以前、父親の勧めで、石井塾のお試し相談に来た有名女子アスリートがいました。

マスコミの注目を受け、スポンサーやファンの期待を背負って臨んだシーズン序盤に躓き、どんどんメンタル面でも不安定になり、成績もさらに悪化するという悪循環に陥っていました。

相当のプレッシャーを感じていたのでしょう。シーズン途中、生理が数か月止まっていた時期があったそうです。そんな状態では、成績もなかなか上向きません。それどころか、とんでもない、あり得ない結果が出てしまうこともたびたびでした。

父親は、なんとか立ち直る機会を持って欲しかったようでしたが、本人は、もうひどい無力感に陥っていて、結局、入塾は見送りとなりました。少し遅かったようです。

その後も、ブログや雑誌のインタビューなどでは、殊勝な、前向きなコメントを続けていたのですが、私はそれをとても痛々しく思っていました。

ブログやインタビューで、前向きな発言をすることは、自分を奮い立たせ、自らを見直す効果は確かにあります。

しかし、アスリートにとっては、結果がほぼすべてであり、自分の能力に見合う結果が出なければ、どんなプラス思考も、徐々にも空しくなっていきます

結果が出ないとき、辛いときに、「辛い」と言えないこと、本音で話せないこと、感情を表現できないことは、とても大きなストレスになるのです。

このストレスを、心理学では「感情労働」と言います。

感情労働は、主にサービス業などに従事する人が抱える職場ストレスとして知られているものですが、注目度の高いアスリートや有名人も、ある意味、同じリスクを抱えています。

恐らく、浅田真央さんや宮里藍さんほどの超有名アスリートになると、この感情労働は想像を超える大きさで、実際、それが彼女たちを襲ったスランプの原因のひとつでもあったと推測しています。

とくに女子アスリートの場合、ファンやマスコミ向けのイメージ作りも大切なので、この感情労働は大きくなりがちで、それがほかのストレスと重なると、生理不順などにつながりやすいものです。

このような理由から、女子アスリートは、男子アスリートよりも、心身のバランスを崩して成績不振につながる悪循環に陥る可能性が高いのです。

この意味では、結果が出ないとき、辛いときには、辛いと、本音で話せるコーチや家族を持つこと、そして感情の浮き沈みに正しく向き合う能力を持つことは、女子アスリートにとっては、とても大事なことなのです。

 

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