ゴルフのメンタルトレーニングは十人十色

メンタルトレーニング石井塾では、今年の春以降、塾生でゴルフをやっている人・始めた人が増えています。

優勝経験のある男子プロゴルフのシード選手から、ツアー出場を目指すプロゴルファー、プロテスト受験生、トップアマチュア、アベレージゴルファー(私も含む)、さらにはゴルフを始めたばかりの人まで、多くのゴルファーが石井塾に来ていて、セッション中やプライベートラウンド中に、ゴルフとメンタルについて語る機会が増えています。

そんな中で、これまでの私の経験や常識が通じない、珍しいケースに出会ったので、簡単に紹介したいと思います。

一般的に、難しいショットのときに、大半のゴルファーは精神的プレッシャーから、力が入り過ぎてしまい、ミスをしてしまいます。だから、呼吸やイメージで「ストレスを下げる方向でコントロールすること」がナイスショットにつながります。ですから、多くの場合、そういったメンタルトレーニングをするのが基本です。

ところが、春に入塾したトップアマチュアSさんは(HC3)は、ショットのときに「ストレスを上げる方向でコントロールすること」がナイスショットにつながる傾向が強いのです。

Sさんとは、定期的なセッションで、近々のラウンドを振り返ります。多くの公開競技(日刊アマ・社会人選手権・パブ戦など)に出ているので、振り返る機会も頻繁にありますが、話を聞いていると、確かにほとんどの試合で、大事な場面ほど、ストレスレベルを上げるほうがナイスショットにつながるのです(ただしパッティングを除く)。

正直なところ、これには少し驚かされました。思い込みの要素も強いのではないか?と疑ったくらいです。しかし、ラウンドの振り返りを重ねるにつれ、それは確信に変わってきました。

あくまで推測の域ですが、Sさんは会社経営をされていて、これまで数多くの困難をくぐられてきた人物です。会社を発展させていく過程で、先に高い目標を設定してから、行動を起こし、それを達成させてきたそうです。こういう人生経験のなかで、恐らく、非常にストレスへの耐性が高まったのではないかと思われます。

こういった方は、パフォーマンス曲線が、次のように右側に偏っており、プレッシャーが高いほうが成果は高くなります(もちろん、それでも高すぎるとミスにつながる)。反面、プレッシャーがない場面では、簡単なミスをしてしまう傾向にあるのです。

これは一流のプロフェッショナルには良く起こる現象で、例えば、一流の演奏家は、リハーサルではミスをしまくるのに、本番は一発で決めてくることが良くあります。これまで多くの修羅場を乗り越えた経験と、エネルギー管理の効率化の面で身につけたのでしょう。ただ、アマチュアゴルファーで通常ハンデ3くらいだとなかなか起こりにくいと思います。全盛期のタイガー・ウッズや、調子の良いときの松山英樹なら十分に考えられますが。。。普段の生活の中で、敢えてプレッシャーを設定し、それを乗り越えてきた、Sさんならではの特異体質といえるかもしれません。

なお、通常のアマチュアのパフォーマンス曲線は、こんな感じです。基本、不安領域が大きいのです。だからリラックスしてストレスを減らし、余計なことを考えないほうがうまくいくのです。

Sさんは、私とのセッションの中で、この傾向をはっきりと認識できたので、今ではそれをラウンドにどう組み入れるか、試行錯誤し、取り組んでいます。結果も出ていると報告してくれています。方向性は見えてきたので、次のステップは、ストレスを上げる・下げるメンタルトレーニングを繰り返しながら、それをスキルとして身につけ、定着させることです。

私はできる限り、科学的に信頼できる「心と体のメカニズム」に基づいて、塾生を理解し、パフォーマンス向上につながるメンタルトレーニングを指導することを心がけていますが、改めて、長年の経験によって培われてきた「個人差」というものも、考慮すべき、大きな要素になるのだということを再認識しました。

 

 

 

 

 

 

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