暮れている中で、石井塾にやってきました。お祓いや催眠療法など、誰かに頼るのではなく、地道にメンタルトレーニングすることで、改善への道を見つけたいというのが、親子の共通の思いでした。

お試し相談でこの話を聞いたとき、私はすぐに「これはマイルドなパニック障害」ではないかと疑いました。マイルドなパニック障害は、まだまだあまり知られていませんが、普通のパニック障害が窒息してしまうほどの息苦しさに対して、苦しさがじわじわとくるのが特徴です。パニックという言葉に囚われると、イメージが湧きにくいです。これまでの経験上、パニック対策として、レゾナンス呼吸の有効性は疑いがなかったので、学校や部活動に復活できるかどうかの約束はできないものの、副作用はないので、とにかく始めてみることになりました。

レゾナンス呼吸を地道に続けていく中で、喉が苦しくなったときに、なんとかそれを改善できるようになりました。

1ヶ月くらいで、寮とコンビニ以外に、人混みのあるところにいけなかったのが、ショッピングセンターなどにも行けるようになり、6週間くらいで、学校にも行けるようになりました。ただ、登校して、別室で勉強し、早退するところまででした。その意味では、寛解したとまでは言えませんでした。

その頃、父親がH君を別の大学病院に連れて行ったところ、その病院では「パニック障害」の診断をつけて、薬を処方しました。

結果から言えば、この薬が効きました。薬を飲みはじめて、1ヶ月くらいで、H君は授業に出られるようになりました。私が、その薬の効果を確信したのは、授業に出られるようになったH君が、もう大丈夫だろうと、勝手に服薬を止めたところ、ほんの1-2週間で、また教室にいるのが辛くなったことです。そして、その後、改めて服薬を再開して以降は、問題なく学校に行けるようになりました。

身近に、薬依存になったひとがいる方は、薬に手を出すことに対して、強い抵抗感があります。しかし、これまで、このような事例を多くみてきた経験から言えば、やはり「信頼できる」医師の処方に基づいて、服薬することは、早い回復には必要だと感じます。

同時に、それに合わせてメンタルトレーニングを併用することも大切です。というのも、H君のケースも、いきなり薬を服用していたとしたら、もしかしたら、その効果はそれほど高くなかったかもしれません。なんか息苦しいな、と感じたときに、すぐに呼吸法で不安をコントロールすることを覚えていたからこそ、薬の効果が早く出たのだと思います。 軽度のパニックの場合、それだけでコントロールできるからです。

高校2年の秋から、3年の6月くらいまで学校に行けなかったH君ですが、学校の粋な計らいもあり、無事に3年間で卒業することができました。

自分を変える第一歩

塾長メルマガへの登録で、塾長書籍「ここ一番に強い自分は科学的に作り出せる!」を一冊丸ごとPDFダウンロードできます。また、最新情報をお伝えするとともに、無料メール講座、特別割引、動画講座やzoomセミナーなどの案内も致します。登録後、不要であれば簡単に解除できます。

塾長メルマガ登録